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人を雇ったら知っておきたい
労務のキホン

vol.19

〜就業規則のポイントを知ろう編〜

就業規則で、ありがちなミスは?

Vol.17Vol.18では、就業規則の基本的知識とつくり方についてお伝えしてきました。今回は、就業規則をつくる上で気をつけたいポイントについて解説します。
※青文字・下線が付いた箇所をクリックすると、その言葉の説明が見られます。

連載ショートストーリー

「サロンRの日常」19
  • 須多井 リスオ

    須多井 リスオ(スタイ リスオ)

    アシスタントを2年経験し、スタイリストデビューをしたばかりの23歳。「サロンR」勤務。デビューして意気揚々。オーナーも店も基本大好きで、サロンとともに成長したいとはりきっている。
  • 小尾奈 サロヒコ

    小尾奈 サロヒコ(オオナ サロヒコ)

    「サロンR」オーナー。スタイリストとして7年間別のサロンに勤務した後独立。「サロンR」を開業して3年目の33歳。スタッフを大事にしてサロンを成長させたいが、経営の知識はない。
  • 赤出 ミーコ

    赤出 ミーコ(アカデ ミーコ)

    「サロンR」に勤務するスタイリスト歴5年の須多井リスオの先輩。27歳。指名が多く、新婚で公私ともに絶好調。同僚からの信頼も厚いが、結婚を機に子どもがほしいと考え始めている。
  • 秋田センセイ

    秋田センセイ

    社会保険労務士。多数のサロンの労務管理相談を受けている、この企画の監修を担当。美容業界を他業界に負けないくらい、オーナー、スタッフともに働きやすい環境にしたいと考えている。
  • ビューティー

    ビューティー

    秋田センセイの名アシスタントの猫。先生の言いたいことを伝言するために、ここそこに現れるこの企画の陰のキーマン。サロンオーナーたちがいい経営者になることを心から願っている。
就業規則をみんなに見せたらゴールでしょうか?
POINT1

「就業規則」はサロンがどんな経営をしたいかの証となるもの。

将来を見据えて作成しましょう

Vol.18で、就業規則見本や、書かなければならないことをお伝えしましたが、それを見て「どこのサロンも同じような内容でつくればいいのでは?」と思った人もいるかもしれません。しかしそれは全く違います。就業規則は、オーナーの経営理念が反映されるものです。例えば賃金の計算方法でも、実力に伴って評価する歩合給の比率を多くするか、みんなで盛り立てるサロンにするために基本給の比率を多くするかによって、内容も書き方も異なってきます。
また、福利厚生にかかわる内容も含まれてくるため、スタッフのがんばりに対してサロンがどう応えるつもりかも明確にしておく必要があります。今までなんとなくやっていたことを、就業規則で明文化することで、スタッフが公平さを感じてくれるきっかけにもなります。

経営方針が明確でないときはどうすればいい?

「経営方針を明確にする」とは、精神論で「みんなで会社を大きくする!」などと決めることではありません。その想いを、待遇や約束ごととして数字や具体的な行動内容に落とし込むことが、就業規則作成で必要なことです。通常、社会保険労務士がそれぞれの項目についてサロンの決まりごとを尋ねます。その際に、社会保険労務士に相談しながら、自分がサロンをどうしたいのかを、改めて具体的に考えていくとよいでしょう。

POINT2

「就業規則」は法律にのっとっていなければならない

労働基準法は絶対遵守だよ!

就業規則は事業場ごとの約束ごとですが、その約束ごとが労働基準法などの法律にのっとった内容であることが大原則です。
例えば、年次有給休暇Vol.11でお伝えしたように、「6カ月以上勤続して8割以上出勤したスタッフは最低10日間取得できる」と法律で決められているのに、サロン独自で「年次有給休暇は6日とする」などと規定してはいけないということです(上回る分には構いません)。それを知らずに、もしもすでに作成した就業規則に、法律を下回る日数で書いてあっても、当然その部分は無効になります。
特に注意したいのは、Vol.18のPOINT2でお伝えした「絶対的必要記載事項」の項目です。①労働時間関係はVol.9Vol.11でお伝えしてきた労働時間や休日・休暇の法律に則していなければならず、②賃金はVol.18のPOINT3でお伝えした最低賃金を下回らないように設定する必要があります。

サロンにありがちな就業規則のまちがいとは?

サロンでは、トップスタイリストなどが急に退職した場合に、残されたスタッフにかかる負担が大きいため、退職希望の3カ月前などに届け出をする規定を設けようとするケースが見られます。引き継ぎに時間がかかることなど事情は理解できますが、法律上では月給、日給、時給を問わず、期間の定めのない労働者の場合は、スタッフ側からの解約申入れについては、その申入れから2週間で雇用契約が終了することになります。
*以下は民法の改正により図解も不要です。
vol19(1)

POINT3

就業規則はどう活用すればいい?

コミュニケーションに使いましょう

就業規則があることは、労使双方にとってメリットがあることです。スタッフの働き方に関する基本的なことを定めたものですから、本来は理解した上で入社しているはずで、オーナーは自身が作成しているので内容を理解しているはずです。しかし、就業規則をすでに作成している会社でも、その内容を熟知している人は美容業界に限らずほとんどいないのではないでしょうか? 退職を考えたときに初めて就業規則を見る人も少なくないようです。
POINT1でお伝えしたように、就業規則はオーナーの経営理念が反映されているものです。「これだけがんばれば、こんな手当を用意しているよ」、「労働環境をよくするために、就業規則で時間外手当を明確にしたよ」などと、スタッフとのコミュニケーションにも使えるのです。

就業規則は守るためにある。

あたりまえで最も大事なことは、「就業規則は守るためにある」ということ。規則をつくってもその通りに運用されていなければ意味がありません。法律はもちろん、就業規則の内容にもとづいて、オーナーとスタッフがともに働きやすい環境をつくり、サロンを反映させてほしいものです。

今回のポイント

就業規則の作成は、「信頼できるサロン」の第一歩。スタッフが働いていることに誇りを持てるサロンづくりのためにも、きちんと整備しましょう。

「労務のキホン」は今回で終了させていただきます。今までお読みいただきありがとうございました。監修の秋田先生からみなさんへのメッセージです。
「これまで100社を超えるヘアサロンから労務に関する相談をいただきました。最近の傾向としては、トラブルを防ぐというより、深刻な採用難をどうやって乗り切るかが課題であり、その対策として『いかに労働条件を良くしていくか?』という相談が増えています。休日数の増加、残業代を明確にするなどですが、これからサロンは今まで以上にスタッフが『いかに安心して働けるか』を真剣に考え、そして実践していくことが重要ではないでしょうか?」
これからも労務についてわからないことがあった際に、ぜひ読み直してください!

秋田繁樹さん

監修

特定社会保険労務士

秋田繁樹さん

プロフィール:

社会保険労務士法人 秋田国際人事総研代表。東京都社会保険労務士会所属。国内大手生命保険会社、大手企業のシステムインテグレーターなどを経て、独立開業。人事労務のスペシャリストとして、多店舗展開の美容室の労務管理や就業規則・社内規定などにも詳しく、多数の美容室の指導相談に当たっている。http://www.akita-sr.com/

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