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第5章改革し続けても変わらないもの

「すでにあるものを変えるよりも、
僕はゼロからつくり出したい。」

「35歳にはハサミを置きたいと考えていた」とのことでしたが?

いま35歳ですが、まだサロンを立ち上げたばかりで「僕=会社」のイメージが強い。なので月500人は担当し、撮影もやり、バリバリ美容師やってます!倒れそうです(笑)。

いまは「GOALD」ってこういうサロンだとブランディングする時期ですし、美容師の素晴らしさを伝え、美容師とはこういうものだというのを後輩に見せていく必要があるので。

正直、3ヶ月前は本当にきつかった。この世の中で1人ぼっちになった気がしましたし、よく変な夢を見ました。たくさんの人を裏切って、心配かけて、迷惑をかけてしまったのが、一番申し訳なく、きつかったですね。でも、そんななか連絡をくれたり会いに来てくれた人、家族、何があっても信じてくれた人たちに本当に救われました。いまは周りを見渡せば、後ろを振り返れば、たくさんの素晴らしい仲間がいる。その人たちを、何よりも大切にしたいと思っています。

オープンして、お客さまはどうでした?

心配してわざわざ全国各地から足を運んでくださったお客さまが、たくさんいました。転勤して、家族ができて、髪型より大切なもの、守るものがあるのに会いに来てくれたり。「美容師、最高かよ!」って毎日泣きそうでした。こんな自分と一緒に働きたいと言ってくれる人、こんな自分を信じて仕事をくれる人。そういった方々のおかげで、いまの「GOALD」や自分がある。その人たちのために何ができるかを、常に考えて生きていこうと思います。

でも、できる限り早くハサミを置いて次のステップに進みたいですね。美容師だからこそ見られる最高の景色を、仲間にも見てほしい。信頼しているからこそ、任せて託したい。

ハサミを置くのは、先ほどのお話にあったような事業に集中するため?

それもありますが…。自分がある程度出来てしまうことを継続するより、出来なさそうなことに挑戦したい。そして、みんなの驚きやワクワクをつくったり、背中を押せるような人生を歩みたいと思っています。

僕が美容師になった時代って、「メンズ美容師はダサい」というイメージがありました。でも新たな価値観が広がって、美容室のメンズマーケットが広がった。すると今度は提供する側、メンズ向け美容室が足りていない状況が生まれています。地方ではメンズをやりたいけど出来なくて、レディース向けの看板を掲げたサロンの一角で、こそこそメンズのカットをしている美容師さんもいます。そういう人たちの受け皿になるために、全国にメンズサロンをつくりたい。メンズ美容師は、こんなに楽しくて素晴らしいんだよ、と伝えたいですね。

ブランドサロンって支店を増やすとブランド力が薄まると懸念されますが、お客さまが求めているなら早くやるべきだと思う。そのために僕は店から外へ出て、広げていきます。店を各地につくるのって、スタッフにとっても役立つと思うんですよ。ゆくゆくはスタッフにそのお店を渡してもいいし、1カ月のうち2週間は東京で、1週間は北海道で働く、なんてスタイルも楽しそうじゃないですか。選択できることが、僕は自由だと思うので。

いろんな未来が見えてきて楽しみです。

サロンの理念に掲げたように、お客さま、仲間、業界・・・「人と人」として、どれだけ熱く向き合えるかという点を大事にしています。向き合う熱量は1年目のスタッフだろうと店長だろうと同じ。だから彼らの声を聞いたうえで、未来図を描くようにしています。予測がつくことって、世の中にすでにあるからイメージ出来るわけです。僕はすでにあるものを変えるよりも、ゼロからつくり出したい。自分がこれからどうなるかわからないけど、そのほうが楽しい。

そして根底にずっとあるのは、「日本のメンズの背中を押したい」という想いです。自分が生きたこの時代で、どれだけ多くの人を幸せにできるか?どれだけ多くの人の心に生き続け、良きものを後世に継承できるか?目的はそれしかありません。自分を輝かせてくれたこの業界に、貢献したいんです。

お話を聞いていると、以前にお会いした時と、経営者としてのスタンスが変わった気がします。

そうかもしれません。前社を辞めてから、自分自身、変わったと思います。経営者としても、人としても。考え方や価値観が、ものすごく変わりました。

今の自分があるのは高木琢也と出会って、「OCEAN TOKYO」を共につくり、たくさんの仲間、お客さまと時間を共有できたから。「ありがとう」って心から伝えたい。そして、たくさんの人に感謝しながら、この先も進んでいきたいと思っています。

  • トメ吉さんが、お客さま1人にかける時間は約50分。スタッフにも「お客さまとじっくり向き合う大切さ」を伝えている

  • この12月に東京で行われた「KAMI CHARISMA 2020」。トメ吉さんは「メンズカット部門」にて受賞、田端浩観光庁長官から盾を授与された

新サロンオープンに向けて、たくさんのものを手放したのだと思います。わかりやすいところでいうと、ポルシェ、パテックの時計、タワーマンション・・・。
トメ吉さんのインスタには、こう書かれていました。「俺を支えてくれて、色々感じさせてくれて、ドヤらせてくれて、豊かにしてくれて、夢をありがとう」と。

人とかブランドとか立ち位置とか、他にもたくさんのものに向けたメッセージかな。私は、そう受け取りました。

ー自分のすべてだったからこそ、リセットする。ー

相当な覚悟を持って手放したのだから、相当な覚悟を持って次のステージへ。中村トメ吉・第2章、「GOALD」の幕開けです。

インタビュアー
田中公子(ホットペッパービューティーアカデミー)
編集
柳澤真実
ライター
大西智与
撮影
久保田敦

※掲載されている情報は2019年12月23日現在のものです

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