イノベーターが
見ている未来
vol.104
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
HEAVENS
代表取締役 小松 敦さん (age.64)
1993年、「HEAVENS(ヘブンス)」を設立。現在は、表参道をはじめ4店舗・3ブランドを展開。移り変わりの激しい美容業界にあって、30年以上もブランドサロンとして確固たる地位を築くのは、並大抵のことではない。長く続くブランドとは?大事にすべき美容師の本質とは?64歳の今もなお、お客さまが途切れることがない小松さんの思考に迫りたい。
・HP
https://www.heavens.co.jp/
第1章サロンは美容師の舞台
「美容師のサービスとしての“所作”を含めて
お客さまに見ていただきたい」
初めてうかがいましたが、ミニマムな内観が素敵ですね。
ありがとうございます。美容室は“人”が主役だと考えているので、インテリアはシンプルに。白がベースなのは、掃除を“わかりやすく”するためです。白だと、汚れたらすぐわかるので。
朝礼でも、掃除や片付けのことは毎日のように話題にします。モノはきちんと同じ方向に並んでいるほうがきれいだし、次に使う人も気持ちがいいですよね。きれいなもの・気持ちがいいものって、突き詰めていくと、ある程度は共通するものがある。そういった「日常の価値観」を共有することが、“センス”を培うベースになるんじゃないか、と考えています。
なるほど。掃除ひとつとっても、美容師さんに必要な“センス”に繋がるわけですね。
はい。あと白壁はレフ版のような役割もあって、お客さまの顔が明るく見えますよね。特に女性のお客さまは、顔に影ができてしまうのは、かわいそうなので。そういう意味でも、白にしています。
接客の部分で、大事にされていることはありますか?
うちでは基本的に、お客さまに雑誌はお出ししません。美容師は技術者なので、切るところや立ち姿といった“所作”も含めて、お客さまに見ていただきたいからです。
レストランのオープンキッチンで、料理人さんが淡々と料理をつくるのを目の前で見るのって、気持ちいいじゃないですか。整理された仕事は、動きにムダがなく、美しい。
同じように、美容師はサロンが舞台。仕上げひとつとっても、見てもらったほうが、お客さまに納得感が生まれる気がします。そういった気持ちを、サービスの根底にしていますね。
小松さんほどの経験があると、所作もサマになると思いますが、新人の方の場合はどうですか?
うちでは、“所作”も含めて、デビューの基準にしているんです。決められた時間のなかでスピード感を持って、頭の中でシミュレーションするのがプロフェッショナル。そういったものを養い、育てていくことを大切にしています。
HEAVENSはなぜ、30年以上も
ブランドサロンであり続けられるのか?