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サロンで始める
訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.23

実例編半年で施設5件と契約した、独自の営業ワザとは?

鳥取市で「DIVA」をはじめ、さまざまな年齢層に向けた4件のサロンを経営する西川征和さん。自身が心筋梗塞で死の淵に立った経験から、訪問美容を志したと言います。当初は営業で苦戦しながらも、半年で5件の施設と契約に至った経緯を伺いました。

DIVA

  • 全スタッフ18名
  • 4店舗
代表取締役:
西川征和さん
訪問美容開始:
2018年
訪問施設数:
5施設(1回の訪問で約3名)
施設訪問頻度:
2カ月に1回
訪問スタッフ:
兼任3名(うち営業2名)
価格(カット):
1,800円〜、パーマ4,000円〜、カラー3,000円〜

Q

訪問美容を始めようと考えたきっかけは?

A

スタッフたちを終身雇用できる方法を考えたことです。

勤務していたサロンで、高齢のお客さまの送迎をしていました。

最初に就職したサロンが地域密着型のサロンだったので、高齢者のお客さまも多くいました。要介護という程ではなくても、出歩くのが大変になってきたお客さまの送迎などもやっていたのです。それをお客さまから喜んでもらえることも嬉しかったのですが、いつかお客さまがサロンに来られなくなることは、当時からなんとなく心の隅にあったかもしれません。でも当時はまだ、訪問美容という概念はもっていませんでした。

死の淵に立ち、がんばってくれたスタッフたちへ人生を捧げようと思いました。

その後23歳で独立して、2店舗目も出店できるようになりサロンは軌道にのっていきました。それが6年前のある日、閉店後にひとりでサロンにいたときに、胸のあたりに激痛を感じて突然倒れてしまったのです。たまたま定期の営業で訪れたディーラーの方が発見してくれて救急車で運ばれたのですが、心停止していたためAEDを使い、緊急手術を受けたそうです。自分は翌日目が覚めたときに心筋梗塞と知らされました。
 それから入院と自宅療養を合わせて1カ月間働けない状態になりました。オーナーの私が突然倒れ、サロンがつぶれても仕方ない状況だったのに、スタッフたちががんばってくれて売上を落とさず店を維持してくれたのです。そのとき、スタッフへの感謝の気持ちがわき、自分は「意味があって生かされたのだ」と考えるようになりました。「日々生きているのは当たり前ではなく奇跡なんだ。スタッフのおかげで今の自分がある。だから今後の人生はスタッフたちに捧げたい」と本気で思ったのです。

  • 心筋梗塞から奇跡的に生き延び、当初は眠るのが怖かった時期もあったという

ベテランスタッフを終身雇用するために、訪問美容をやろうと思いました。

復帰して最初に考えたのは、若いスタッフたちの活躍の場です。サロンを長くやっていると、お客さまの年齢層が上がってくるため、若いスタッフには顧客がつきにくくなります。そこで、若い顧客をターゲットとした店舗をつくり、そこを若いスタッフに任せることにしたのです。10代中心、20代中心向けのサロンを2店舗オープンさせ、次に長く勤めてくれているベテランたちにどう恩返しするか考えました。ベテランたちからは以前より「何歳まで勤めていいですか?」と聞かれることがありました。そんなふうに考えていてくれるのなら、彼らを終身雇用できる環境をつくろうと。自分もスタッフと一緒に年齢を重ねたいと思いました。それが実現できれば、お客さまも生涯顧客として担当させていただくことができるようになります。その道を考えたときに、訪問美容をやるべきと思ったのです。

  • 一緒に訪問美容を担当しているスタッフの小川潤子さん(左)と、小塩祐子さん(右)

Q

ホットペッパービューティーアカデミー「訪問美容ゼミ」で得たものは?

A

一緒にがんばれる仲間と、戦略を立てるヒントです。

「訪問美容ゼミ」で志を同じにする仲間と出会うことができました。

訪問美容を考え始めた昨年(2018年)の初旬に、ホットペッパービューティーアカデミーから「訪問美容ゼミ」開催のお知らせメールが届きました。訪問美容について何も知識がなかったので、「1回話を聞いてみよう」くらいの気持ちで応募してみたところ、ゼミに参加できることになりました。ゼミへの参加が決まったことで、「訪問美容をやる運命だった」と覚悟を決められました。
 ゼミに参加して衝撃的だったのは、講師だった「trip salon un.」の方々の存在です。それまで訪問美容はママ美容師と親和性が高いイメージでしたが、若い男性がかっこよくやっている姿に「こういう世界もあるんだ!」と。
 そして何よりよかったのは、志が同じ仲間と出会えたことです。講師の方々をはじめ、ゼミの1期生たちとは価値観が似ていて、一緒に刺激し合って共にがんばれました。訪問美容の知識はゼミでなくても努力すれば得ることができたかもしれませんが、「訪問美容をしたい人たち」と「すでに訪問美容をしている人たち」との絶妙なマッチングをしてもらった感じです。これはこのゼミでなければできなかった体験です。

