大阪・心斎橋にある「meleep（メリープ）」は、いま話題のドライヘッドスパ専門店。2019年オープンだが、コロナ禍も集客は絶好調で、現在も予約でいっぱいの人気店。オリジナル手技を学べる自社スクールは「meleep」在籍のスパニストも、受講料は自己負担！それが、お客さま満足＆離職減につながるワケとは？

異世界に没入できる「空間づくり」

靴を脱いで中に入る形の施術スペースは、ほの暗い照明＆ゆったりとしたリクライニングソファ。コンセプトは「大人が眠る魔法のスパ」。“脳を癒す”ことをテーマにしている

HOT PEPPER Beautyのクーポンより/上質空間でありながら、通いやすい価格設定。髪を濡らす必要がないドライヘッドスパなので、気軽に立ち寄れるのも魅力。長時間のコースや、睡眠健康指導士のカウンセリング付・ヘッドエイジング付のメニューもある

ーまず目を引くのが、非日常感あふれる空間！HOT PEPPER Beautyの口コミでも、「雰囲気 4.9（2024年1月9日時点）」と高評価ですね。

「リラックスできて、眠りに落ちやすい空間」を意識しているので、物件選びの段階から重視するのが「音の問題」。電車の音がしないか、周辺が騒がしくないかなどをチェックしています。

あと、曜日ごとに照明やBGMを変えているんです。テーマがあって、月曜日であれば「“月”の静寂」、火曜日であれば「“火”＝灯りのぬくもり」といった感じで、それぞれに合わせた照明の色とBGMをセレクトしています。

各曜日をローテーションでリピートするお客さまも多い。香りや温度・湿度にもこだわり、「居心地・寝心地の良い空間」を目指している

ー曜日ごとにガラリと雰囲気が変わるとは、ワクワクする演出ですね。

実は、スパニストのためでもあるんです。毎日毎日、同じBGMを繰り返し聴いていると、頭がちょっと変になってしまう感覚がありますよね？なので、お客さまだけではなく、そこで働く人たちを飽きさせないように、という側面も。

ー施術後は、ドリンクサービスもあるとか？

好きなドリンクがコップで出てくる自販機を置いています。本格派のドリンクなので、正直、原価は高いですが…そこも手を抜きたくなかったので。自販機は、少し奥まったところにあります。お客さまの目にパッと入る場所に、機械的なものを置かない。これも、「非日常空間」にこだわっているからです。

また、会計はコース確定後、「施術前」にお願いしています。そうすれば、施術後はパウダールームで、ご自分のペースで過ごせますよね。

パウダールームには、ヘアアイロン・ブラシ・ハンドクリームを用意。ヘアサロンも運営しているので、最新のバームやセラムなどもある

「眠り」に誘うポイントは？

ー半個室なので、隣の方の声が聞こえてしまうことはありませんか？

「眠り」をテーマにしているので、そこも気をつけているポイントです。入店されたら、まず「お休みされている方もいるので、携帯電話はマナーモードでお願いします」とアナウンス。最初に力加減の確認をしますが、演出も兼ねてささやくように…。そうすると、お客さまも、自然と静かな声で返してくれます。そのあとは、「ゆっくりお休みください」とお伝えし、施術中は基本こちらからは話しかけないので、ほとんどの方が眠ってしまいますね。

こめかみや目の周り、首周りなど施術箇所によって指圧の感じ方は変わってくるそう。施術を行う箇所の指圧加減は最初に確認してくれるので、そのあとは心おきなく眠りの世界へ

受講料は自腹！だからこそ、本気度が違う

ー眠りについてしまうほど気持ちのよい手技を、習得するには？

未経験の方でも、5日間の座学・手技・接客・店舗研修で、クオリティの高い独自技術を習得できるカリキュラムがあります。ツボや脳科学を取り入れるなど、2019年のオープン後も、常に進化させて。これらを学べるスクールも開校したんです。

ー受講料は、おいくらですか？

一般の方は21万円、自社のスパニストは10万5,000円です（各税別）。

ー 一瞬「高い」と思ってしまいましたが、一生モノの技術を短期間で習得できることを考えると、安いかもしれません。「meleep」のスパニストも、自己負担なのですね！

