女性スタッフが
長く働けるサロンとは?
~オーナーの実例紹介から、専門家による労務知識まで~
いよいよ第4回目となるこのイベント、開催地は名古屋。すでに女性活躍に取り組んでいるサロンの方も多く、ディスカッションや質問タイムでは、積極的な意見が飛び交いました。その熱量の高さに、登壇ゲストの方々も刺激をもらいトークもさらにヒートアップしました!
登壇ゲスト
-
株式会社GARDEN
代表取締役加藤敏行さん
-
株式会社anemone
代表取締役松本平さん
-
株式会社anemone
新宿マネージャー正岡裕康さん
-
社会保険労務士法人
秋田国際人事総研
代表秋田繁樹さん
第一部サロンの実例を知る
ホットペッパービューティーアカデミー・齋藤から、美容業界における「女性活躍=女性が長く働ける環境」について、データをまじえてお伝えしました。
後半は、女性が長く働ける仕組みづくりを実践している2サロンの取り組みです。その一部をご紹介します。
anemone(アネモネ)
2010年の独立以来、年間4店舗のペースで出店。現在は東京都内を中心に、札幌・仙台・大阪などにも店舗を構える。「日本一給料が高い会社」を目指し、労働環境のさらなる向上に取り組んでいる。
- [店舗数]
- 22店舗
- [スタッフ数]
- 257名(うちスタイリスト253名、アシスタント4名)
女性が長く活躍できるための取り組み
[ママスタッフ25名]
- 雇用体系は何度でも変更可能
- 2週間前シフト希望制度
- 出産お祝い金
- ママスタッフの急な休みへのフォロー体制
- 産休・育休、時短勤務制度
当日出たお話を、
一部抜粋してご紹介します
- Q女性活躍に取り組むようになったきっかけは?
-
A
以前働いていたサロンで体調を崩し、それが原因でクビになってしまったんです。自分はそこで「社員」だと思っていたのに、実は業務委託契約で。そこは社会保険にも入っていなかったことが発覚して・・・。きちんと調べなかった自分もいけないのですが。
その後は働きながら、夜はバイトをかけ持ちして、そしてアネモネを起業しました。これからの時代は、「強いブランド力を持つ」か「待遇をきちんとする」。そうしないと、求人力がなくなっていくのは目に見えています。だから今、「女性が長く働ける」と自信を持って言える環境を整えています。
松本さん
GARDEN(ガーデン)
東京・原宿に200坪という日本最大級のヘアサロンを2006年にオープンさせて以来、銀座・新宿・ニューヨークなどに店舗を展開。常に業界のトップを走り続けるサロン。
- [店舗数]
- 9店舗
- [スタッフ数]
- 270名
(うちスタイリスト99名、アシスタント121名、レセプション40名、バックスタッフ10名)
女性が長く活躍できるための取り組み
[ママスタッフ4名]
- 産休&育休、時短勤務制度
- 産休に入るスタッフの顧客を「仲人型」で引き継ぎ
- 一人ひとりの「WILL」に合わせた、「キャリアと人生プラン」の設計
- 女性スタッフの体調ケア
当日出たお話を、
一部抜粋してご紹介します
- Q女性をマネジメントするうえで、意識されていることは?
-
A
まず、時間をつくって話を聞いてあげることが大切です。9割は本質から脱線した内容ではあるんですが(笑)、でも「聞く姿勢」が大事。男性と女性では、嗜好・特性が違いますよね。たとえば男性は「解決できないことは忘れようとする」。それに対して女性は「解決できないことを吐き出すことで整理しようとする」。また、ストレスを感じた場合はどうか。男性は「運動で発散したり、ひとりになりたがる」。一方女性は「女友だちと、おしゃべりに興じる」といった感じです。もちろん人によって違いはあるものの、こういった男女の意識の違いを理解しておいて損はないと思います。
加藤さん
第二部労務のキホンを知る
秋田さん
社会保険労務士法人 秋田国際人事総研・労務士。社会保険労務士業務として、多数の美容室の労働管理・指導相談にあたっている。「美容室・はじめての労務管理と就業規則」など、著書多数。
秋田先生より、美容サロン経営をするうえで必要な労務知識(産前・産後、復帰後の制度など)についてお話いただきました。ホットペッパービューティーアカデミーのサイトでも、イラストをまじえて楽しく労務知識が学べる記事を連載中です。ぜひチェックしてみてください。
第三部パネルディスカッション
2サロンのゲスト、秋田先生に再度ご登壇いただき、参加者の方からの質問をもとにパネルディスカッション形式で進行しました。その一部をご紹介します。
会場からの質問に答えていただきました!
- Q産後スタッフが復帰する時の雇用形態は、どのように整備していけばいいですか?
-
A
正社員、パートタイム、業務委託など雇用形態によって何が違うのか?本人もサロン側もよくわかっておく必要があります。なのでサロンはスタッフに、それぞれの「労働時間」「賃金」、メリット・デメリットをしっかり説明できるようにしておきましょう。特に雇用形態を変更する場合は、気をつけるべき点があります。それはサロンが決めつけたり誘導したりするのではなく、あくまでも本人に決めてもらうこと。そうしないと、「私は本当は正社員がよかったのにパートになってしまった」などのトラブルが起きてしまう可能性があるからです。不安がある場合は、本人が雇用形態変更を希望したという「同意書」を交わしておくことをおすすめします。
社会保険労務士法人
秋田国際人事総研
秋田さん
- Qうちは小規模サロンなのですが、女性活躍を進めるうえで大規模サロンとの違いはありますか?
-
A
アネモネは現在22店舗を構えています。でも自分では大規模サロンにいるという感覚はなく、「小規模のサロンの集まり」といった感じ。いろんな形のサロンがあると思いますが、どちらにせよ、やるべきことは同じでは?僕が大事にしているのは、「お客さまのために何ができるかを追求する」こと。もちろん働く環境も大切です。でも、それらはすべて「お客さまにとってもいい環境」でないといけないと思っています。
anemone
正岡さん
- Qレセプションの方向けのキャリアプランというのは?
-
A
うちでは美容師免許を持っていないレセプション担当が約40名いますが、専門職として正社員登用しています。年数ごとにどうなっていくべきかというステージを明確にして、ゴールを設定します。
研修・試験・店長からの評価なども点数制で、それに応じてボーナス還元もしますよ。そういうことが、「やる気」につながりますから。まずはきちんと話をして、目の前の不安要素を取りのぞいてあげることが大切です。
GARDEN
加藤さん
イベントを終えて。
参加者の方より
疑問に思っていたことへの、
答えが聞けた。
他のサロンも同じようなことを
悩んでいると、
わかったことが発見でした!
女性のキャリアアップや
働き方の方法がわかって、
モチベーションがあがった。
こんな話、他ではあまり
聞けないのでよかった!
社会保険の必要性を、
本当の意味で理解できた!