海外のお客様への取り組み
サロンで始める
インバウンド対応
2020年の東京オリンピック開催に向け、外国人旅行者は今後ますます増加が期待されています。インバウンドと呼ばれる外国人旅行者がお客さまとなる可能性を視野に入れ、美容サロンができることを考えましょう。
第7回 年々外国人が倍増中の
美容サロンの取り組み
【店舗開発、今後の展望 編】
第5回・第6回に続き、すでに多くの外国人客を受け入れている株式会社フォーサイスの取り組みを紹介するシリーズ最終回。今回は外国人向けの店舗開発について紹介。最後に、これからのインバウンド施策に対する同社の展望も伺いました。 ●お話を伺ったのは…「株式会社フォーサイス」営業企画部・中野真司さん
旅行の思い出づくりに日本文化体験を!
ヘアメイクもできる着物レンタル店をオープン。
京都・祗園の着物レンタル店に外国人客が続々。
2015年9月、株式会社フォーサイスのフランチャイズ店舗として着物レンタル店「ミッション祗園」がオープン。浴衣や着物、小物のレンタルと着付けに加え、ヘアサロンに併設されているためヘアメイクもオプションで利用できます。 お客さまは中国、台湾、韓国、フィリピンにシンガポール…といったアジア圏の人々を中心に、ドバイやスイスから訪れる方もいてバラエティ豊か!外国人旅行者にも人気の京都という立地から飛び込みで訪れる人のほか、第6回で紹介した外国人旅行者向けオプショナルツアーのメニューとしても利用されています。
着物レンタルは美容師の雇用創出策としても有望?
同社営業企画部・中野真司さんによると、「どんどん利用者が増えていて、ヘア&メイクの人材が足りないほど」だとか。ヘアメイクから着付けまで受け付けているヘアサロンもありますが、外国人客を受け入れるサロンの数やヘアアレンジもメイクもできる美容師の数を上回る勢いで外国人客からの需要が伸びているようです。 「こうした状況は、ヘア&メイクができる元美容師さんが現場復帰するチャンスとも考えられます。復帰を望む元美容師さんと、人材不足に悩む現場をうまくマッチングさせることができないかと模索しています」と中野さん。今後は着物レンタルサロンが、美容師の新たな活躍の場となるかもしれません。
多方面のインバウンド施策を進めてきた
株式会社フォーサイスが考えるこれからの展望とは。
「美容サロンにできることはもっとあるはずです」。
他の多くのサロンに先駆けて、株式会社フォーサイスでは2012年からインバウンド施策を展開してきました。2014年に免税対象が消耗品にまで拡大した際には、制度改定に合わせていち早く自社サロン5店舗を免税店に登録。現在は免税店の表示を見つけて美容アイテムの買物にだけ訪れる外国人客もいるそうです。 一連の施策を始めて以来、外国人客は年を追うごとに倍増しています。最近はアフリカ系や欧米系など国によって異なる髪質に応じたカットやカラーも提供できるよう、研究を始めたところだとか。インバウンドという新たな分野を開拓してから数年は赤字覚悟で続けてきたそうですが、「ようやく最近、これまでの下地づくりが実り始めたという段階」と中野さん。「どんどん外国人旅行者が増えている現状で、これからも美容サロンとしてできることは何かを考え、社会に還元したいですね」。
観光する前にサロンで身支度。そんな未来を夢見て。
「美容サロンにできること」の一つとして中野さんが考えているのは、「サロンが観光案内所機能を果たす」というもの。「ヘアサロンには1回の利用でだいたい2時間ほど滞在しています。その間に『どちらの国から来たんですか』なんて程度の会話をしても外国人のお客さまは嬉しくないし、まして訪日リピーターの方だったら『またこの質問か』とうんざりするかもしれません。それよりは、相手の要望に応じておすすめのお店を伝えるなど、もっとサロンでの時間を有効に過ごしてもらえるようなおもてなしができると思うんです」。 美容サロンで観光情報を仕入れて、施術により美しくなったところで日本の街へ繰り出していく外国人旅行者たち…。そんな未来を想像すると、ワクワクしますね!
株式会社フォーサイス特集は今回で終了。次回は自治体と美容組合が連携した千葉県の取り組みをご紹介します。
Salon Data
株式会社フォーサイス
- 店舗数
- 「アリーズヘアー心斎橋OPA」「ヘアーミッション」をはじめ大阪、京都、兵庫、東京にヘア、ネイル、ヘッドスパ、アイラッシュ、着物レンタルなどの店舗を13軒展開。美容専門の英会話スクール事業も行っている