「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
barbershop KING(東京都世田谷区)
関東全域からファンが集まるバーバー。
古き良き男の世界で、唯一無二の存在に。
創業は1999年。時代に流されず守り続ける古き良きバーバーのスタイルが、「バーバー新時代」といわれる現在、再び注目を集めています。
無骨で寡黙な職人気質。それでも20代からシニアまで幅広い世代から信頼を寄せられる店主・清水健太郎さん。
そのこだわりと独自のスタイルについて伺ってみました。
時代に流されず、ただ自分のスタイルを貫くこと。
それが個性となり、やがて店の価値を確立する。
自らのスタイルを貫く場として独立開業。
もともと三軒茶屋の理容室で修業していた清水さんが独立したのは1999年、28歳の頃。大箱であった前店では出しきれなかった“自分のスタイル”を、さらに表現したくなったことが独立のきっかけだった。場所は駅からやや離れた住宅街の路地裏。間口は狭く、店前には旧車のバイクが停められている。ガラス越しに見る店内はロックテイストで、当の清水さんも少々コワモテ。一見ではやや入りづらい印象は否めないだろう。事実、開店当初は集客に苦労をしたこともあったという。
個性はやがて価値となり、遠方からのお客さまも増加。
しかし「スタイルを変えてしまっては独立した意味がない」と、技術、空間の両面で頑ななまでに自らのやり方を守り通した。やがてそのこだわりは店の個性となり、メディアにも度々登場するようになる。遠方からの来店者も増え、リピート率も高水準。口コミを通じてさらに知名度も上昇し、現在では関東近県から、わざわざここを目指して訪れる人も多数。バーバーとしては異例だが、9割近くが予約のお客さまだという。
やみくもにスタイルを提案するよりも、
お客さまの要望に、正確に応えることを重視。
提案よりも、要望の実現を重視。
提案するよりも、要望に応えることを重要視するオーナーの清水さん。もちろんお客さまに相談されれば応えるが「自分からスタイリングを提案したことは一切ない」のだという。それは清水氏が寡黙であるという理由もあるが、多くは「ヘアスタイルは、あくまでかっこ良さの一要素」という想いから。お客さまの日常生活や好みもわからないまま中途半端に提案をするくらいなら、告げられた要望に応えることに全力を注ぐ、という決して揺らぐことのない信念だ。
要望を読み取り、形にするのは技術力。
無論その分、要望を汲み取り正確に応える高水準の技術が求められる。この道25年を越える清水さんの腕の見せどころというわけだ。根底にあるのは「調髪する」というバーバー本来の在り方。お客さまの細かい要望を正確に読み取り、その希望通りに全体を整えること。その技と意識が、清水さんが多くの信頼を集める最大の要因なのかもしれない。
スタッフの個性を大切にすることが、
バーバーの多様性につながる。
それぞれの個性を貫くスタッフ。
独自のスタイルを確立する清水さんだが、店で働くスタッフに注意するようなことはない。理由を問えば「俺が言われて、嫌だったから」と実に清水さんらしい応えが返ってくるが、その本質にあるのは同じ技術者でもあるスタッフの個性の尊重。それぞれの個性を伸ばすことが、やがてバーバー自体の多様性となるのだ。
各スタッフがファンを獲得。やがて客層を広げる好循環に。
こちらでは新規のお客さまは基本指名なしのフリー。そこでそれぞれの個性を貫きながらお客さまの心を掴んでいる技術者には、そのやり方を貫いて欲しいというわけだ。「それぞれお客さんを持ってやっているのだから、そのやり方が正解」という言葉に込められるのは同じプロとして働くスタッフへの敬意だ。やがて若い技術者も集まり、そこに若いお客さまが付く。その好循環が生まれるのも、少々無骨ではあるが人情味あふれる清水さんの人柄によるものだろう。
オーナーインタビュー
Q.現在のバーバー事情と、これからの在り方は?
A.かつて”こうなったらいいな”と思った状態に、今なってきていると感じています。
自分でバーバーをはじめたとき、こういう形になって欲しいと思っていた状況。それはバーバーというカルチャーに若い世代が惹かれ、お客さんも技術者も世代が広くなっていくこと。バーバーが「かっこいい」という意識がこれからもっと広がっていくといいですね。女性が多い美容室には抵抗がある、でも感度の高い若者たちが集まるような形で。
Q.今後の目標や展望をお聞かせください。
A.スタッフのために、広げることも考えてますね。
理容室という世界は同じキャパシティでやっている限り、収入も頭打ち。自分は現状で満足しているけど、スタッフたちは昇給してあげなくてはいけない。だから店を広げるか、支店を出すか、そういうことは考えてますね。ただし、自分は気持ちの続く限り、現場に立ち続けたい。その想いは変わりません。
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