先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.78
産休復帰後の異動で売上が半減。
そこから時短で産休前より挽回させた秘訣とは?
女性活躍の先進サロンとして注目されている「RT HAIR CREATION」。同社で初のトータルビューティーサロン「Viviean Rosso」で人材育成担当のマネジャーとしても活躍しているのが戸梶裕子さんです。おっとりとした語り口のなかにも、管理職としての責任感と、自身の成長に対する強い意志を感じます。そんな戸梶さんの働き方への工夫をうかがいました。
Staff Data
戸梶裕子さん 36歳
トップスタイリスト。
「Viviean Rosso」(高知市)マネジャー。
スタイリスト歴9年。
4歳の男の子のママ。
9:30〜16:30で勤務。
戸梶さんのLife History
★…ターニングポイント
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21歳
短大で就活をしていたとき、子どもの頃からの夢だった美容師を目指そうと思い直し、通信制の美容専門学校に入学。
並行して短大卒業後に、大阪のサロンに就職。 -
24歳
スタイリストデビューしたが、違うフィールドで力を試してみたくなり、地元の高知で転職を考え「RT HAIR CREATION」に入社。
自ら希望して、アシスタントからやり直すことにした。 -
27歳
スタイリストとして再デビュー。「RT HAIR CREATION」でのデビュー時ギネス80万円/月を達成。
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30歳
結婚。ご主人は美容師としての自分を応援してくれるので、仕事をますますがんばろうと思う。
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32歳
マネジャーに任命された直後に妊娠が発覚。マネジャー職を降りるべきか葛藤する。
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33歳
長男を出産。
育休中に、新店舗である「Viviean Rosso」への異動が決まる。
産後7カ月のときに「Viviean Rosso」のオープニングスタッフとして復帰。 -
33歳
★新店舗での復帰で、売上が産前より半減。客層も自分の働き方も、出産前とは変わったことで、今までのやり方では通用しないと思い知らされた。
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34歳~
小さな積み重ねで努力を続け、時短勤務でもフルタイムだった産前より、高い売上を記録。
戸梶さんへのインタビュー
Q. 育休復帰後に新店舗でほぼゼロからの再スタートで売上が半減。それを立て直せたきっかけは?
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A. 新しいお客さまにどう合わせるかと、時短での働き方を見直しました。
育休中に前店舗から「Viviean Rosso」への異動が決まりました。「RT HAIR CREATION」の各店から幹部経験者の女性が7名集められてできた店で、基本全員、今までのお客さまはもとの店舗に残すことになっていました。だからほぼゼロからのスタート。なので復帰したときは、出産前の売上が半減。入社以来、当社のデビュー時ギネスを達成するなど、とんとん拍子で成長できていたので、初めて感じた壁でした。
前店では男性のお客さまが多く、カット中心だったのが、ここでは美容感度が高い大人の女性がメイン。どうしたらそのお客さまに対応できるか初めは悩みました。けれど、感度が高い分、平均単価が高いお客さまたちです。より深い接客でお客さまの要望を引き出したり、ママとしての強みを活かして子育て中の人に合ったスタイルの提案をするなど、今までとは違うやり方を模索しました。
また、勤務時間が短いため、出勤日を予約で埋める努力もしました。例えば、以前は次回予約はお客さまからの申し出でしたが、こちらから「次回はこの日はいかがですか?」と提案し始めたのです。すると自分に合わせたスケジューリングができるので、空き時間が減って生産効率が上がりました。
Q. 「RT HAIR CREATION」で子どもがいる女性スタッフが長く続けられる理由はどんなことだと思いますか?
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A. 一人ひとりの女性が輝ける場所があることです。
転職してきて感じたのは、当社の子どもがいる女性スタイリストの多さと、その人たちの活躍ぶりです。「Viviean Rosso」だけでも全20名のスタッフ中、ママが7名、全社では約100名中30名のママがいます。6店舗の直営店のうち、5店舗は子どもがいる女性がマネジャーを務めています。それだけでなく、当店のディレクターである大﨑ゆりは撮影など外部の仕事で活躍していたり、私も人材育成のマネジャーを任されるなど、個人の役割が一人ひとりあります。母として家庭も大切にしながら、美容師としての自分も大事にしている人が多いのです。
それを支えているのは、会社が「どうしたらそれぞれが輝くか?」を個人個人に問いかけてくれる風土があるからだと思います。出産後の働き方は家庭の事情によって違うので、勤務時間や休日を、各々の事情に合わせて選ばせてもらえます。全員が正社員という枠の中で、バランスを考えながら仕事をさせてもらえるのは恵まれていると思います。そのかわり、その時間のなかでどう結果を出すか、自分で方法を見つけなければなりません。
Q. マネジャーに指名されたときに葛藤があったそうですが、その理由は?
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A. 美容師として現場の仕事がしたかったのに、業務管理的なことに最初は抵抗がありました。
マネジャーになると事務作業や数字管理などの業務が増えます。自分は美容の仕事がしたくて美容師になったので、「なぜやらなければいけないのか?」と思ったのです。
その頃、アイスタイリストの仲間が同様の悩みを抱えていました。アイスタイリストは当社ではまだ人数が少なく、他のスタッフとの関わりが少ないなかでマネジャーに指名されて悩んでいたのです。また、異業種のお客さまでも、現場から管理職になることで悩んでいる女性もいました。彼女たちの姿を見て、自分はマネジャーとしての学びを何もしてこなかったことに気づいたのです。後輩を育てたり、会社の一員としてキャリアが上がるときに、もつべき役割は誰にでもあるのだと。その視点で勉強してなかったから苦しいだけなので、視点を変えたら、新しい挑戦と思えるようになりました。
いまは後輩がたくさんいます。その後輩たちに「RTで働くことが楽しい」と思ってもらいたいです。
Q. ママになって自分が変わったと感じることはありますか?
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A. 以前よりもさらに、いろいろなことに興味を持つようになりました。
子育てとの両立が始まると、「仕事も家事・育児も限られた時間を有効に使おう」という意識が高くなりますよね。いまは少しでも時間があったら、何か自分のためにしてみようと思うようになりました。また、出産前は夜遅くまで働いて、自宅と会社の往復だけの日常でしたが、いまは子どもを通して今まで知らなかった世界がひろがっています。保育園などで新しく知り合う人もいたり、視野が広がった分、いろいろなことに興味が出てきました。それがスタイリストとしての自分の幅をひろげることにつながったと思っています。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
働くママにとって、家庭と仕事はどちらも同じくらい大事なものです。「家での自分の理想はこうだから、仕事はこのくらいにしておこう」とか、またはその逆など、つなげて考えない方がいいと思います。両方の理想をそれぞれに追えばいいと思うのです。美容師としての成長と、母としての喜びややりがいを楽しんでやることが相乗効果で自分が成長できるのです。子どもができても時間は意外とつくれるものですよ!
Salon Data
Viviean Rosso【ヴィヴィアン・ロッソ】
- アクセス
- JR高知駅から車で5分
- 創業年
- 1973年
- 店舗数
- 10店舗
- 設備
- 20席(Viviean Rosso)
- スタッフ数
- 約100名(グループ総数)