先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.70
アシスタントで妊娠しても、あきらめない。
時短で月140万を達成し、さらに上を目指す!
白い店内が癒される雰囲気の「HAIR TIME rest」。そこでママスタイリスト1号として活躍する笹井さん。ご主人を置いて中学生の息子さんと2人でハワイ旅行も楽しむという子煩悩ママ。月140万を売上げながら「まだまだやれる!」というガッツを見せる一方、「セーブするのも大事と学んだ」と語る、仕事への想いをうかがいました。
Staff Data
笹井千絵さん 36歳
スタイリスト兼まつげエクステスタッフ。
HAIR TIME rest(大阪府高槻市)勤務。
スタイリスト歴12年。
中学2年生の男の子のママ。
第1・第3・第5金曜が休日、9:30〜18:30で勤務。
笹井さんのLife History
★…ターニングポイント
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19歳
高校卒業後、「HAIR TIME」に就職。同時に、通信制の美容専門学校に入学し、働きながら美容師資格の取得をめざす日々。
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22歳
アシスタント時代の専門学校在学中に妊娠が発覚し、会社員のご主人と結婚。
スタイリストをめざしたい一方で、前例がなく不安でいっぱいだった。先代代表(現会長)に報告すると「産んだらまた戻っておいで」と言われ、救われた気持ちになる。
会社は一旦退職し、長男を出産。 -
23歳
長男が生後10カ月のときに準社員として再入社。
育児との両立は大変だったが、レッスン日を週2日決めて再びスタイリストをめざしてがんばり始める。 -
24歳
念願のスタイリストデビュー。
それからは遅れを取り戻そうと、時間の許す限りがむしゃらに働いていた。 -
31歳
★現・代表の石井さんから、女性活躍が進んでいる高知のサロン見学を薦められ現地へ。ママスタイリストの先輩たちに会って、共感するとともに、自分とは違う働き方について学ぶ機会となった。
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32歳
社内のママを集めた「ママ会」を発足。
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33歳~
新しいことにもチャレンジしようと思い、休日にまつげエクステの学校に通って資格を取る。
スタイリスト兼まつげエクステスタッフとして活躍中。
笹井さんへのインタビュー
Q. アシスタント時代の妊娠は不安が多かったそうですが、復帰を決めたきっかけは?
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A. スタイリストになりたい意志と、当時のオーナーの言葉です。
妊娠が発覚したときはまだ通信の専門学校在学中のアシスタントでした。当時「HAIR TIME」にはママスタッフがいなかったので、復帰はむずかしいだろうと思う一方で、スタイリストをめざしたい気持ちもあり、「どうしていいかわからない」という不安でいっぱいでした。けれど妊娠を先代の代表に報告したら「おめでたいことだよ!続けたいなら、産んだら戻っておいで」と言ってくださったのです。
ただ、当時は前例がなかったので、一旦は退職という形にして、出産後保育園が決まったら復帰させていただくことにしました。長男が10カ月のときに入園でき、準社員として再入社させていただきました。復帰当初は9:00~17:30の勤務でした。
Q. 仕事と育児を両立しながらスタイリストをめざすのは大変ではありませんでしたか?
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A. 実家や主人の協力で、週2日は深夜までレッスンさせてもらいました。
復帰当初は慣れない育児との両立で、レッスンの時間を思うように取れませんでした。でも、復帰したときには同期はスタイリストデビューしているし、後輩も入っていて、遅れを取っていることに焦りを感じてましたね。復帰後は元の店舗に戻ったのですが、私の気持ちを察してか、知っている人の少ない店舗に異動させてもらえました。また、先代の代表が「子どもがいることは財産なんだよ」と言ってくださったことも不安が溶けた要因です。
それからは、「計画的にレッスンしよう!」と決め、週に2日は閉店後にみっちりレッスンできるよう、実家や主人に協力してもらいました。その日は帰宅が深夜になってしまいましたが、おかげでスタイリストデビューすることができました。
でも、デビューしてからの方が大変だったかもしれません。前例がないから必死でやるのが当たり前と思って、かなり無理な働き方をしていたように思います。ときには子どものお迎えで1回家に帰ってからまた出社することもありました。
Q. 女性活躍が進む高知のサロンを見学して、どのように考え方が変わったのでしょう?
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A. 「がむしゃらでなくても続けられる働き方」も示さなければいけないと知りました。
「HAIR TIME」では私が最初のママスタッフだったので、高知のサロン見学で先輩ママの話を初めて聞けました。ママになると時間制限があるため、出産前とは同じように働けません。その歯がゆい気持ちを共感しあうことができて、涙が出ました。それとともに、「以前と同じように働くことをあきらめることも大事」と教えられました。
それまでは、「自分さえ無理してがむしゃらにやればいい」と思ってがんばってきたのですが、私ががんばるほど「ママになっても笹井さんのようにはできない」と思ってしまう後輩がいたかもしれないのです。自分の働き方はママスタッフとしての見本の一例で、「無理せずできる範囲で続ける」という選択肢も示さなければいけないのだと。私は実家が近く、主人も育児に協力的ですが、子育ての環境は人によって違います。だから私自身も、「気負いすぎず、セーブすることの必要性」に気づかされました。
Q. そうは言っても月140万の売上をあげている秘訣は?
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A. 「時間内でできることは何か?」を常に考えています。
自分個人としてはやっぱり「がんばって、常にチャレンジ精神を持っていたい」と思っています。息子が中学生になってからは18:30まで働けるようになりましたし、月140万よりもっとできると考えています。まわりのスタッフに配慮してもらっている分、会社にもっと貢献したいですし、時間を理由にしたくないという思いもあります。「限られた時間内でできることは何か?」を常に考えるようになりました。
それで、まつげエクステの資格も取ろうと、3年前に休日を利用して学校に通いました。月に3回の通学で資格を取り、いまはヘアとまつげエクステの両方を担当しています。
Q. 女性スタッフの声を代表に伝えることもしているそうですね?
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A. 「ママ会」に始まり、すべての女性スタッフが入れる会をつくりました。
ママスタッフは増えてきましたが、5店舗あるのでそれぞれが散らばっていて、心細さを感じている人もいるのではないかと思いました。まわりのスタッフに配慮してもらっているので、がんばっていても心のどこかにひけめを感じてしまっていたり。それで、店舗を超えてママ同士で集まって語り合える「ママ会」をつくったのです。2・3カ月に1回、定休日にランチしながら、最初はおしゃべりするだけで安心できる会でした。
でも、「ここで出た声を制度などに反映できたら、経営にも役立つのでは?」と思い、システム化させることにしました。ママ以外の女性スタッフの方が多いので、若手は「女子会」、子どもがまだいない既婚者は「妻会」、30代後半のベテランは「大人会」として、それぞれの立場で悩んでいること、会社への希望をまとめて代表に伝えています。長く勤務させてもらっているせめてもの恩返しと思っています。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
勤めているサロンに女性のための制度がなかったとしたら、それをつくってもらえるようオーナーに働きかける勇気を持ってほしいです。女性のための制度に限らず、どんなことでも必ず開拓してきた第1号がいて、歴史があるはずです。自分が切り拓くには、「会社に残ってほしい人材」になっている必要もあります。だから若い頃は必死にがんばって、オーナーに聞く耳を持ってもらえる人になってほしいですね。
Salon Data
HAIR TIME rest【ヘアータイム レスト】
- アクセス
- JR高槻駅から徒歩3分
- 創業年
- 1982年
- 店舗数
- 5店舗
- 設備
- 15席(HAIR TIME rest)
- スタッフ数
- 14人(HAIR TIME rest)