先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.63
月に300人担当していた「アレンジの女王」が、ママとなり再ブレイクした理由とは?
「apish」代表の坂巻哲也さんのメインアシスタントとして、創業時から参加していた樋口さん。小柄でかわいらしいたたずまいに、年齢を聞いて誰もが驚かされます。独身時代から「ヘアアレンジの女王」としてメディアでも活躍。ママになった今、外部のセミナーなどにひっぱりだこ! 坂巻さんから「再ブレイク中」と言われる樋口さんの働き方について、お話をうかがいました。
Staff Data
樋口いづみさん 41歳
スタイリスト兼プレス担当。
「apish AOYAMA」(東京都港区)勤務。
スタイリスト歴17年。
7歳の女の子のママ。
定休日と日・祝日は休み、9:00~16:00の時短勤務。
樋口さんのLife History
★…ターニングポイント
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18歳
高校卒業後、専門学校に入学。
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19歳
専門学校卒業。現「apish」代表の坂巻哲也さんにあこがれて、インターンとして原宿の大手サロンに入社。違う店舗勤務だったため、当初は坂巻さんのアシスタントにはなれず。
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21歳
入社3年目でようやく坂巻さんのアシスタントに。トップアシスタントまで昇格し、充実の日々。
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23歳
坂巻さんが独立することになり、ついていくことを決意。元のサロンを退職し、しばらくアルバイト生活をしながら、新しいサロンの設立準備を手伝う。
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24歳
裏原宿に「apish」オープン。坂巻さん以下7名で1からサロンをつくった。備品購入から名刺づくりなど、すべて自分たちでやらなけらばならないことに戸惑いつつも、何もかもが楽しい日々だった。
オープンして間もなく、スタイリストとしてデビュー。 -
25歳
★カリスマ美容師ブームでサロンは大繁盛。お客さまのニーズに応えているつもりだったが、坂巻さんから「オレの真似しても売れない」と言われ、お客さまの幅を広げるために、自分が何をしたらいいか考え始める。自分が好きな「アレンジ」を極めようと、今まで以上にがんばった。
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27歳
アレンジで評判になり、美容雑誌などで「ヘアアレンジの女王」と言われるようになる。
この頃、2店舗目の副店長に。 -
31歳
2店舗目の店長に就任。アレンジという強みを活かし、坂巻さんたち先輩スタイリストとは違う個性で売れっ子に。
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32歳
共通の友人を介して知り合った会社員のご主人と結婚。店長だったので忙しい日々は変わらず。
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34歳
妊娠発覚。「apish」で初めての妊娠だったため、どうしていいかわからなかった。坂巻さんから「とりあえず、好きなように働いていいから、みんなで子育てするつもりでがんばろう」と言われ、産休に入り出産。しばらく育休を取る。
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35歳
★長女が7カ月のときに復帰。
フルタイムのスタッフには売上ではかなわないため、「女性」や「ママ」ならではの視点で自分の新たな強みを考える。 -
39歳~
会社のプレス担当を兼任。さらに、セミナー講師の依頼も増え、充実した日々を送っている。
樋口さんへのインタビュー
Q. 代表の坂巻さんが「樋口は今『再ブレイク中』」と語っていましたが、最初のブレイクはいつ頃でしたか?
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A. 最初にメディアなどに取り上げていただいていたのは、自分の強みをつくった20代の頃。
「apish」がオープンして間もなくカリスマ美容師ブームが到来。坂巻効果もあって、サロンには連日、美容雑誌のキリヌキを持参されるお客さまが大勢来店されました。毎日コピーロボットのように同じスタイルをつくり、お客さまからも満足いただいていました。ところが坂巻から「オレの真似してても売れないよ。お前自身の何かを見つけなきゃ」と言われたのです。でもその意味がわかりませんでした。
同じ頃、私が小柄で童顔だったことで、新人のように見られて、お客さまから「担当を替えてほしい」と言われたこともありました。現・副社長の網野からも「大人っぽい服を着ろ」と言われたりして、自分のスタイリストとしての個性を考え始めました。
とはいえ何をしていいかわからず、とりあえず「アレンジが好きだから極めてみよう!」と思い立ったのです。そのうち、かわいい女の子らしいスタイルを好むお客さまからの指名が増えたり、雑誌などに取り上げていただくようになりました。「強みを見つけた」というより「好きなことをがんばって、強みにした」という感じですね。
