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第2章Z世代の志向を捉えて結果を出す

「中途スタイリストは採用しない。
REDEALの“純血”であることを大事にしたい」

「REDEAL 渋谷」は華やかなレイヤーカットのワンホンヘアやこなれウェーブ、デザインカラーを得意とし、20代のお客さまが約半数を占める

おもに新卒採用をされているということでスタッフの年齢層が若いと思いますが、いわゆるZ世代と向き合う際に意識していることはありますか。

現在、スタッフの平均年齢は23.3歳です。意識しているのは、本人にとってメリットがある目標を提示して「先が見えるアドバイス」をすることと、その「結果がすぐ出ること」です。たとえば、「この技術に合格したら入客ができて給料が1万円上がる。だからしっかりやろう」とか。よくも悪くも“義理人情みたいなものは響かない世代”なので、わかりやすい成果を指針にします。

あとは1週間や1カ月での短期間で、それぞれのスタッフが「どのくらい変われたか」をすごく見ています。人って、変わらない日常が続くとダメになっていくと思うんです。技術力・発信力・接客力など、停滞しているなと思ったら、僕や幹部からアドバイスしたり、時には店舗を変えることも。飽きがくると、中だるみの不満が出てしまうので。

変化する機会を与えるというのは、大変ではないですか?

そうするのが当たり前、という社内風土にしています。僕らは「伝承」という言葉をよく使います。これまでも、僕がしてきたことをスタッフに伝えた結果、売上がすぐに月間200万円に到達し、SNSの活用法を伝えたら300万円になった。つまり、僕の成功体験が伝承されたということです。

ただ、当時のノウハウをそのまま伝えても、変化が早い今の時代には通用しません。なので、教える側も伝える内容を磨き続ける必要がある。伝えることで相手が変わる、伝える過程で自分も変わる…という連鎖が全社員に起きています。

今ってInstagramやTikTokで注目されても、その効果は1~2週間、長くて1カ月程度。しかし、伝承して人を育てよう、常にチャレンジしよう、そして自分も変わろう、という意識を持てば、伝承=売上の継続が見込めます。後輩スタッフを伸ばすことで、自分もアップデートしていく大事さが、風土として根付いていますね。

スタッフのみなさんも売上面で好調なだけではなく、講師などでも活躍されています。スタープレイヤーを生むコツは?

スタッフの評価軸として、6角形のレーダーチャートを用いています。たとえば「カリスマ美容師」を目指すのであれば、ビジュアル・売上・キャラ・パフォーマンス・求心力・技術の6項目で、どこが足りていて、どこが足りていないかをチェック。キャラでいうと、たとえば僕はカラーであればベージュや黄色で、今日もその色の服を着ています。スタッフもそれぞれ、自分のカラーを決めて、ビジュアルを含め自己ブランディングしていきます。

あとは、戦略的に数字を作りにいくこと。「最年少」「デビュー月」「1,000万円超」といった、ヒキのある数字を、みんなでサポートして実現させます。たとえば、「REDEAL ope.」代表の金子が1,176万円の月間売上を達成したときは、僕の予約枠はほぼ閉めて、アシスタントもフルで付けて、最高売上が出せるように全員で協力したりとか。

生産性が落ちて、たとえ赤字になったとしても、長期的な効果としてはプラスだと思っています。「最高売上を立てた」という情報を各メディアに送って、目に留めてもらえたら取材が入ります。取材していただいた記事は、スタッフ全員で必ず拡散する。編集者さんから「REDEALさんは記事を拡散してくれる、また取材したい」と思ってもらえるように、感謝の気持ちを持って、みんなで動くことを徹底しています。

そこまでされているとは、脱帽です。

集客に成功してもそこで止まってしまうと、スターにはなれません。たとえば、カウンセリング動画が注目されて集客に成功したとしたら、「じゃあ次は正面のスタイルを、きちんと作れるようになろう」とか、「自分のビジュアルを一般の美容師ではなくカリスマだと思われるようにしよう」など、次に目指す方向を提示します。いつの間にかスターになるのではなく、スターの要素を細分化して、そのすべてを高めていくと結果的に「スター」になる。

