第3章サロン専売品を開発
「サロンの方たちの教育を重視し、
医学財団の設立につながりました。」
ご自身がエステティックサロンの経営を通じて、「お客さまに売るいい商品がない」と感じたことから自社開発に乗り出したとのことですが、製品を開発するうえでこだわった点は?
学術的なエビデンス(根拠)をとるという点ですね。自社のサロンに商品を仕入れるときも、いかがわしいものや、誇大広告じゃないの?という商品が多くて、これじゃあダメだと感じていたので。そして僕はやるとなったらどんどん上を目指してこだわるタイプなので、大学や医療機関と手を組んで臨床試験を行うようにしました。できる限り、ヒト臨床試験まで行い、学術誌に論文発表できるくらいのデータをとっています。
製品開発においても、通常はオリジナルとうたいながらも工場から提案された原材料の処方をそのまま使って、パッケージだけオリジナルにするというパターンも多いんですね。でもうちは本当にいいものを作るために専門家や原料屋さんの力を借りながら自社で研究開発をしていきました。
うちの酵素ファスティングアシスト食は副原料まで含めて、動物性原料も化学調味料もフリーなんですが、副原料までフリーってすごく大変なんです。工場には「そんなのできるわけない」って言われるんですが、うちは妥協しないので最初は面倒な相手だなと嫌がられました。それでも本気度や、実際に販売したら売れるということがだんだんとわかってくれて、工場も協力してくれるようになっていきました。
以前は他社の通販広告を担ってきたわけですから、自社製品を売り出すのもお手の物でしたか?
いえ、なにせお金がないものでプロモーションらしいことはしませんでした。展示会に出展したくらい。売り方も最初は通販と同じ感覚でいけばいいだろうと考えていたのですが、サロン専売品はそれでは売れないなと気付きました。サロン専売品というのはうちが直接、お客さまに売るのではなくて、サロンの方たちが売り手になるわけです。そうするとサロンの方たちの教育に力を入れることが重要になるんです。毎年1月には製品を取り扱うサロンを対象にした「プロラボ アワード」を開催し表彰しています。みなさん全国から駆け付けてくれて、このアワードのために1年がんばってくださる方々がたくさんいらっしゃいます。
それで講習会を受けて認定サロンになってもらったところへ卸す形式を導入したほか、インナービューティの研究、教育のために医学財団も設立しました。2018年に「内面美容医学財団」という、医師や研究者を理事や顧問に招いたインナービューティと健康寿命の延伸を目的にした財団法人を立ち上げたのですが、2014年にはその元となる活動をスタートさせていて。その団体を通してインナービューティに関する講演や勉強会を行ってきました。
財団まで設立するというのは、すごいですね。
僕はほら、無謀な男ですからね(笑)。「これは無理だろう」みたいな壁がないのかもしれない。予防医学の第一人者とか、会いたい人がいたら会えるようにするんです。お医者さんは美容関係なんて相手にしてくれないだろうって思うかもしれませんが、相手にしても臨床試験を通じて論文が書けたりとメリットはある。だから協力してくれる方も見つかるんですよ。コツはまずトップの人を口説き落とすこと。影響力の高い人がいると、どんどん人が集まってくれますからね。そういうのが面倒でみんなやらないけど、僕は何かを企画して形にすることが好きなんです。
臨床試験や医学財団の設立は製品開発や教育の面のほか、販売するうえでも役立ちました。大手企業さんも「おたくはきちっとしている」「エビデンスがあるから安心、安全だ」と言って取引してくれています。
「エステプロ・ラボ」の製品は、中身だけではなくパッケージデザインも素敵で目を引きます。これは発売当初から?
美容サロンで女性のお客さまに手に取ってもらえるように、というのは強く意識してきました。「どれだけいいものを作っても、手に取ってもらえなければ意味がない」と川端が言いましてね。彼女は当初から「海外の一流ブランドのような商品を作るのよ!」と言っていて、インナービューティと言っても健康食品の一種だと考えていた僕からしたら「え~!?」という感じで、最初は意見が合わずにケンカしました(笑)。