Q. 30名のスタッフと300人/月のお客さまを抱えた店長時代の妊娠。ご自身と会社の人々の反応は?
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A. 妊娠したスタッフは私が初めてだったので、お互い何もわからない状態でした。
私が妊娠したタイミングが、ちょうど会社が3店舗目の出店を控えていたときでした。だから、坂巻も網野も「おめでとう」と言ってくれたものの、相当戸惑ったようでした。自分自身、仕事は続けたかったものの、産んでみないと状況はわからないし、会社の人全員が同じだったと思います。上司たちから「細く長くやってくれればいい」と言われ、「期待されてないのかな?」と思ったこともありますが、そうではなく「とにかく辞めないでくれれば、どうにでもする」と。なので、休みも勤務時間もこちらの事情に合わせてもらえることになりました。お客さまには半年前くらいから徐々に、すべて対面で後輩たちに引き継ぎをして産休に入りました。
Q. 復帰後の育児と仕事の両立はいかがですか?
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A. 親子とも健康管理を徹底し、お客さまへのご迷惑を最小限にしています。
復帰後、当初は土日に休ませてもらい、勤務時間もオープンから17:00まで。両立が大変ということはなく、むしろメリハリがついている感じです。
スタッフの理解はあったのですが、予約のお客さまにご迷惑をかけることだけはしたくなかったので、自分と娘の健康管理は徹底しました。手洗い・うがいなどの基本はもちろん、娘がちょっと風邪気味かと思ったらすぐ病院に連れて行ったり、「小さいうちに動物園に連れて行くと免疫力があがる」と聞いてそれを実行したり。保育園の先生ともよい関係を築くように心がけました。そのせいか、保育園から発熱で呼び出されたのは1・2回くらいで済みました。
Q. そして現在、「再ブレイク」と言われるきっかけはどんなことでしたか?
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A. 「女性として」「ママとして」できることを考えました。
出産後は時短勤務のため、フルタイムのスタッフのように売上で貢献はできないと思いました。ママスタッフが増えることは、会社にとってみれば本来リスクが高いことです。だからこそ、「ママである」自分にしかできないことをしなければ、会社にも自分にもメリットがないと。
ママ視点でサロンを見渡すと、ビジネスチャンスはいろいろ見つかりました。たとえば以前からやっていたウェディングや七五三、卒園式のスタイリング。出産前の自分の提案は表面的で薄っぺらかったですが、実体験から提案やアドバイスをすると、お客さまの納得感が違いました。
また、独身時代は苦手だったセミナーの講師の仕事も、今は「女性スタイリストとして」のテーマが多くなりました。自分の経験を語ることで、「がんばろう!」と思ってもらえることがうれしく、お声がかかれば積極的にお引き受けしています。
さらに、会社がママスタイリストたちに接客以外の役割を与えてくれるようになり、現在プレス担当も兼務しています。時短でお客さまを多く担当できない分、新たな活躍の場をもらえ、ますますがんばるきっかけになりました。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
会社と自分は持ちつ持たれつ。子どもができても長く仕事を続けたいと思ったら、会社やお客さまから「いなくなったら困る」人材になればいいのです。それは売上だけとは限りません。「いないと淋しいな」というムードメーカー的なことでもいいと思います。会社にとって必要な存在になれば、出産・育児などに直面したときに、「どうやったら続けられるか?」を会社も考えてくれるはずです。「私はこれなら誰にも負けません!」と何かひとつ自信をもって言えるよう、がんばってください!
Salon Data
apish AOYAMA 【アピッシュ アオヤマ】
- アクセス
- 東京メトロ表参道駅から徒歩5分
- 創業年
- 1998年
- 店舗数
- 6店舗
- スタッフ数
- 18名(apish AOYAMA)