売上が500万円を超えたとしても特別視せずに叱ることもありますし、目標を達成したら「次はこのステップに進もう」という指導をします。そうしないと、その子の成長や変化が止まってしまって、離職につながると思うからです。その結果、創業から4年経ちますが、新卒スタッフの離職は今のところゼロです。

中途スタイリストは採用しない方針なんです。また、必ずREDEALの基準でデビューした子だけをスタイリストとして認定しています。サロンとして、技術・接客・発信力が、REDEALの“純血”であることを大事にしているからです。

なるほど。
ちなみに、先ほど叱るとのことでしたが、Z世代は叱られることが苦手とも言われていますよね?

ちゃんと叱ることも大事だと考えています。小さなほころびでも放置すれば、どんどん大きくなってしまう。何か問題があったら、改善はなるべく速く、ということを徹底しています。でも「怒られた」という感覚にならないように、具体的な解決策まで、問いかけながら相手に言葉にしてもらう。「叱られたことで改善できた」「自分にとってよかった」という流れにするためです。

一方で、ほめることも意識していますか?

Z世代は器用で賢く、冷静な部分もあるので、何でもかんでもほめると「ウソっぽい」と思われる。「辞められると困るから、ほめているのかな?」と、考えが及んでしまうらしいんです。

だから僕は、結果がきちんと出て、心からほめたいときだけ、ほめます。努力している過程でほめて満足してしまうと、真の意味で豊かにはならない。本当に努力した人は必ず結果に表れる、結果が出ていないならまだやりきれていない、というのが僕の考えです。

また、Z世代は飲み会などに時間を取られたくないという話もあるようですが…。

うちは飲み会や食事会は、“やる派”。月1回の全体ミーティング後などに行っています。今の新卒世代って、みんなで集まるのが大好きですよ。コロナ禍でガマンしていた期間が長かったこともあり、めちゃくちゃアクティブ!

ただ、代表としてオン・オフをしっかり区切ることは大事にしています。そのような場で仕事の話は一切しない。「僕が社長」みたいな上下関係は押し付けず、イチ参加者としてふるまいます。

尊敬される自分でいるために、日頃から横柄な態度をとらないように気をつけています。「これは自分の欲が勝っているな」とか「自分を大きく見せたいためだな」となりそうな発言はしません。

あと、みんなで集まる場が苦手なスタッフも受け入れます。そこは仕事とは関係のないことなので、きちんと区別する。仕事以外の部分は評価軸にしません。

非常に戦略的に考えていらっしゃいますが、マネジメント的なことは昔から得意だったのでしょうか。

いえ、すごく苦手でした(笑)。勤めていた頃は「売れている自分が正義」みたいな考え方をしてしまった時期もあります。「売上を出しているから、掃除などの雑務は自分の役割ではない」みたいな。

でも、自分でお店を出してみると、全部自分が手がけたからこそ小さな汚れにも気づくので、掃除も率先してするように。だからといって、いつまでも全部僕がやり続けるのは会社としてよいことではないので、役割分担をして任せてはいます。スタッフ一人ひとりの気持ちを理解した僕が任せるのと、過去の僕のように理解せずにさせてしまうのとでは、任されたほうの受け止め方も全然違うと思うんです。

中村さんのなかで、考え方がすごく変わったのですね。

経営者になって、数字も結局は、ほかの人のおかげで成り立っていることもわかりました。あと、独立直後からすごく忙しくなって、心身ともに疲弊してしまい、2カ月休業してしまったことがあって…。そのとき、もう一度目指すところを再確認しました。先ほど話した、スタッフの評価軸同様に、レーダーチャートで自分の評価項目を客観的に整理し、この部分は足りていない、目標に到達するにはやるべきことがあると認識したら、謙虚になれたというか。「自分はまだまだ」だと思いました。

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