サロンオーナー必見!

人を雇ったら知っておきたい
労務のキホン

スタッフを雇ってサロンを経営していく上で必要な、労務関連の制度や法律の基本知識について解説していきます。

vol.17

〜就業規則について知ろう編〜

就業規則をつくるのは、経営者の義務?

みなさんのサロンでは就業規則をつくっていますか? そもそも就業規則とはどういうものなのでしょう。今回から3回にわたって、オーナーにとってもスタッフにとっても大切な、就業規則について解説していきます。
※青文字・下線が付いた箇所をクリックすると、その言葉の説明が見られます。

連載ショートストーリー

「サロンRの日常」17
  • 須多井 リスオ

    須多井 リスオ(スタイ リスオ)

    アシスタントを2年経験し、スタイリストデビューをしたばかりの23歳。「サロンR」勤務。デビューして意気揚々。オーナーも店も基本大好きで、サロンとともに成長したいとはりきっている。
  • 小尾奈 サロヒコ

    小尾奈 サロヒコ(オオナ サロヒコ)

    「サロンR」オーナー。スタイリストとして7年間別のサロンに勤務した後独立。「サロンR」を開業して3年目の33歳。スタッフを大事にしてサロンを成長させたいが、経営の知識はない。
  • 赤出 ミーコ

    赤出 ミーコ(アカデ ミーコ)

    「サロンR」に勤務するスタイリスト歴5年の須多井リスオの先輩。27歳。指名が多く、新婚で公私ともに絶好調。同僚からの信頼も厚いが、結婚を機に子どもがほしいと考え始めている。
  • 秋田センセイ

    秋田センセイ

    社会保険労務士。多数のサロンの労務管理相談を受けている、この企画の監修を担当。美容業界を他業界に負けないくらい、オーナー、スタッフともに働きやすい環境にしたいと考えている。
  • ビューティー

    ビューティー

    秋田センセイの名アシスタントの猫。先生の言いたいことを伝言するために、ここそこに現れるこの企画の陰のキーマン。サロンオーナーたちがいい経営者になることを心から願っている。
就業規則はスタッフを縛るためのものなのでしょうか?
POINT1

そもそも「就業規則」とは何のためにある?

「就業規則」の基本をおさえよう!

 学校に校則があるように、世の中では人が集団で活動する際には、何かしらの規則や取り決めがあります。会社などで雇い主が人を雇う際につくるのが「就業規則」です。就業規則とは労働時間や賃金、休日・休暇、休憩時間など、従業員の労働条件や職場の規律を定めたものです。就業規則が必要な理由は、職場でのルールを定め、労使(労働者と使用者)双方がそれを守ることで労働者が安心して働くことができ、労使間の無用のトラブルを防ぐためです。例えば、有給休暇が何日あるのか、基本給や手当はどう決められているのかが明文化されていなければ、スタッフが休んだときに有給にすべきか無給にすべきかわかりませんし、スタッフも毎月のお給料が妥当なのか判断することができませんね。
 就業規則は、「常時10人以上の労働者を使用する場合」作成しなければいけないことが、労働基準法で義務づけられています。また、作成した就業規則は所轄の労働基準監督署の署長に届け出なければならないとされており、規則を変更したときも、その都度届け出なければなりません。

就業規則をつくらないとどうなるの?

 就業規則をつくる義務のあるサロンが作成しなかった場合、30万円の罰金が課せられるとされています。法律で決められていることなので、行政指導を受ける前にきちんと整備しておきましょう。また、たとえ従業員が10人以下でも、スタッフに安心して働いてもらうためには、就業規則をつくっておくにこしたことはありません。

POINT2

「就業規則」の作成が義務づけられる「10人以上」の労働者とは?

パートも人数に含まれるよ

 就業規則の作成を義務づけられる条件の「常時10人以上の労働者」とは、正社員はもちろん、常時雇用をしているパートタイマーも含まれます。
 ただし人数は、事業場単位で適用されます。平たく言えば場所単位で設定することになっています。サロンでいえば、10名以上働いている店舗が複数ある場合、その店舗ごとに就業規則が必要となります。逆に、4店舗展開しているサロンで総従業員数は12名でも、それぞれ独立した店舗に3人ずつしかいない場合は、就業規則をつくる義務はないということです。

法人でなくてもつくらなければいけないの?

 各店舗で働く従業員の人数が上記の10人以上に該当していれば、法人個人事業主かにかかわらず、就業規則の作成が義務づけられています。

POINT3

「就業規則」はスタッフがいつでも見られることが大事。

つくれば終わりじゃないよ!

 就業規則は、雇い主と働く人の間の決めごとなので、従業員の過半数の代表者に意見を聞く必要があります。それは、従業員の代表と相談してつくるということではありません。作成は事業主側が行えばよいのですが、「これでいいですか?」と意見を聞いたことを書面に残しておくということです。従業員側から異論がでたとしても、内容が労働基準法などの法律に反していない限り、従業員からの意見に従う義務はありません(従業員の意見を聴くことが義務づけられているのは就業規則の作成義務がある場合です)。
 そして大事なのは、つくった就業規則を、全スタッフがいつでも見られる状態にしておくことです。就業規則の周知も労働基準法で定められています。

「就業規則」は印刷して全員に配らなければならないの?

 全員に書面で配布する必要はありません。例えば、印刷したものを1部サロンのどこかに保管しておいて、いつでも見られるようにしておけば実務上OKです。また、印刷しなくても、スタッフ全員が見られるパソコン上にアップしておいて、スタッフが必要なときにいつでも閲覧したり、プリントアウトできる状態であれば大丈夫です。

今回のポイント

就業規則は人を採用する際に、条件を提示するために必要なものです。作成の義務に該当していなくてもつくっておいた方がよいことはわかりますね? 次号では、就業規則のつくり方について解説していきます。

次号では、就業規則のつくり方についてお伝えします。

秋田繁樹さん

監修

特定社会保険労務士

秋田繁樹さん

プロフィール:

社会保険労務士法人 秋田国際人事総研代表。東京都社会保険労務士会所属。国内大手生命保険会社、大手企業のシステムインテグレーターなどを経て、独立開業。人事労務のスペシャリストとして、多店舗展開の美容室の労務管理や就業規則・社内規定などにも詳しく、多数の美容室の指導相談に当たっている。http://www.akita-sr.com/

編集・取材・文
長島佳子
イラスト
木村𠮷見

※掲載されている情報は2016年07月19日現在のものです

全ての記事の一覧へ