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先輩女性インタビュー

サロンで働く先輩女性たち

長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!

vol.72

月200人のお客さまが、産休後半減!
それでも時短で月250万を達成した秘訣とは?

新潟から常に最新のトレンドを発信している「SNIPS」グループ。幅広い年代のお客さまに、それぞれの個性を最大限に引き出すデザインを提供しているのが「CAOS」です。独身時代に店長となり、2児の出産・産休期間もずっと店長を任され続けてきた杉浦さん。「イヤイヤ人間だった」と語る若手時代から、店長として、母としての覚悟を決めて、出産後に自分のギネスを達成するまでに至った、杉浦さんのスタイリスト人生についてうかがいまいした。

Staff Data

杉浦志穂さん 37歳

スタイリスト兼SNIPS CAOS(新潟市中央区)店長。
スタイリスト歴10年。
5歳の男の子と1歳の女の子のママ。
9:00〜17:00で勤務。

杉浦さんのLife History

★…ターニングポイント

  • 18

    保育園時代からあこがれだった美容師を目指し、専門学校へ入学。

  • 20

    コギャルだった専門学校時代、「めっちゃコギャルが集まっているサロンがある」と友人に聞いた「SNIPS」で夏期実習を受ける。オーナーの由藤さんから誘われて、そのまま就職。
    コギャルブームで多忙を極め、手荒れにも悩まされて、毎日「辞めたい」と思っていた。

  • 24

    公私の事情が重なり、一度「SNIPS」を退職してディーラーに転職。営業先のサロンでデモンストレーションをするインストラクターとして1年半勤める。

  • 26

    2店舗目となる「SNIPS LOHAS」のオープンに合わせて「SNIPS」に復職。インストラクター時代に学んだスパの技術を「SNIPS LOHAS」に伝授。

  • 27

    本店でスタイリストデビュー。カットは得意ではないと思っていたので、うれしい気持ちより不安が強かった

  • 28

    「SNIPS CAOS」オープンとともに店長に任命される。売上でトップだったわけではなかったため、店長になることも最初は不安だった。

  • 31

    ★妊娠が発覚し、結婚。店長として仕事が楽しくなってきた時期だったし、ママスタイリストの前例がなかったため、子どもを産むことを迷う。オーナーから「ばかじゃないの、産めよ」と言われ、出産を決意。出産1カ月前に店長のまま産休に入る。
    長男が生後2カ月のときに9:00〜17:00の時短勤務で仕事復帰。

  • 33

    産休で半減していたお客さまが産前の200人/月に戻り、トップスタイリストとなる。

  • 35

    長女を妊娠。長男のときの失客の経験を活かし、引き継ぎをきっちりと行い、再び店長のまま産休・育休に入る。
    長女が3カ月のときに職場復帰。

  • 36歳~

    副店長が産休に入ったこともあり、時短勤務ながら250万円/月という自分のギネス達成。

  • 杉浦さん自身もコギャルファッションに身を固めていた当時、コギャルで行列ができていた「SNIPS」に就職

  • 不安ながらも仲間の力を信じて店長になった頃

  • 長男を出産。「SNIPS」では初めてのママスタイリストとなった

  • 「ふたりの子どもともっと向き合う時間をどうするかが今の課題」と語る

杉浦さんへのインタビュー

オーナーの由藤さん(右)について、「放任主義のようで、結局は由藤さんの手のひらで転がされている」と杉浦さんは思っている

Q. 幼少期からあこがれの職業だったのに、「辞めたい」「不安」とネガティブだったのはなぜですか?

A. 技術者としての自信が持てなかったからです。

 アシスタント時代は、ひたすら忙しいのと、手荒れがひどくて。仲良しだったスタッフ同士でいつも「辞めたい病」みたいに愚痴をこぼしていただけだったと思います。4・5年くらいずっと「辞めたい」と言いながらも続けていましたから。
 スタイリストになってからは、基本の練習はしていたものの、カットに自信がなく、人見知りで接客も好きではなかったので、お客さまの前に立つのが怖かったですね。それなのに、1年後くらいにオーナーから「店長をやれ」と言われて、即「いやです」と答えました。当時、売上が月に100万もなかったですし、指名のお客さまが少ない自分が店長なんてできるわけないと思ったからです。
 けれど、オーナーの由藤さんは、数字で部下を判断する人じゃない。見えないところで人のためにがんばっていることを評価してくれる人。現在「SNIPS」4店の店長は、みんな売上がトップでないときに店長に指名されていて、後からトップになった人たちです。がんばりを見てくれていることもわかっていましたし、仲間がついてきてくれる自信はありました。だから翌日「やっぱりやります」と伝えて、それ以来ずっと店長を任されています。

「状況を変えるには自分を変えるのがプロ」と気づいたそうだ

Q. 実際に店長になってみて、それまでと何が変わりましたか?

A. 技術も接客も、自分の対応を変えることでまわりにも相乗効果が現れました。

 オーナーが「CAOS」にいない日は、お客さまが全然来ない日がありました。当時「CAOS」のスタイリストはオーナーと私しかいなかったので、私にお客さまがつかなければ店は伸びないことを思い知らされたのです。
 それで、今までは練習しているつもりでも全然できてなかったと気づき、どんなお客さまのニーズにも応えられるよう、必死で練習しました。「杉浦」でなく「店長」を指名してくるお客さまもいるので、店長という看板を背負った技術を持たなければならなかったのです。接客が苦手とは言っていられないので、自分から話すのが苦手なら、お客さまに質問することで会話を盛り上げようと思い、無理してでもがんばりました。
 そうやって自分を変えていくと、みんなも同じようにがんばってくれるようになりました。売上げも徐々に伸びていき、初めて仕事が楽しいと心から思えるようになりましたね。

