Vol.1/美容業界の常識は社会のヒジョーシキ!?
- サロンの労務知識
美容の未来のために、学びと調査・研究を
サロンオーナー必見!
須多井 リスオ(スタイ リスオ)
小尾奈 サロヒコ(オオナ サロヒコ)
赤出 ミーコ(アカデ ミーコ)
秋田センセイ
ビューティー
「雇用保険」とは、スタッフがサロンを辞め、働く意志があるのに働けない状態になったときや、出産後の育児休業期間や親などの介護をする場合に、国から給付金をもらうための保険です。給付金を受け取るのはスタッフですが、加入手続きは事業主であるオーナーに義務づけられています。
俗にいう「失業保険」とは正しくは「基本手当」のことで、雇用保険に加入していた人が職を失った場合にもらえます。また、男女問わずスタッフが子の出生後に育児休業を取得した場合は「育児休業給付金」がもらえます。いずれの場合も、法律で定められた期間以上、雇用保険に加入していることが条件で、そのスタッフがもらえる額や期間は、本人が雇用保険に加入している期間やその間の給与額、離職理由によって異なります。
雇用保険に加入するには、管轄のハローワークで手続きします。ハローワークは厚生労働省が管轄する公共職業安定所のことで全国にあります(下記リンク先で所在地を確認できます)。
手続きできるのはサロンの経営者(またはその業務を担当する人)ですが、労災保険と同様に社会保険労務士、労働保険事務組合は申請等の代理ができます。
雇用保険の加入は義務なので入っていることが当たり前。加入していないことが発覚すると、行政からの指導を受ける可能性があります。オーナーが加入手続きを怠ったことによって、雇用保険に入るべきスタッフが育児休業給付金をもらえずトラブルになるケースもあります。きちんと加入しておきましょう。
*育児休業給付金など、出産・育児に関わる労務については、今後この連載で解説していく予定です。
※都道府県ごとのハローワークの所在地案内はこちらから
雇用保険の保険料は、事業主と従業員であるスタッフの両方が負担します。
従業員ひとり当たりの年間保険料は、その従業員の年間給与の13.5/1000(1.35%)。このうち事業主負担が8.5/1000(0.85%)で、従業員負担が5/1000(0.5%)です。
*令和4年度(2022年10月~2022年3月)の美容業[一般の事業]の場合(料率は年度、業種によって異なる)。
例:年間給与が400万円のスタッフの場合
年間の保険料:5万4,000円
負担の内訳:事業主3万4,000円、従業員本人2万円
雇用保険の保険料は、労災保険料とともに年に1回(原則として例年6月1日から7月10日の間)事業主が申告と納付を行います。スタッフの負担分は、毎月の給与から天引きして徴収します。
次号では、社会保険のひとつ「健康保険」について解説します。
監修
特定社会保険労務士
秋田繁樹さん
プロフィール:
社会保険労務士法人 秋田国際人事総研代表。東京都社会保険労務士会所属。国内大手生命保険会社、大手企業のシステムインテグレーターなどを経て、独立開業。人事労務のスペシャリストとして、多店舗展開の美容室の労務管理や就業規則・社内規定などにも詳しく、多数の美容室の指導相談に当たっている。http://www.akita-sr.com/
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