先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.102
苦手な接客をカットモデルで克服!
出産し、さらに客層が広がった理由とは?
アットホームな雰囲気と、丁寧なカウンセリングが評判の美容室「make's HAIR DESIGN」。愛媛県今治市に位置する、地域密着型のサロンです。そこで生き生きとハサミを動かす島本美咲さんは、1歳の男の子を育てるママ。お腹には8カ月の赤ちゃんもいます。結婚を機に前のサロンを退職した時には、美容の仕事を離れるつもりでいたという島本さん。こちらのサロンに想定外の再就職をして、出産後もスタイリストとしての歴史を重ねていくことに。「仕事と育児の両立に、苦労はほとんどありません」と笑顔で言い切れるそのワケと、これまでの歩みを聞きました。
Staff Data
島本美咲さん 31歳
スタイリスト。「make’s HAIR DESIGN」(愛媛県今治市)勤務。
スタイリスト歴4年。既婚。1歳10カ月の男の子のママで、現在第2子を妊娠中。
9:00~15:30で週2日出勤、日曜休みのパート勤務。
島本さんのLife History
★…ターニングポイント
-
19歳
元理容師の母の技術に憧れて、美容師を志す。高校卒業後、1年間のアルバイトで学費を貯め、地元沖縄の美容学校に入学。
-
21歳
美容学校を卒業し、同じ沖縄出身のオーナーが営む鎌倉のサロンに入社。日夜練習に励み、家には寝に帰るだけというアシスタント時代を、同期と励まし合って乗り越えた。
-
26歳
スタイリストデビューを果たすも、接客に自信が持てず悩む日々。カットモデルをたくさんこなして克服を図る。
-
28歳
★遠距離恋愛を実らせて結婚。退職して、夫の暮らす今治へ転居する。
専業主婦として生活していたところ、「make’s HAIR DESIGN」で店長に声をかけられ、パート勤務をスタート。 -
29歳
妊娠が判明。店長やスタッフの温かい気遣いのおかげで、妊娠中の勤務も苦ではなかった。8カ月目からは週2日に出勤を減らし、9カ月目から産休に入る。
-
30歳
長男が1歳になり、一時保育を利用できるようになったのを機に復帰する。パート勤務で、出勤は週3~4日、9:00~15:30まで。
-
31歳~
第2子の妊娠が判明。つわりが重いため、現在は週2日で勤務中。産休・育休を取り、再度の復帰を予定している。
島本さんへのインタビュー
Q. 結婚で退職されましたが、また美容師として働き始めたのはどうしてですか?
-
A. とても寛容な条件で誘っていただき、家庭と両立できると思えたからです。
夫の実家が自営業をしているので、後継ぎの妻として、いずれは家業を手伝うつもりでいました。でもある日、家の近くにある「make’s HAIR DESIGN」にお客さんとして訪れたら、店長に元美容師であることを見抜かれてしまったんです。「息抜きでいいから、バイトに来てみない?」とその場で誘われて、驚きました。「結婚式がまだだから、ちょくちょく沖縄に帰るだろうし、これから子どもを作る予定もあるし」と話しても、「どうぞどうぞ、希望に合わせます」と。あまりに寛容に受け入れてくださるので、やってみようかなという気持ちになったんです。
「夫は家庭を第一に考える人なので、家事に支障が出ない範囲で働きたい」。店長にそう伝えて、週3~4日、9時~16時30分のパートで勤務することになりました。
Q. スタイリストとして自信がついたのはいつ頃からですか?
-
A. 今治に来て、この店で働き始めてからです。
アシスタント時代からずっと接客が苦手でした。沖縄の訛りが出るのが心配でしたし、鎌倉では上の世代のお客さまが多かったので共通の話題も見つけられず。自分を売り込む力が全然なかったんです。カットモデルを大勢こなしてやっと、自分を開くことが接客上達のポイントだと気が付きました。家族や地元のことなど、自分のことをたくさん話すと、お客さまも心を開いていろいろ話してくれる。そうやって、ライフスタイルの話題からヘアの話につなげていくスキルを身につけました。それでもまだ自信が持てなかったのは、心に余裕がなかったからかも知れません。毎夜の後輩指導で疲れていましたし、マニュアルに忠実に接客しなければという義務感もありました。
今治に来てこの店で働き始めたら、あまりのアットホームさにびっくり。お客さまとこんなにフランクにお話していいのかと、目からウロコでした。マニュアルがない分、臨機応変さが必要になり、最初は戸惑いましたね。そういう自由な空気の中、私ひとりで営業する日があったり、成人式のセットをしたりと、任される仕事が多岐にわたるように。必死で対応してきたところ、技術も上がって、気付けば自信がついていました。
Q. 1年間の育休期間を経て、復帰に不安はありませんでしたか?
-
A. 戻りやすい環境を用意してもらっていたので、安心でした。
育休中も時々、婚礼や成人式のセットなどを手伝いに来ていたんです。店長は「いつでも戻って来てください」と相変わらず寛容でしたし、復帰を待ってくれているお客さまもいたので嬉しかったですね。復帰後も、私が戻ったことをDMでお客さまへ告知してくれるなど、店長が戻りやすい環境を整えてくれました。
実際に仕事を再開してみると、子どもの発熱などによる急な休みにはやはり悩まされます。前日に分かれば、指名のお客さまに日程をずらしてもらえますが、ほとんどの場合は店の人たちに負担をかけてしまっていますね。うちは店長含め4名中3名が子育て中という、ママスタッフが多い店なので、理解を得られて助かっています。子育てしながらのびのびと働かせてもらえるというのは、本当にありがたいことです。
Q. 母親になってみて、仕事をする上で変化したことはありますか?
-
A. 担当させていただけるお客さまの幅が広がりました。
話題の幅が広がって、自分よりもっと上の世代のお客さまとも話しやすくなりました。自分がお母さんになり、子育て中の女性の気持ちが分かるようになったからだと思います。育児話をするうちに指名をいただけるようになることも多く、お客さまの幅が広がりましたね。また、ママ友が来店してくれることもあり、指名の数は産休前の7割くらいまで戻って来ています。
今は売上など考えずに働かせてもらっていますが、次回の復帰後は、もっと数字を意識していけたらいいなと思います。これだけお世話になっているのだから、子育てが落ち着いたら店の売上にちゃんと貢献したいですね。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
私が美容師人生で一番辛かった時期は、アシスタント時代。体力的にぎりぎりだったし、辞めていく仲間も多くいました。でも、「ここで辞めたら悔しいから、とにかくスタイリストになるまで頑張ろう」と踏ん張ること5年。そこで必死になって技術を身に付けたから、結婚・出産後も美容師として楽しく働けている今があります。もし皆さんが今アシスタントで辛い時期ならば、未来のために、がむしゃらにこなして乗り越えてください。そして結婚・出産後も働き続けている先輩が周りにいなくても、結婚後の美容師人生をあきらめないで。まずは店長など、周りに相談してみてください。「こういう働き方がしたい」と希望を伝えていかないと、叶わないと思うので。ひとりで悩まずに、相談が一番です。
Salon Data