そうなんです。うちは、求人応募がかなりありますが、採用率は1/30くらい。スクールの受講料を理由に、かなりの方が辞退されるのも事実です。ただ、言い方は悪いかもしれませんが、その時点で「ふるいにかける」状態になるというか…。そこまでのお金と時間を使ってでも唯一無二の技術を手に入れたい、という方は、リラクゼーションやお客さま満足への意識が非常に高いんです。

心斎橋は、在籍スパニストが20名弱。オープンから約5年が経ちますが、引っ越し・結婚という理由を除いた離職は、いまのところありません。

昇格制度で「指名売上率」を重視するワケ

ースパニストのモチベーションを、継続的に担保するための取り組みはありますか？

技術を覚えてそれで終わりになってしまうと、その後の目標が立てにくく、惰性になりがち…。そこで、「スパニスト昇格制度」を設けています。いくつかの条件を満たさないとテストは受けられず、合格したらランクに応じて「還元率＝給与」が上がる仕組み。その条件の中でいちばん重視しているのが、「指名売上率」です。

ー「売上」ではなく、「指名売上率」？

「meleep」は自由な働き方ができることが特長で、週1～2日働くママさんもいれば、ガッツリ週5～6日働きたい方も。そうすると、単純に「売上が高い・低い」だけでは評価ができないので、「指名割合」を算出します。いまは、個人ブランディングが大切な時代。指名売上率は、その基準にもなります。

ちなみにお客さまが支払う指名料は、HOT PEPPER Beauty経由で予約した場合、別途500円（通常は～1,000円）。デビューから年数が浅いスタッフは指名料無料など、スパニストによって異なる

ネガティブな「口コミ」評点が入ったら、レポート提出

HOT PEPPER Beautyの口コミより/「雰囲気の良さ」「技術の高さ」「接客の素晴らしさ」についてのコメントが多い

ーHOT PEPPER Beautyの口コミは、「4.81/1,059件（2024年1月9日時点）」と評点の高さ・件数ともに素晴らしいですね。

「4.81」では、まだまだだと考えます。ヘアサロンであれば「切られすぎた」など、わかりやすい失敗があるので、ちょっとしたことが「1」や「2」につながりやすい。でも、ヘッドスパって、失敗という失敗が少ない業種だと思うんです。

ーなるほど、そういう見方もあるのですね。口コミに対して、サロンで取り組んでいることはありますか？

まず、口コミ件数。ヘッドスパより先にヘアサロンを運営していたので、HOT PEPPER Beautyを長年活用していましたが、口コミの数が多ければ多いほど新規集客につながる実感がありました。「口コミの多さ＝信用」ですよね。なので、HOT PEPPER Beautyでご来店いただいたお客さまには、リピーターさんも含め、必ず「よかったら口コミを書いてください」とお願いしています。

返信ルールも決めています。総合評点で「1」か「2」がついてしまったときは、その口コミに気づいてから24時間以内に返信をすること。現場の担当者が書いたら、本部でチェックしたのち、本人と店長の連名で返信します。さらに、どうしてこのような口コミが入ってしまったのか、担当者が時系列で経緯・改善ポイントを記載＋店舗責任者のコメントを添えた「レポート」を提出してもらっています。

ーかなり徹底しているのですね。

この部分は厳しくやらないと、お客さまのためにも、お店のためにもならないので。でも、先ほども言ったように、うちのスパニストは入ってきた時点でみんな意識が高いので、前向きに取り組んでくれます。

目指すは、あと3年で全国に30店舗！

ー昨今、ドライヘッドスパ専門店が増えていますよね？

円形個室や価格帯など、表面的には「meleep」に似ているお店も増えてきたと感じます。でも、うちの本質はそこだけではない。徹底したリラックス空間、きちんとした技術・接客が根底にあるから、お客さまから支持を得ているのだと思います。

ー確かに、細部にわたってこだわり抜いていると感じました。現在ヘッドスパサロンは大阪・兵庫に5店舗ですが、今後の広がりは？

2024年中に4店舗オープンすることが、すでに決まっています。関西以外のエリアも視野に入れ、あと3年で30店舗展開を目指します。

ー「meleep」のスクールは、ライバルサロンの方が受講してもいいものですか？

もちろんです。実際に、ほかのサロンの方にも受講いただいています。今後展開していくなかで、FCも歓迎です！「meleep」のドライヘッドスパを、全国の方に体感してもらえたら、うれしいですね。