先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.56
結婚・出産・離婚を経てFCオーナーへ。
一家の大黒柱となったママ経営者の仕事観とは?
FC(フランチャイズ)展開で急成長してきた関西の「Lee」。アルバイトとして創業当初からかかわり、グループで産休第1号、女性FCオーナー第1号として活躍する永野さん。結婚、出産、パート勤務、離婚、FCオーナーと、激動のスタイリスト人生を歩んできました。本部の幹部として女性活躍の仕組み整備にもかかわるなど、しなやかかつ男前な永野さんの仕事観をうかがいました。
Staff Data
永野裕紀子さん 38歳
スタイリスト。
Lee 郡山店FCオーナー(奈良県大和郡山市)
スタイリスト歴17年。
9歳の男の子のママ。
日曜・祝日は休み、フルタイム勤務。
永野さんのLife History
★…ターニングポイント
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18歳
お姉さまが創業当時の「Lee」(現在の郡山店)に勤務していたことをきっかけに、高校3年生のときにアルバイトとして入社。
高校卒業と同時に正社員となり、同時に通信の美容学校にも入学。 -
19歳
★アシスタント時代、店が忙しく上手くいかないことにいらだち、社長の眞城さんに反発。退職を考えていた矢先、社長が当時の女性店長と話をし想いを吐き出せるよう、取りはからってくれた。それをきっかけに、社長への信頼感が生まれずっと「Lee」で働きたいと思うように。
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20歳
「Lee 奈良店」のオープンとともに異動。
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21歳
スタイリストデビュー。
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23歳
店長に就任。月間で約500人担当し、忙しさとスタッフのマネジメントでがむしゃらだった。
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25歳
★「歩合制にして給料を倍にしてやる」と社長が言い続けて、25万円だったお給料が本当に倍になる。有言実行した社長にますます尊敬の念を抱く。
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26歳
会社がFCの出店ラッシュで、会社で初めてのFC店舗に店長として赴任。
そんな多忙な生活の中、同じ社内で働いていた彼と結婚。 -
28歳
奈良店に戻る。一時期体調を崩していたこともあり、店長をおりる。
妊娠発覚と同時に急性胃腸炎を起こし、大事をとって休業に入る。 -
29歳
長男を出産。
生後6カ月のときに、週3日、10:00〜17:00のパートとして復帰。 -
31歳
パートで働いていたが、仕事をするならとことんやりたい気持ちがでてきた。
子育てと仕事の両立について悶々と考えはじめる。 -
33歳
離婚。シングルマザーになるにあたり、フルタイム勤務に。お母さまに仕事を辞めてもらい、長男の子育てをお願いする。お母さまと息子を扶養する大黒柱となる。FCオーナーになることを決意する。
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36歳~
★「Lee 郡山店」のFCオーナーとなる。女性では第1号。
永野さんへのインタビュー
Q. 女性FCオーナー第1号の道を選ばれたきっかけは?
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A. 「Lee」の女性スタッフの道標になれれば良いなと思い、仕事も育児も本気でしたいと思ったからです。
出産後はパートとして勤務していましたが、仕事はずっと続けたかったですし、やるならとことんやりたいと思っていました。でもお客さまを持ち続けると長時間勤務はやむを得ず、育児との両立は難しい。どうしたらいいか悩んでいたときに、FCオーナーとして経営者になれば、自分の時間管理がしやすくなるし、店や会社を大きくするなど仕事でやりたいことももっとできると思ったのです。そして、「Lee」の女性スタッフたちの道標になれればと考えていました。社長たち経営陣も「女性FCオーナーの育成」を考えているときだったので、挑戦することにしました。
Q. 実際にFCオーナーになられていかがですか?
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A. 「店長やスタッフを育てる」ことの本当の意味を痛感しています。
FCオーナーを目指してから実際に就任するまでに約5年間かかりました。FCオーナーになるには、自分についてきてくれるスタッフをつくらなければならないので、人をまとめる力があるか、経営陣から実績を見られます。スタッフが働きやすい環境をつくれるかどうかなのですが、そのためにみんなから支持される店長を育てなければならず、自分はその店長から支持されなければなりません。
FCオーナーになるまでにそうした訓練をしてきたはずなのですが、実際になってみると、「スタッフのために」という想いが全然足りなかったことに気づかされました。「みんながついてきてくれない」と感じることがあったのですが、それは上からものを見ていたのです。社長から「上に立つものはスタッフのために何をしてあげられるかを考えろ」と常に言われていたのですが、それはスタッフと自分が50:50の関係であると認識することだったと、FCオーナーになってから気づきました。本当にスタッフといろいろありましたが、それでもついてきてくれているスタッフに感謝しかないです。
Q. 離婚をされて、FCオーナーになる準備と子育ての両立は大変でしたか?
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A. 母の力を借りて、母ごと養うことにしました。
息子が生後6カ月のときにパートで復帰した際は、まだ保育園に入れず、母や親戚に子育てを手伝ってもらっていました。離婚して、本格的に仕事に取り組み、さらにFCオーナーを目指すには、中途半端はできないと思いました。ちょうど母も定年を迎える時期だったので、家でのんびりしてほしい気持ちもあり、母に仕事を辞めてもらい「私がお母さんを養う!」と覚悟を決めました。そして、準備を整えてから先輩FCオーナーたちに相談に乗ってもらいました。
みんな忙しいのにもかかわらず快く相談に乗ってくれてアドバイスをくれました。息子との時間の気遣いをしてくれたりして、プレイヤーのときよりも息子との時間をつくれています。今ではママというよりパパです(笑)。
Q. 何度も訪れたスタイリストとしてのターニングポイントに、必ず社長の眞城さんがかかわっていますね?
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A. こんな私を認めてくれたり、有言実行で経営する姿勢を心から尊敬しています。
高校生時代からお世話になっていますが、眞城さんはやると言ったらやる人なのです。スタッフが大勢辞めてしまった時代もありましたが、そこから「人を大切にする経営をする」と言ったら、本気でそう経営を変えました。歩合制を導入したときも、それまでは固定給で25万円だったのが、「お前らに50万取らせるからな」と宣言して、本当にそうなりビックリしました。
社長だけでなく「Lee」の男性幹部たちは体育会系でがつがつ行くタイプ。最初は女性スタッフが結婚などで辞めてしまうこともやむなしと思っていたようです。けれど、女性が長く勤められる制度をつくるとき、私がまとめたスタッフの意見をもとに、男性幹部たちはすぐ制度を実行に移してくれました。女性に対してどう接していいかわからなかっただけなんですね。ちゃんと話せば理解してくれる上司たちに恵まれていることを幸せに思います。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
長く美容師を続けるために、今の自分の環境の中で「会社やサロンへ自分は何ができるのか」、そして「会社やサロンは何を望んでいるのか」が大切です。その想いを伝え合えればきっとうまくいくと思います。オーナーが男性であればうちの上司のように、「女性スタッフのためにどうしたらよいのか? どんな環境がよいのかわからない」だけかもしれません。働きやすい環境づくりは、理解し合うことがとても大切だと思います。
Salon Data
Lee 郡山店【リー コオリヤマテン】
- アクセス
- 近鉄郡山駅から徒歩5分
- 創業年
- 1990年
- 店舗数
- 31店舗
- 設備
- 15席
- スタッフ数
- 9名(郡山店)