営業で心が折れかけたときも、仲間の励ましで乗り切れました。

ゼミでは講習などと並行して、日々実践もしなければなりませんでした。まずは訪問美容サービスの新たなブランドとして『torip』とネーミングしました。「tottori(鳥取)」と、「訪問する」の「trip」をかけ合わせた名前です。実は最初の1件目は割とすぐ契約できました。というのも、その施設には以前からスタッフの研修も兼ねて、不定期でボランティアで伺っていたのです。そこに今後はビジネスとして訪問美容を考えていることを話したら、すぐに定期契約をいただけました。でもその後が大変で。
 チラシの作り方や営業の基本知識をゼミで学んで、いざ営業に行ってみると、人見知りな自分はすぐに心が折れました。施設にお話に行っても「で、値段はいくら?」と聞かれてしまうのです。こちらの訪問美容にかける想いなどどうでもいい感じで。でも、そんなとき、ゼミ仲間たちと話すと、自分よりずっと件数を回っている人ばかりで「こんな状況で心が折れている場合ではない」と思い直すことができました。ひとりでやっていたら「もう辞めよう」と思っていたでしょうし、私が訪問美容を辞めても誰も止めなかったと思います。仲間と悩みを共有できたことが本当によかったです。

  • 「訪問美容ゼミ」の修了式で。現役で活躍している講師陣、1期生の仲間とともに

フリーペーパー、SNSなど自分なりの戦略でうまく回り始めました。

それからは、自分なりに戦略をたてて営業のやり方を変えました。まずは、知人の協力を得て、16ページのフリーペーパーを作り、介護施設に配布しました。内容は、利用者さまのヘアメイクをして写真撮影もする「キレイイベント」の企画などを掲載しました。また、SNSを始めて訪問美容をやる決意表明をしました。すると、地域のメディアから取材を受けて記事にしてもらえたのです。それらがきっかけで契約を取れるようになってきました。
 また、施設への訪問営業でも、すぐに価格を聞いてくるところは早々に切り上げ、ちゃんと話を聞いてくれるところに重点を置くようにしました。施設を経営される方もいろいろで、今思えば、契約をいただいた施設の方々とは価値観が似ているような気がします。自分は要介護の方々の施術もサロンと同じようにおしゃれでキレイにして、楽しい時間を過ごさせてあげたい。ただ短くカットして、流れ作業のようにする施術とは違うことをセールスポイントにしています。そうした想いに共感してくださる施設では、利用者さまをゆったりケアしようという空気があります。

  • 独自の営業戦略として作成したフリーペーパー。ほかにもDMを500枚作成して送付するなどした

Q

訪問美容をやってよかったこと、辛かったことは?

A

よかったことしかないです。

利用者さまやご家族に喜んでもらえることが何よりやりがいにつながります。

訪問美容を始めてまだ半年ですが、今のところよかったことしかないです。例えば、カットしてさしあげた方が、利用者仲間の方々から「キレイになったね」と褒められて、嬉しそうに照れている様子が本当にかわいらしいのです。ときどき抱きついてきて「この人私のタイプ!」と言われることもあります(笑)。
 昨年末のクリスマスの時期に訪問した際は、ご家族の方から「サンタが来た!」と言われ、ご本人も「この年でサンタに会えるとは」と喜んでくださったのです。サンタクロースのコスプレをしていたわけでもないのにです。「美容師をやっていて本当によかった」と思えた瞬間でした。 

  • 施術した後の利用者の方々はキレイになったことに心から喜び、「女性としてかわいらしくなっていく」と西川さん

Q

訪問美容を今後どうしていきたいですか?

A

訪問美容の可能性を仲間と追求していきたいです

地域的な課題はあるものの、伸びしろがある分野。

鳥取は人口が少なく、介護施設の数も多くはありません。そのため広い地域をターゲットとしなければならず、移動時間がかかることになります。こうした地域的な課題があるため、経営的に訪問美容を売上の中心とすることは難しいかもしれません。以前勤務していたサロンのように、要介護未満のお客さまの送迎サービスなども並行して行っていくことも視野に入れています。
 それでも、高齢化が進む日本では伸びしろのある分野であることは間違いありません。業界としても、使い勝手のいい訪問美容用のグッズなどはまだまだ開発の余地があります。ゼミ仲間とも「みんなで携帯用のシャンプー台を開発しようか」と話をしたこともあります。
 スタッフが生涯活躍できる場を切り拓いていくためにも、今後もサロンワークと並行しながら、訪問美容を進めていきたいと考えています。

  • 「美容師になってよかったとあらためて感じられるのが訪問美容」と笑顔で語る西川さん

西川さんからひとこと

 自分は訪問美容を志してからまだ1年足らずで、思いついてからすぐ「訪問美容ゼミ」に入り今日まで来ました。なので訪問美容に先入観なく入れたのもよかったと思います。みなさんも思い悩む前にとりあえず一歩踏み出してみてはどうでしょうか。美容師には技術はありますから、訪問美容は今からでも、やろうと思えばできます。そして人を元気にすることができます。想いは届けないと伝わりませんが、届けば利用者さまや職員の方、ご家族の方は必ず受け止めて、それ以上のものを返してくださいます。何から始めていいかわからない人は「訪問美容ゼミ」に参加してみるとよいと思います。

Salon Data

DIVA【ディーバ】

アクセス
JR湖山駅より車で8分
創業年
2000年
店舗数
4店舗
スタッフ数
18名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000203386/
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