イノベーターが
見ている未来
vol.97
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
ROOST
代表取締役 渡辺 哲也さん (age.40)
京都・東京に計6店舗を構えるメンズサロン「ROOST(ルースト)」。2023年8月、渋谷に進出したことも話題だ。2カ月デビュー&生産性100万円という数字にも驚くが、本質はそこではないと語る。「ROOSTファミリー」で戦う強さとは?
https://www.h-f-roost.com/
第1章2カ月デビューが可能なワケ
「お客さまに触れる一番楽しい仕事を
早くやらせてあげたかった」
お客さまは、どういった方が多いですか?
オープン当初は特にターゲットを定めず、年齢層も幅広く対応していたのですが、徐々に現在の「10代~20代の男性」に絞っていきました。お店があるエリアが学生さんの街であり、「若者が輝けば、世の中も輝いていく」という想いがあったからです。
みんなイケイケサロンをつくりたがるけど、うちは違います。そこまでまだ垢抜けていない…といったら失礼ですけど、変わりたいと思っている方を変身させてあげたい。僕らは、カリスマではありません。「カリスマになっていく、お客さまをつくる」のが仕事です。
また、「若年層メンズ」にターゲットを絞ったのは早期デビューのためでもあります。お客さまに触れる一番楽しい仕事を、早くやらせてあげたかった。
2カ月デビューとうかがいました。驚異的なスピードですが、なぜ可能に?
ひとつは、若年層メンズに提供するスタイルに合わせて、技術カリキュラムを厳選しているからです。カットはセイムレイヤー・マッシュ・ショートの3パターン、あとは普通のパーマ、カラーのみ。研修期間はサロンワークを減らし、集中トレーニングをして入社2カ月でデビュー、という形です。
教える際に意識しているのは、「難しいことを言わない」。「簡単」としか言いません。ヘアコンテストでも、結局シンプルなスタイルが強い。中途半端な人ほど、技術を複雑に言いたがる傾向があるのでは?僕らは、技術があるのは当たり前で、「接客で価値を届けよう」と伝えています。
以前はカットが習得できても、お客さまを目の前にすると話せない、という課題もありました。そこで練習では、マネキンを人だと思って、喋りながらカットしてもらうように。そしたら、実際のお客さまともすぐに話せて、気遣いなどを含め視野も広がりましたね。
デビューしていないと、サロンワークに入っても、ボーッと他のスタッフの技術を見ているだけになりがち。でも一度デビューすると「あの技術は、どうやるのだろう?」「お客さまにどんなお声がけをしているのだろう?」と、自分ごとになります。
もちろん、2カ月ではまだまだ「一人前」にはならないので、その後も継続的に教育しています。
2カ月デビュー&生産性100万円!
メンズサロン激戦区 渋谷での勝算。