イノベーターが
見ている未来
vol.100
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
CiiK/RETØUCH
代表取締役 宮永 えいとさん (age.33)
「メンズ美容がアツい!」と言われて久しい。メンズヘア&コスメブランド「RETØUCH(レタッチ)」を運営する宮永さんに、その点について聞くと「楽観視はしていない」との意外な言葉が…。その理由や、コンテンツの届け方、今後の展望をうかがった。
・「RETØUCH」HP
・宮永さんのYouTube「大人男子LABO」
第1章メンズならではの志向
「男性は変化に
“気づいてほしくない”」
経営者・YouTuberにくわえて、現在も週一でフリーランス美容師を続けているとか?
はい、それぞれシナジーを生み出すと考えているからです。YouTuberとしての情報発信も、プロダクトづくりも、現場を知る美容師がやるからこそ説得力があると思います。
美容師=リアルと捉えていて、僕はメンズのお客さまが多いのですが、ハサミで人を喜ばせることができます。一方、YouTube=コンテンツは、フォロワーが多くなると毎日のように“ありがとう”のメッセージが届くんです。「動画の通りにやってみたら、デートがうまくいきました」とか。
リアルとコンテンツの違いは、深さと広さ。リアルは深いけど狭い。1対1で、1日15人とか。コンテンツはリアルより浅いけれど、一夜にして1万人に届くことも。
あと必要なものは、再現性を高めること。僕が欲しいもの・使いやすいものを届けたいと思い、プロダクトをつくるようになりました。
さまざまな方向からアプローチしているのですね。
ホットペッパービューティーアカデミーの最新調査(※)では、男性のメイクアイテム購入率は20代が最も高く20.3%。約5人に1人が、何らかのメイクアイテムを購入しているというのが驚きでした。
(※「美容センサス2023年下期<美容意識・購買行動編>」2022年12月)
でも、世の中の人は「約5人に1人のメンズが、メイクアイテムを購入している」とは思っていないですよね?それは、“気づいてほしくない”という男性ならではの志向からだと思います。
髪型でイメチェンしたら、次の日に学校や職場に行くのが恥ずかしい。自分も昔、新品の靴はあえて少し汚してから履いたりしていました。
一方、女性は季節によってメイクの色や、髪型のニュアンスを変えたりする。そして、まわりの人にその変化に気づいてほしい。「気づかない男はダメだ」くらいに、言いますよね(笑)。
非常によくわかります(笑)。
世の中的には、BBクリームが徐々に開けてきている段階。「RETØUCH」は「コンプレックスを補う・マイナスをゼロにする」というのを掲げていて、売れるのもやはり“ばれない”“素肌っぽい”といったもの。男性は、わかりやすいメイクでプラスオンすると「ナルシスト」と判断されてしまう。
そういった男女による文化の違いがあるので、同じ美容でも、まったく別の“競技”だと感じています。
メーカー社長、美容師、YouTuber…。
3つの視点からみたメンズ美容の広げ方。