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海外のお客様への取り組み
2020年の東京オリンピック開催に向け、外国人旅行者は今後ますます増加が期待されています。インバウンドと呼ばれる外国人旅行者がお客さまとなる可能性を視野に入れ、美容サロンができることを考えましょう。
外国人のお客さまを迎える際、お国柄の違いによってお互いに戸惑うシーンもあるでしょう。喜ばれるおもてなしをするためには、お客さまの日頃の生活習慣を知ることが大切です。そこで海外のビジネス情報の調査研究も行っている日本貿易振興機構(JETRO)にご協力いただき、美容を中心にした海外のライフスタイルをご紹介します。対象国は2015年の訪日外国人旅行者数トップ3である、中国・韓国・台湾。今回は3カ国中で最も訪日旅行者が多かった、中国の様子を見ていきます。
Q
A
1カ月の可処分所得は平均約16.5万円。
そのうち美容には約2.3万円を使っています。
ひとくちに中国といっても地域などによる生活環境の格差は大きく、平均を出すのはなかなか難しいものがあります。一例として、訪日経験がある20歳~49歳の中国(上海、北京、広州、大連)および香港に住む女性に対して2015年に行った調査をご紹介します。その調査によると、中国4地域に住む人の所得のうち支払い義務がある税金や社会保険料を差し引いて自由に使える「可処分所得」は、平均で月に約16.5万円。香港在住の人は約14.2万円という結果でした。
先に挙げた「可処分所得」は家賃や食費などの生活費や交際費に使われるものです。そのうち美容にはどれくらいの金額を割り当てているのかについても、同調査では質問しています。その結果、中国4地域在住者は月に約2.3万円、香港在住者は月に約1.9万円を美容関連に使っていました。
ちなみにファッション関連に使用する1カ月あたりの金額はというと、中国4地域在住は約2.3万円、香港在住者は約2.1万円でした。
Q
A
中国では約74.5%もの女性が月1回以上利用!
代金はプリペイドカードで支払うのが主流です。
中国のヘアサロン利用金額も気になります。訪日経験がある20歳~49歳の中国人女性(上海・北京・広州・大連在住)に対して2012年に行った調査によると、1回あたり平均5970円。香港在住の女性の場合は7475円で、中国全体よりも平均額が1505円高くなっています。また同年に調査した、20歳~64歳の日本人女性の平均利用額は6679円。香港に限っていうと、日本よりも平均利用額が高い結果となりました。
次にヘアサロンの利用状況を見てみましょう。訪日経験がある20歳~49歳の女性に対して2015年に行った調査によると、月1回以上利用する人が香港では約36%、そして中国(上海・北京・広州・大連在住)では約74.5%にものぼりました。日本人女性(20歳~69歳)に対する2015年調査では年に12回以上利用する人、つまり月平均1回以上の利用者が約6.2%だったので、月1回以上利用する中国人女性の割合の高さは驚きです。
上海の人のヘアサロン利用実態を紹介したJETROの資料によると(※1)、「カットだけでなくシャンプーや肩のマッサージを目的に通う人も多い」とか。ヘアサロンがリラクゼーションスポットの役割も果たしているため、月の利用頻度も高くなっているようです。
中国における一般的なヘアサロン業態についてもJETROが調査しています。2010年の調査時点の状況では、中国では最初に数千元~数万元のプリペイドカードを購入し、そこから支払うのが一般的でした。購入金額に応じた割引が受けられるものの、使い切る前にサロンが廃業することもあるようです(※2)。
ヘアサロンのスタッフ構成は、北京では男性1に対し女性4という割合で、平均年齢は26歳(※2)。上海では8割以上が男性スタッフで、平均年齢は25.5歳(※3)。女性スタッフが多い日本の美容室に、上海の人が訪れると驚くかもしれませんね。
Q
A
ネイル・エステティック共にサロン軒数が多く、
日本より身近な存在といえるようです。
北京では街のあちこちにネイルサロンが見られ、メニューも豊富に揃っていて利用者からの技術に対する評価も高い様子。価格帯に関しては2010年の調査では、北京のサロンでジェルネイルは約2600円(※4)。
上海市内にも、2013年の調査時点で約2800軒のネイルサロンがありました。同調査から価格帯もチェックしてみましょう。市内に8店舗を展開し、リクライニングチェアを備えるなどのサービスと高い技術力で上海屈指の人気を誇るネイルサロンの平均客単価は約3600円でした(※5)。
エステティックサロンも数多く、安価なサロンから外国ブランドの高級店まで価格帯はさまざま(※6)。上海の様子を見てみると、ショッピングモール内にあって若い女性で賑わうデイスパや、ラグジュアリーホテルのスパ、漢方系に、痩身、産後ケア…と、業態もサービス内容もバラエティ豊か(※7)。多種多様な価格やサービスから、自分好みのサロンを選んで楽しんでいるようです。
訪日経験がある20歳~49歳の中国(上海、北京、広州、大連)および香港に住む女性に対して2015年に行った、ネイルサロンとエステティックサロン(ホテルスパ)の利用状況もご紹介します。同調査によるとネイルサロンを月1回以上利用する人が、中国4地域の在住者は約59.5%、香港在住者は約35%にのぼります。ホテルスパに関しては、月1回以上利用する人が中国4地域の在住者は約56.5%、香港在住者は約50.5%でした。
訪日経験者に限った調査のため、回答者が金銭的に余裕のある層だと考えても、ずいぶんと月の利用頻度が高く感じられます。同じく2015年に行った、20歳~69歳の日本人女性に対する調査では、年に12回以上(平均月1回以上)利用していた層はネイルサロンが約1.1%、エステティックサロン(フェイシャル)が約0.9%でしたから、中国では日本よりもネイルやエステティックを気軽に楽しむ文化があるといえるでしょう。
次回は韓国の人々のライフスタイルをご紹介します。
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