美容の未来のために、学びと調査・研究を

美容サロン経営を学ぶならホットペッパービューティーアカデミー

イノベーターが
見ている未来

vol.46

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

GOALD 代表取締役

中村トメ吉さん (age.35)

リセット、そしてリスタート。
中村トメ吉・第2章「GOALD」。

メンズ客から絶大な支持を集める「OCEAN TOKYO」の代表として、このトップインタビューに初登場いただいたのは2016年11月のこと。以来も美容師としての人気は衰えを知らず、さらに経営手腕も評価されるなど躍進を続けてきた中村トメ吉さん。そして、2019年7月に電撃退社発表、9月には新サロンオープン、と業界の注目を集めました。新たな道を歩み始めた中村さんに、今後の構想をうかがいました。

1984年、栃木県生まれ。都内有名店に勤め、読者モデルから芸能人までメンズに支持される美容師として名を上げ25歳で店長に。雑誌の巻頭企画の常連で髪型ランキング1位を独占。売上を2倍にするなど人気メンズサロンに押し上げた。2013年に28歳で「OCEAN TOKYO」を創業し、メンズ美容室として一大センセーションを巻き起こす。2019年7月に社長を退任し退社。再び起業し2019年9月にメンズ美容室「GOALD」を渋谷にOPEN。
Instagram→tomekichi1102

第1章人気サロンの確立、そして離別

「“OCEAN TOKYO”は自分のすべてだった。
だからこそリセットしなければいけないと。」

まずは読者の方も気になっている話題から…。共同代表として立ち上げた「OCEAN TOKYO」を離れるとの発表を聞いて驚きました。「突然」と感じましたが、いつごろから考えていたのでしょう?

考え始めたのは1年くらい前からですね。仕事に対して、ワクワク感や面白さを感じづらくなっていたのは事実。自分勝手ですが、創業5年で年商10億円とか、自分の中で立てていた夢や目標を次々と達成するうちに、理想や考え方、目指す先が変わっていきました。

昔から目立ちたがり屋の性格もあったので、以前はブランドサロンをつくって、カリスマ経営者として思いっきり目立ちたいと思っていました。男の夢ってあるじゃないですか。いいとこ住んで、いい車に乗って、いい時計つけて、いい飯食べて、いい女といてみたいな(笑)。

いろいろ叶えて手に入れてそこから見た景色は、自分を満たすものではなかったというか・・・。いま思うと20代の起業には「利己」の感覚が強くありました。だけどサロンの経営とマネジメントをして、スタッフと向き合い、いろんな経営者とかわるうちに「裏方で経営とマネジメントに専念したい。イチから仕組みやビジネスモデルをつくりたい」と考えるようになりました。

表に出るプレイヤーよりも、裏のほうがいいと。元のサロンにいるまま、そうなるのは難しかったですか?

難しかったですね。そこの葛藤は一番の悩みでした。サロン立ち上げの初期コンセプトから、僕の理想と考えが変わり、ずれてしまったこともあります。

前社は「自身の成功体験の最大化」が起業理由でした。1人で1日20人カットして幸せをつくるより、組織化して1日1000人にも1万人にもしたい。そしてメンズで美容業界を圧巻させたい、と。

最初は正直、経営計画、組織づくりにそこまでフォーカスしていませんでした。だけどスタッフを増やして経営に取り組むうちに、新しいビジネスモデルや仕組みづくり、給与体系、雇用形態、キャリアパスと、目指したいものが見えてきました。

それを前のサロンで実現するのが難しかったのは、なぜですか?

たとえて言うなら、街ができて人が集まってから、地下鉄とか道路のインフラを作り直して再開発するのって難しいですよね。先にしっかりとした土台=インフラが必要だと思いました。僕の理想や想いだけでそうするには、もはや街が大きくなり過ぎた、という感じです。

この規模で長期的に未来を見据え、成長と変化を継続していくにはこのままだと続かない。だからこそ辞める前の1年くらいは組織改革に専念して。35歳になったらハサミを置き、さらに経営に専念しなければいけないと覚悟を決めましたが、そこに対して賛同を得られない・・・。

僕がやっていたことは表面的な結果として見えづらいと思います。美容師として表に出続けることが大事だと考える仲間からすると、裏方にまわりたいという僕の想いは、「何を言っているんだよ」と引き止めたいものだというのは十分わかります。

「いつ辞めます」と事前に広報するのではなく、突然の発表になったのは?

社長の自分にとって一番優先順位が高いことは「会社を継続させること」です。それが担保できて初めて、自分が辞められると考えていました。そのためにバックオフィスを整えて、短期の計画も立てて。言うなれば、運転席から外れるために動いていたので、自分が辞めても会社はまわるようにしていたつもりです。たくさんの時間を共有した弟子たちも残るので、安心もしていました。彼らには全てを伝えてきましたし、僕が辞めるくらいでブレる奴らじゃありません。

事前に辞める予定を広報してしまうと、会社の中を大きく変えてしまうことになる。人が乱れ、流出してしまうかもしれない。それは「会社」にとって得策じゃないと考えたんです。だから社内のスタッフたちにも全く伝えてなくて、高木(※「OCEAN TOKYO」共同経営者・高木琢也さん)に決意を話したのも2週間くらい前かな。世間に対してはインスタで発表したんですけど、その文面も「どういう伝え方がお客さまや会社にとっていいか」という観点で、高木や幹部と相談して決めました。

辞めることを知ったスタッフさんの反応は?

僕からは誰にも連絡をしなかったし伝えなかったので、辞めると発表した日から、家まで会いに来てくれるスタッフはちょこちょこいました。突然家の下に出待ちしてて「どういうことですか、納得できません!」みたいに。

僕はこれまで、中学を卒業したらもう中学の友達とはつるまない、高校の時もそんな感じで、そのステージごとに人生をかけて全力投球するので、やり尽くして卒業したらいったん全部リセットしてきました。昔、夢であった医者、サッカー選手、バンドマンなどもやりきってキッパリ辞める。次にいくために。

そのときは「OCEAN TOKYO」が自分のすべてだったからこそ、リセットしなければいけないという想いがありました。

そうだったんですね。

でも矛盾しているかもしれないけれど、そんな自分に会いに来てくれたのは、やっぱり嬉しかったですね。もちろん僕からは「GOALD」に一切誘ったりはしていません。けれど付いて来ると言う仲間がいなかったら、こんなに早く新しい美容室をオープンしていなかったかもしれません。

当初は辞めてからしばらくは、世界一周でもしようか、いろんなビジネスの依頼もいただいているからそれをやってみるか…、なんてことも考えていたんです。だけど付いて来てもらったからには、彼らを輝かせたい。現実的にも早く雇用しなきゃならない。それで急いで登記して店をおさえて、9月にオープンを迎えました。司法書士さんや内装業者さんにも「こんなに急かされたことはないし、過去イチ早く出来た」って言われました(笑)。

12345
業界TOPインタビューの記事一覧へ

おすすめの記事

注目の動画

連載記事ARTICLE

  • 新着
  • ランキング

受付中のセミナーSEMINAR

動画ランキングMOVIE

ホットペッパービューティーアカデミーに
会員登録をして、
美容サロン経営に役立つ動画
を見よう!