イノベーターが
見ている未来
vol.93
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
MR.BROTHERS CUT CLUB
株式会社ファイヤーワークス
代表取締役社長 小松 大輔さん (age.42)
日本におけるバーバーブームの火付け役とも言える、「MR.BROTHERS CUT CLUB(ミスターブラザーズ カットクラブ)」。現在は国内に6店舗、アメリカ・LAに1店舗を構える。2023年夏、ガーナにバーバーアカデミーを開校予定。その真意に迫る。
・HP(ファイヤーワークス)
https://www.fireworks-japan.jp/
第1章異業種からバーバー進出
「“MR.BROTHERSやってます”
それが最高のブランディング」
株式会社ファイヤーワークスを立ち上げる前は、どのようなことをされていたのですか?
モデルなどを経て、メンズアパレルに就職しましたが、社長以外全く稼げない構造に愕然として。デザイナーを伴って起業しました。
父がアパレルの仕事をしていた影響で、小さい頃から古着が好きで。父を見返したいというか、超えたいという思いがあって、その道へ。アパレルやケータイ電話を扱う会社でしたが、うまくいかず倒産してしまい…。
借金もできて、いったん派遣社員に登録しようと、テストを受けたんです。イラストレーター・フォトショップ・エクセル・ワードなどの項目がありましたが、どれも全然ダメで、「自分は社会的に何も持っていない人間なんだな」と。そこから一念発起して、もう一度会社を立ち上げたのが、現在のファイヤーワークスです。
今度は順調に?
ブランド品のヴィンテージを扱うECショップ「Hedy」が、ありがたいことにモデルや有名人などインフルエンサーの方に支持してもらい、一気に広まりました。
そこから、なぜバーバーを?
モデル時代から通っていた美容室があって。ずっとバーバースタイルにしたかったんですが、うまく説明できなくて、なかなか希望のスタイルにならなかったんです。ある日、いつも担当してくれているスタイリストの方の都合がつかず「期待の新人に変えてもいい?」と紹介されたのが、西森との出会い。それまでも、西森がアシスタントとしてシャンプーは担当してくれていたので、顔は知ってはいたんですが。
西森に切ってもらったら、一発で希望のヘアスタイルに。「これ、これ、これ!」と、感動しました。そこからずっと担当してもらうことになり、ある日、将来の夢を聞いたら「バーバーをやりたい」と。西森にはすでに具体的な構想も頭の中にあって、すぐに「一緒にやろう!」と話が進みました。
すごいスピード感ですね!
日本で起きている“ブーム”って、おおもとを辿るとだいたい海外から来ていますよね。ULTRAなどの海外フェスや、EDMやヒップホップなどのミュージックもそう。バーバーで欠かせないフェード(サイドの刈り上げ)は、もともとアフリカ系アメリカ人の文化。「バーバーが日本にも必ずくる」というのは、わかっていました。
当時は心配させるから言っていなかったけど、そんなにお金がなかったので、バーバー事業が失敗したら会社も終わり…。でも西森の技術に絶大な信頼を置いていたので、決断しました。
その時に、約束したことがあります。「僕は髪を切れないから、現場には口を出さない。その代わり、マーケティングは僕に任せてほしい」と。その分業は、今も変わりません。
日本のバーバー界において、草分け的な存在になれたのは、なぜだと思いますか?
うちの一番の強みは「人=スタッフ」です。飲み会とかで、女の子に仕事を聞かれたとします。その時、彼らは「理容師やってます」じゃなくて、「MR.BROTHERSやってます」と胸を張って答える。モテたいから(笑)。それが、最高のブランディングですよね。
マーケティングにおいても、常に新しいことに挑戦していれば、スタッフもそうだし、お客さんも胸を張って、SNSに上げてくれます。
ハサミ一本で、スラムを出ようぜ!
ガーナにバーバーアカデミー設立。