海外のお客様への取り組み
サロンで始める
インバウンド対応
2020年の東京オリンピック開催に向け、外国人旅行者は今後ますます増加が期待されています。インバウンドと呼ばれる外国人旅行者がお客さまとなる可能性を視野に入れ、美容サロンができることを考えましょう。
第2回 もしも外国人のお客さまが
サロンへ来たら?【ヘアサロン編】
前回の記事では外国人旅行者は日本の美容関連サービスにも高い関心を抱いているという調査結果を紹介しました。自分が働く美容サロンに、外国人旅行者が訪れる日もそう遠くないかもしれません。いざその場面に出合ったとき、あわてず対応するには準備が大切。そこで今回は、すでに外国人旅行者を受け入れている2つのヘアサロンの事例を参考に、対応する際のポイントについて学んでいきます。 ●お話を伺ったのは… 「アトリエはるか」「UNIX KIRARITO GINZA(ユニックス キラリトギンザ)店」
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Q
受付からカウンセリングまで言葉の壁をどう乗り切る?
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A
日頃から外国語表記のメニュー表を用意していると便利。仕上がりイメージがわかる写真入りのものやサンプルがあると、より伝わりやすくていいでしょう。
誤解を生まないように最初にしっかり意思疎通を図ること。
決まった料理を提供する飲食店とは異なり、美容サロンではお客さまの要望に応じて提供するサービス内容が変化します。「仕上がりがイメージと違った…」なんてことが起きないように、カウンセリング時にきちんと意思疎通を図ることが重要です。このときに価格についても誤解のないように伝えることが、のちのクレーム防止につながります。そこで活躍するのが、外国語表記のメニュー表です。 外国人旅行者の利用も視野に入れて東京・銀座に2014年開業した商業施設「KIRARITO GINZA(キラリト ギンザ)」に店舗を構える「UNIX KIRARITO GINZA(ユニックス キラリトギンザ)店」では、昨年のオープン当初より英語と中国語で表記したメニュー表を用意。また、ヘアセットからメイクアップ、ネイルまでプロによる施術が気軽に体験できるサロンを全国各地で展開する「アトリエはるか」でも、もともと日本人向けに用意していたカウンセリングシートや写真入りのメニュー表を英語に翻訳したものを使用しているそうです。
簡単な会話リストや翻訳アプリを活用するのも手。
「UNIX KIRARITO GINZA店」では英語のほか中国語の会話にも堪能な女性クルー(スタッフ)を受付に配置しています。さらに受付やカウンセリングの際の英会話リストを作成し、ほかのクルーが外国人に対応する際に役立てているとのこと。外国語が話せる人材をいきなり配置するのは難しいですが、会話リストの準備なら取り入れやすいでしょう。 「アトリエはるか」では、翻訳アプリの英語版・中国語版をインストールしたタブレット端末を主要店舗に用意しています。外国人のお客さまの増加につれて対応に困る場面も増えたため、つい2カ月ほど前から導入したそうです。タブレット端末やアプリであれば費用面の負担も少ないため、ぜひ参考にしたいですね。
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Q
施術中、気を付けるポイントは?施術メニューも外国人向けに工夫すべき?
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A
基本的にはいつも通りで問題ありません。笑顔で丁寧な対応をして、心地よい時間を過ごしていただけるよう心がけましょう。
おもてなしの心を大切にした応対をすれば気持ちが伝わる。
カウンセリングで施術内容を確定できたら、あとは普段通りのサービスを提供することに集中すればOK。施術中に雑談をすることは少ないようで、「たまにおすすめのお店を聞かれるくらい(「UNIX KIRARITO GINZA店」)」だとか。「アトリエはるか」でも心構えを聞いたところ、「とにかくゆっくり、笑顔で話す」ようにして、ジェスチャーも交えて対応しているそう。また言葉の壁があるぶん、「表情の変化を読み取る」ことも心がけているとのこと。快適に過ごしていただけているかを表情から読み取り、カタコトの外国語でも伝えたい気持ちをもって接することが大切なようです。
シャンプー&ブローだけに訪れるお客さまも。
外国人のお客さまが注文する施術メニューについて今回お話を伺った2つのサロンに尋ねたところ、ヘアカットを希望する人はほぼいないそう。髪質や顔型に応じて微妙なニュアンスの調整も求められるヘアカットは、スタイリングやトリートメントメニュー以上にカウンセリング時の意思疎通が必要。言葉の壁がある海外で、望んでいるヘアスタイルをサロンへ伝えるのは外国人のお客さまにとってハードルが高いのかもしれません。一方で、シャンプーのためだけに訪れる人は珍しくないようです。 また、「外国人のお客さまは富裕層らしい身なりの方が多い」と話す「UNIX KIRARITO GINZA店」では、“来たついでに…”といった気軽さでヘアケア剤やヘアアイロンなどの店販品を買い求める人もいます。こうした現状から、外国人が旅先である日本のヘアサロンに求めるものは、リラックスできるひと時や、おみやげにしたくなるような商品との出合いだとも考えられます。
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Q
海外の流行や好みのスタイルを知らないけれど満足してもらえる…?
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A
外国人のお客さまの満足度は高し!日本のハイレベルなサービスやコスパのよさに、多くの外国人旅行者が喜んでいます。
技術力やおもてなしは、お値段以上との喜びの声も!
お話を伺った2つのサロンに共通していたのは、「外国人のお客さまの満足度は非常に高い」ということ。「アトリエはるか」では施術後の様子を見ると、日本人のお客さま以上に満足度が高い印象だそう!また、アロマシャンプー&スタイリング2,160円やヘッドスパ(60分)8,640円といったメニューがよく利用される「UNIX KIRARITO GINZA店」では、仕上がりはもちろんのこと価格設定がリーズナブルであると喜ぶ声も多数。海外の美容サロンの価格設定と比べて特別に安いわけではなさそうですが、外国人のお客さまには価格以上のクオリティだと感じてもらえているようです。
ヘアサロンに続き、次回はネイルサロンにおけるインバウンド対応について見ていきます。
Salon Data
アトリエはるか
- 店舗数
- 東京をはじめ名古屋、大阪、博多など全国50店舗(ネイル専門店を含む)
Salon Data
UNIX KIRARITO GINZA店【ユニックス キラリトギンザ】
- アクセス
- 東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅から徒歩1分