「自分や家族が生きるために自分で稼ぐのは当然」という杉浦さん。「男の人に頼って生きていこうと思ったことはないですね」

Q. 会社で最初のママになるときも、「産みたくない」から「産んでがんばる」に変わった要因は?

A. 母として、人としての覚悟ができたのだと思います。

 セミナーの講師にも呼ばれるようになったり、仕事が一番乗っていたときの妊娠で、初めは「産みたくない」と思ってしまいました。けれど仲間もオーナーも「産め」と言ってくれました。前例がなかったのでオーナーに相談しましたが、「オレはわからないから、産休期間とか自分で決めて。でも店長は辞めないで」と。ある意味放任なのですが、それも信頼してくれている証拠だと思いました。それで自分で一般的な産休・育休のことや、保育園に入るための手続きや期間などを調べました。店長としてサロンにかける迷惑は最小限にしたかったので、「産前1カ月、産後2カ月」の休みを取ることにしました。
 幸い保育園もすぐ見つかり、実家の母の協力もあって、予定通りに復帰できました。自分が母になったことで、働く覚悟がさらにできましたね。主人は飲食業で明け方まで仕事で育児の協力はあてにできないし、「自分が一番大事」な人(笑)。だから私がしっかり仕事も家のこともやらなきゃと。仕事をしっかりやるにはお客さまを増やさなくてはと、店長としての自覚もさらに高まりました。

最初の産休でお客さまを失ったとき、引き継ぎとチームで仕事をする大切さを知った

Q. 産休復帰後にお客さまが半減したそうですが、現状までどうやって戻したのですか?

A. 引き継ぎが甘かったので、2人目のときはチームを作り、自分のファンを増やす努力もしました。

 1人目の出産の時は、3カ月の休暇を甘く見ていました。お客さまの中には3カ月に1度の来店の方もいるので、引き継ぎの重要性をわかっていなかったのです。そのため、産前は月に200人いたお客さまが産後は100人以下しか戻らなかった。
 その反省で、2人目のときは、お客さまに引き継ぐスタッフを選んでもらったり、引き継ぎノートを作ってスタッフにお客さまの特徴や会話の話題などを伝えたり。お客さまが安心できるようにチームを組んで臨みました。私がスタッフを信頼して頼るようにしたのです。
 また、お客さまとの信頼関係をより密にするために、復帰後は自分のファンを増やそうと思い「自分でなければできないこと」を考えました。例えば子どものいるお客さまと、子育てや育児と仕事の両立について会話したり、私にできる母としてのアドバイスをしたり、その逆もあったり。すると、共感して応援してくれるお客さまが増えていきました。

「子どもができても仕事はいつも通りやればいい。でも忙しさで子どもに母親らしいことをしてあげられないときがちょっと淋しい」と語る杉浦さん

Q. 時短勤務の店長として、育児と仕事の両立で大変なことはありませんか?

A. 仕事は後輩を育てれば大丈夫。育児は現在も悩みながら、お客さまに相談しています。

 「SNIPS CAOS」は副店長もママスタイリストで、時短勤務です。なので私たちが不在の夜にサロンをまとめる人材が必要です。それで、同じ年齢の3人のスタッフを「ナイト店長」と称して、交代制で責任を持たせるようにしています。責任を持たせると人は成長し、3人の中でのコミュニケーションも、私と3人のコミュニケーションも良くなりました。
 ママスタイリストは時間との勝負。限られた時間でいかに生産性を上げるかが大事なので、毎朝の朝礼で、予約のお客さま一人ひとりの段取りを細かく決めて共有しています。施術だけでなくスタッフフォローも店長の仕事なので、昼間スタッフを観察して気になる子がいれば、その日のうちに電話やメールでフォローします。
 最近の悩みは、肉体的な疲れが気持ちに影響してしまって、忙しい日は子どもに優しくする余裕がなくなってしまうこと。子どもとちゃんと向き合ってあげられる時間と心の余裕をどうしたら持てるか、先輩ママであるお客さまやママスタッフ同士で相談しながら、日々なんとかやっています。

若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!

 結婚や出産を経ても、人生何が起きるかわかりません。だから自分でずっと稼げる状態でいることは男女問わず必要だと思います。美容師は手に職がつき、自分の経験がすべて価値になる仕事です。出産・育児でキャリアが中断することがあっても、戻れる場所があれば何が起きても怖くないですよね。私は仲間に恵まれて、仲間がいるから続けられていると思っています。まわりの人を大事にしてがんばってください!

Salon Data

SNIPS CAOS【スニップス カオス】

アクセス
JR新潟駅から徒歩3分
創業年
1998年
店舗数
4店舗
設備
16席(SNIPS CAOS)
スタッフ数
11人(SNIPS CAOS)
URL
http://beauty.hotpepper.jp/slnH000079573/
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