第3章10年、20年後の「ガーデン」の姿とは?
「グループとして進化・成長ができていれば、
僕らが生んだ“ガーデン”ブランドは、なくなっても構わない。」
「美容業界の今後」についての予想はありますか?
今は美容学生が減っていて、それに伴い人材不足が起きて、個人経営店舗が減少という問題が起きていますよね。この傾向が続くと、「人を集めて育てていける力がある企業の大型店舗」か、「個性的で小さな店舗」が生き残るという「二極化」が起きる。そうした状況で自分たちはどう進むのか、選択が迫られるでしょう。
私たち「ホットペッパービューティーアカデミー」としても、なり手不足や教育体制の改革に向けて、何ができるのかを考えさせられます。
だけど考えてみると美容室がつぶれて減少している現状って、「美容室の数が多過ぎて飽和状態だから」でもありますよね。そうすると、ある程度の淘汰が起きるのは仕方がないかなとも感じています。「美容師という仕事は、そんなに甘いものじゃないよ」と。店舗を選ぶのは、お客さま。結局は「選ばれる店」や「選ばれる人」であることが大事なんですよね。
「ガーデン」の未来についても、お聞かせください。2014年にはニューヨーク出店、2015年には都内を離れて郊外への出店もされました。そうした「海外・郊外出店」の方向は、今後も継続されますか?
僕自身は、これからもっと郊外店にチャンスがあると考えています。でも、それに共感するスタッフがいなければやりません。海外進出も同様。ムリにやらせるものではなくて、出店する根本は「やりたいスタッフがいるか=人ありき」です。
この10年間は店舗を増やしてきましたが、拡大路線は続けますか?
これまでと同じようにスタッフの個性を開花させて、彼らが夢見る店舗を出店していく姿勢は変わりません。変わるとしたら、現在は「ガーデン」というヘアサロンが中心になってグループを引っ張っているけれど、これからは「スタッフの店がその役割を果たすようになる」という点でしょう。
ヘアサロンの「ガーデン」ブランドは、どこまでいっても結局は「僕と森内、加藤の3人の店」。この3人の勢いが衰えたら店の勢いも失われていきますから、そうした交代が起きるのは当たり前のこと。
トップが交代するとブランドを引き継ぐのは難しいといわれますが、須崎さんは「ブランドは一代限り」というお考えなんですね。
「ブランド=有名サロン」という意味合いであれば、その通りです。モノを売っている業種であればブランドを引き継ぐこともできますが、僕らが売っている商品は「人」。人が入れ替われば、サロンの魅力、つまりブランド力も変わります。サロンのカラーを決めてきたトップが交代すれば、サロン自体も大きく変化することは、致し方ないと思うんです。
だから、「ガーデン」の大きな目標として「アジアのリーディングカンパニーになること」を掲げています。これも「ブランド集合体としてのカンパニーが目指すもの」です。極端なことをいえば、未来に、「ガーデン」というブランドがなくなっていても構わない。
もうひとつ、カンパニーとしての成長を目指すとき、ただ人数が増えればいいとは思っていないんです。今はなり手不足から「採用」にみんな目が向いていて、1年後に何人残ったかに躍起になっていますよね。でも僕らは人数じゃなくて、「どんなすごい奴が残ったのか」ってところを、大事にしたいと思っています。
大人の魅力をまとったその雰囲気に、思わずストレートに聞いてしまいました。
「何でそんなに、かっこいいんですか?」と。
「モテたいからかな(笑)。モテるためには、色気がないといけないでしょ?
その色気って、“どれだけ仕事をやれているかという充実感、闘志からにじみ出るもの”だと思うんだよね。」
サラッとおっしゃいましたが、言葉に重みがあります。
須崎さんは、今年50歳。
年齢とともに“実績を重ねてきたからこその、かっこよさ”。
その姿が、長年トップサロンであり続ける「ガーデン」の存在と重なりました。