サロンで始める
訪問美容~実施マニュアル編~

訪問美容を始めたいオーナーの皆様に贈る全13シリーズ。
実例などを交えながら、訪問美容経営のために必要なノウハウをわかりやすくご紹介します。

vol.9

【経営・マネジメント編/条件の交渉&契約】営業活動をしよう④

【経営・マネジメント編/条件の交渉&契約】

営業活動をしよう④

今回は、営業活動のゴールである契約についてレクチャー。条件の交渉時に気を付けたいポイントや、介護施設などと契約を結ぶ際に確認すべき内容などをご紹介します。

アドバイザー:ふくりび 岩岡さん

アドバイザー:
ふくりび 岩岡さん

後のトラブルを防ぐためにも、綿密な交渉を。
契約書を交わすことで、正式な契約が完了!

 vol.8の営業活動が実を結んだら、施設とサービス内容や価格についてなど、「契約」する内容について取り決めましょう。後のトラブルを防ぐためにも、しっかり話し合うことが大切です。また、介護施設や病院との契約では、契約書を交わすことは必須。下記の見本を参考に、用意しておきましょう。

「訪問美容」スタートまでの6ステップ

1

【条件の交渉】価格を決める際、「弱気」はNG。
まずは相手の要望を聞き、臨機応変に提案しましょう。

 条件の交渉の際は、聞き上手になることが重要。下記にあるポイントを参考に、相手の要望を探り、要点を突いた提案をしていきましょう。価格を交渉する際、弱気は厳禁。訪問美容を続けていくためにも、価格競争に走らず、守るべき価格は譲らないことが大切です。

条件交渉時のポイント

話し方・聞き方
  • 聞き上手になり、相手の情報や要望を引き出す。
  • 相手の話を途中でさえぎったりせず、最後まで聞く。
  • 提案する際は、要点をコンパクトにまとめて話す。
  • できないことは、正直にできないと伝える。
価格
  • 価格の交渉で弱気にならない。
  • 最初から最安値を提案しない。
  • 支払い方法(振込または現金)を確認する。※支払日、振込手数料の負担についても確認
日時
  • 訪問日程(訪問曜日)を決める。※施設の場合、入浴の時間帯や曜日に合わせた訪問希望が多い
  • お客さまの人数を確認し、1回の訪問における所要時間を決める。
施術方法・施設の設備
  • 車いすを利用している方の割合や、ベッド上での施術が必要な方の割合、介護度の高い方がどれくらいいるか確認する。※ベッド上での施術は、片付けなどに時間がかかるため、別価格を設けている事業者も多い
  • 施術場所(共有スペースまたは居室)を確認する。※水回りや電源の有無・位置なども確認
  • 施術場所まで誘導してくれるかなど、介護職員の配置について確認する。

1-ポイント

2

【契約】必要事項をしっかり確認。
約束事は必ず契約書に記載しましょう。

 施設や病院などで訪問美容を提供する際は、正式に「契約」してから行います。あとでトラブルにならないよう、下記の手順に沿って確認し、決めたこと・約束したことは必ず契約書に記述することが大切です。

〈契約を結ぶ際の手順〉
施術価格(カット、パーマ、ヘアカラー、シャンプー、出張費など)を確認する。

料金の支払い方法を確認する。
・当日現金支払いの場合/「お客さま各自からお支払いいただく」「施設側から一括でお支払いいただく」
 のどちらがよいか、領収書が必要かどうかを確認する
・振込の場合/振込日と振込手数料を確認し、振込先・金額・支払い期日をお知らせする
・翌月集金の場合/集金のタイミング(翌月訪問日に前月分をお支払いいただくなど)を確認する

訪問日程を確認する。
・初回の訪問日を決める
・事前に人数と施術を知らせてもらう(利用者リストの送付をお願いする)
・1年間の日程をなるべく固定する(毎月○週目の○曜日など)

決定事項・約束事項を記載した契約書を施設側と取り交わして、契約を結ぶ。

【よくある質問】
抜けがち、でも契約書に必ず記載すべき事柄はある?

 支払い方法が振込の場合、振込手数料をどちらが負担するかの確認を忘れがち。事前に決めて、必ず契約書にその旨を記載しておきましょう。また、契約書に施術価格を記す際、「消費税は別途」と記述しておかないと、施設側から「契約書にあるのは、消費税も含まれている価格」とみなされ、消費税を受け取ることができない場合も。お金にかかわることは特に、後のトラブルを招きがち。思い込みは捨て、必ず施設に確認のうえ、契約書に記載しましょう。

お役立ちリスト

契約書見本

こちらにご紹介しているものは、あくまで参考。自サロンに合った契約書を、弁護士など専門家に相談しながら作成しましょう。



※クリックで拡大します。



※クリックで拡大します。

営業活動をしよう④/やることチェックリスト

  • 「交渉時のポイント」を参考に、条件の交渉を行う(施術価格や支払い方法など)。

  • 契約する前に、必要事項をきちんと相手に確認する。

  • 用意しておいた契約書をもとに、施設や病院と契約を結ぶ。

  • 契約後も継続的に利用していただけるよう、顧客満足度を向上させるための取り組みを行う(ヘアメイクの無料講習会など)。

営業や契約時はもちろん、契約後も「努力」が大切。

 サロン営業で「再来率」や「ファン客の獲得」を重視するように、訪問美容でも、継続的に利用していただき、ファンになってもらうことが大切。技術を磨く、無料イベントを実施するなど、顧客満足度を向上させる取り組みに力を入れましょう。介護の現場にも「口コミ」「紹介」は存在します。そして、サロンと同様に、紹介は最も優れた集客方法のひとつです。新規で介護施設や個人宅のお客さまを紹介してもらえるよう、がんばりましょう。

次号は、「個人宅のお客さまへの営業方法」をご紹介。施設への営業との違いや契約までの手順などをレクチャーします!

監修NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)

理事長 赤木勝幸さん

理事長 赤木勝幸さん

「誰もがその人らしく美しく過ごせる社会の実現」を目指し、全国の「訪問理美容サービス」の質の向上、理美容師の育成や高齢者・介護者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上などに尽力する同協会を2007年に設立、理事長に就任。2008年社会貢献支援財団社会貢献賞受賞。著書に、「技術からマネジメントまで 訪問理美容スタートBOOK(女性モード社)」など。

事務局長 岩岡ひとみさん

事務局長 岩岡ひとみさん

同協会の事務局長。ヘルパー2級取得、美容師国家資格取得。2009年内閣府青年社会活動コアリーダー育成プログラム英国派遣団員。2010年東アジア地域国際シンポジウム招聘者。2012年内閣府女性のチャレンジ賞受賞。2013年シアトルiLeap SIFJ招聘者、第27回人間力大賞厚生労働大臣奨励賞受賞。2012年より愛知学院大学経営学部非常勤講師。

ふくりび http://www.fukuribi.jp/

「技術からマネジメントまで 訪問理美容スタートBOOK」

参考文献

「技術からマネジメントまで 訪問理美容スタートBOOK」

NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)編著/女性モード社
編集・取材・文
平尾祐子
撮影
松本幸子

※掲載されている情報は2016年03月28日現在のものです

全ての記事の一覧へ