先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.81
3年連続全社トップのときに結婚・妊娠。
後輩たちに背中を見せつづけるママ1号の仕事観とは?
東京・大阪を中心に、海外にも幅広く展開する「LESS IS MORE(LIM)」。全社トップだったときに妊娠し、ママスタイリスト1号となった山根さんは、女性スタッフたちのロールモデルとして活躍中です。「脂がのったときの妊娠だったからよかった」と語る、山根さんの仕事観について伺いました。
Staff Data
山根実佳さん 40歳
スタイリスト。
「douceur+LIM」(大阪市北区)勤務。
スタイリスト歴17年。
8歳の女の子のママ。
9:00〜17:00で勤務。
山根さんのLife History
★…ターニングポイント
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20歳
専門学校時代、「LIM」でカットした友人のヘアスタイルを見て、他店にはない斬新さに衝撃を受ける。就活で他は受けずに「LIM」1本に絞り入社。
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21歳
アシスタント時代はよく怒られて泣くことも多かった。けれど、スタイリストの先輩と一緒にかわいいスタイリングをつくれる喜びで、休むのがいやなくらい仕事が楽しかった。
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23歳
念願のスタイリストデビュー。自分以外は男性の5名の同期の中で一番遅いデビューだった。
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26歳
★同期が転職したり、女性の先輩たちが結婚などで一気に辞めていった。女性スタッフでは自分が一番上になり、戸惑いつつも「トップになりたい!」と仕事にいっそう意欲がわき始める。
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29歳
全社で売上トップとなる(それ以降3年連続)。
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30歳
結婚。ご主人は土日が休みだったため、ディレクターのカンタロウさんから「日曜日も休んだら?」と提案される。第2・3日曜日に休みをもらうことになったが、売上はトップのままキープした。
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31歳
妊娠。仕事は続けたいと思っていたが、子どもがいる女性スタッフの前例がなかったため、会社がどう反応するか不安だった。カンタロウさんに報告すると「おめでとう!絶対戻ってきて」と言われ、安心して産休に入ることができた。
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32歳
★長女を出産。
生後5カ月のときに仕事復帰。10:00〜18:00の時短勤務となる。 -
38歳~
サロンが移転したタイミングで勤務時間を9:00〜17:00に変更。もともと朝の予約が多かったため、1時間繰り上げた方がお客さまに喜ばれ、フレックス勤務で少しでも長く働けるようになった。
山根さんへのインタビュー
Q. 最初の転機で同期や女性の先輩が一気に退職したとき、どう感じられましたか?
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A. 見本となる女性の先輩がいなくなり、自分がこの先どうすればいいか戸惑いました。
一緒に入社した同期は、私以外の4名は男性でしたが、ともにがんばってきた仲間でした。だから同期が転職や独立をしたときは淋しくもあり、「私はこの先どうしたらいいのか?」と考えさせられました。また、同時期に女性の先輩たちも結婚や体調不良などで退職されて、自分が女性スタッフの中で一番上になったのです。それまでは先輩たちの背中を見てきたので、ますます「女性としてどうすればいいのか?」と。
その一方で、先輩たちのお客さまを引き継いだり、自分の指名が増えていって、仕事が楽しくなっていきました。さきざきへの不安を抱えているより、「会社で一番になりたい!」という思いが強くなりましたね。結果を出すために、一人ひとりのお客さまを丁寧に接客し、次回につながるような提案をしたり、カルテの精度を上げるなど、顧客管理を今まで以上にしっかりやりました。
Q. 3年連続の全社売上トップ。その間に結婚、妊娠をされていますが、トップでの妊娠に不安はありませんでしたか?
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A. 脂がのっているときの妊娠だったからこそ、自信を持って産休に入れ、復帰できました。
29歳のときに初めて売上が全社トップに。それ以来常に200万円/月以上を上げて、3年連続トップをキープしていました。その間に結婚して、主人の休みが土日だったので、ディレクターのカンタロウから「月に2回、日曜日も休めば?」と提案されました。売上が多い日曜日に休むことは不安でしたが「お客さまにきちんと伝えれば大丈夫」とカンタロウが言ってくれて、実際にその通りになりました。
妊娠したときも、私は仕事を続けたいと思っていましたが、前例がなく会社の反応が心配でした。けれど、カンタロウに報告したら「おめでとう!絶対戻ってきて!復帰のタイミングや出産後の働き方は、自分で考えてみて」と言ってくれたのです。うれしかったですね。前例がいなくても誰かが1号にならなければいけないので、「私がなればいいんだ」と思いました。売上トップだったときだからこそ、「休んで復帰しても大丈夫」という自信が持てたのだと思います。娘は11月に出産して、早く戻りたかったので翌年の4月に保育園に入れるよう、役所にもかけあって予定通り復帰できました。
Q. 育休からの復帰が、一番のターニングポイントになったという理由は?
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A. 子どもを産んで、人に興味を持つようになり、自分の幅がひろがりました。
スタイリストの仕事が大好きで、出産前はがむしゃらにスタイリングのことばかり考えていました。私はスタイリング以外で自分を表現することが苦手で、それまでお客さまとあまり会話をしていなかったのです。けれど出産後は、お客さまやスタッフのことがもっと知りたくなりました。子育てしているうちに、人間に興味がわいてきたようです。
お客さまともたくさんお話しするようになったり、アシスタントたちのことも「ご飯ちゃんと食べてるのかな?」とか心配になったり。スタッフたちからも、「笑顔が多くなった」とか「毎日楽しそう」と言われるようになりました。子どもができたことで、人としての幅がひろがった気がします。
また、私が楽しそうに仕事と育児を両立している姿を見せることで、後輩たちにも「『子どもができてからも働きたい』と思ってもらえるように」と意識するようになりました。
Q. 仕事と育児の両立は大変ではありませんか?
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A. じっとしていることが苦手なので、今の方が充実していて楽しいです。
両立が大変だと思ったことはないですね。もともとじっとしているのが苦手なので、やることが増えた今の方が、充実していて楽しいです。時短になっても客数は減らないように、以前は45分単位でお客さまを入れていたのを、30分単位にして効率を上げています。
もちろん育児と仕事の両立はひとりではできません。主人や実家の両親など、家族も巻き込んで協力してもらい、仕事には極力穴を開けない努力をしています。娘が入院したときもありましたが、そのときも実家のサポートがありがたかったです。
時短勤務だったり、子どもが急に熱を出すこともあるので、そうしたときにはスタッフたちがサポートしてくれます。そのためにも、日頃から空き時間にはスタッフたちと密にコミュニケーションをとったり、休日にはアシスタントたちを自宅に招いて一緒に食事をしたりしています。また、感謝の言葉を意識して口にするようにしています。好きな場所で好きな仕事を続けさせてもらっていて、こんな幸せなことはないです。会社やスタッフたちには感謝してもしきれないですね。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
20代のころはがむしゃらに仕事をして、結果を出す努力をしたらいいと思います。女性としての生き方は、30代になったときに考えても遅くないのではないでしょうか。私はスタイリストとして一番乗っているときに妊娠できたことがよかったと思っています。自信がついた状態で産休・育休に入れば、復帰後に売上が一時落ちたとしても、そこから毎年、前年より売上を上げていく方法がわかるからです。今を大事に、がんばってください!
Salon Data