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異業種インタビュー 突破する視点

ビジネスの世界において圧倒的な存在感を放つ人。その視点はどのように生まれるのか?
他業界の「知」を美容業界へ。そのヒントをお届けします。

PEOPLE.10 箕輪厚介 編集者

箕輪厚介

超緻密×超大胆。 肩書・箕輪厚介。

『多動力』『お金2.0』『破天荒フェニックス』『メモの魔力』…。最近話題になったこれらのヒット本の陰には一人の編集者がいる。今回のゲスト・箕輪厚介さんだ。幻冬舎の社員であると同時に、会員数1000名超のオンラインサロン「箕輪編集室」主宰、テレビのコメンテーターなど多方面で活躍。「副業を持つ会社員」というワクにおさまりきらない、彼の仕事術とは?

Profileプロフィール

みのわ・こうすけ●1985年、東京都生まれ。早稲田大学を卒業後、2010年に双葉社に入社。広告部在籍中の2013年、ムック本『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊。2014年に編集部へ異動後は『たった一人の熱狂』(見城徹 著)などの編集者を務める。2015年7月に幻冬舎へ。2017年に幻冬舎と「NewsPicks」がコラボした書籍レーベル「NewsPicks Book」を立ち上げる。以降、『多動力』(堀江貴文 著)、『メモの魔力』(前田裕二 著)など数々のヒット本を世に送り出す。2017年には自身の会社「波の上商店」を設立。オンラインサロン主宰、プロデュース業、講演など活動は多岐に渡る。
https://naminoueshoten.com/

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匿名でも売れる自信はあるけど、
僕は「ブランド」で選ばれたい。

匿名でも売れる自信はあるけど、僕は「ブランド」で選ばれたい。

千葉

(ホットペッパービューティーアカデミー・アカデミー長)
「NewsPicks Book」編集長として数々のヒット本を送り出しているほか、オンラインサロン「箕輪編集室」を主宰するなど多岐にわたり活躍されています。そんな現在も、幻冬舎の社員でもあるんですよね。

箕輪

そうです、サラリーマンですし社内でも下っ端のほうです。肩書としては書籍を出すのもオンラインサロンでいろいろやるのもひっくるめて、自分は「編集者」だと思っています。

千葉

いろんなモノを「編集」して世に出している、と。さまざまなことを手がけていらっしゃると思いますが、活動の時間配分はどうなっていますか?寝る時間もなさそうですが…。

箕輪

まず取材とか人と会うための時間を取ります。そうすると大体の時間が埋まるので、空いた時間や移動中にデスクワーク的なことをしたりメールの返信、企画を考えたり…って感じですね。睡眠時間も、どっちかというと長いほう。寝る時間がないってことはありません。もしそうなりそうなら、忙しい原因を考えて、人を増やすなりして時間を作り出します。

でも以前は「自分で何でもやらないと」って思ってました。本の校閲さんの指摘を書き写す作業とかも、自分でやったほうが本に熱が生まれるだろうし、理解も深まって本質的なタイトル・帯の言葉が思いつくだろうと全部やっていた。だけど「NewsPicks Book」を立ち上げたくらいから、寝る時間もないほどになって。

そこからコアな部分は自分でやらないと魂が乗っからないけど、それ以外は手放して他の人に任せることに。そうじゃないと続かないし、規模も大きくなっていかない。優先順位をつけて、他の誰かでもできる作業は任せて、企画を考えたり人と会ったり「僕がやるべきこと」に時間を使うことにしました。

千葉

最近ですと、100円ショップのダイソーさんと手を組んで「NewsPicks Book」の書籍を子ども向けに再編集した100円本「NewsPicks Bookジュニア」を出す予定、というのが話題になりました。これはどんなきっかけで?

箕輪

インターネットテレビの番組で、西野さん(キングコング・西野亮廣さん)とホリエモン(堀江貴文さん)と「今後、何する?」って話したのがきっかけですね。ビジネス書で部数稼ぐのも飽きてきたし、ミリオンセラーを狙うのもあまりワクワクしない…、じゃあどうしようかと考えて。

「ダイソーの編集者はみんなミリオン編集者だ。なぜなら店舗数が多くて初版から100万部だから」っていうのを、何かの記事で見たのを思い出したんです。それで、「じゃあホリエモン監修の書籍『100の言葉』を作り直してダイソーで売ればミリオンセラーだ!」と盛り上がって。

でもこの話をダイソーさんに持っていったとき、先方は「ミリオンセラー編集者だ、という記事なんてありましたっけ?」という反応で。それから自分でも探したんだけど該当する記事が見つからず…。あれ~?俺の夢だったのかな?って(笑)。

千葉

子ども向けにビジネス書を100円で売るっていうのは、おもしろいですね。

箕輪

僕は「ブランドを作ろう」と常に思っています。似たような本の中から“こっちのほうが役に立ちそう”と買われても嬉しくない。「箕輪さんが好きだから」「NewsPicks Bookが好きだから」って選ばれたいんです。そのためにはキャラを濃くしなければならない。ブランドを強くして、読者層を増やしていく。その一手として、子ども向けの100円本を出そうと。

あと最近「世の中に多少は価値のあることをしないとバチが当たるな」と考えるようになったのもあります(笑)。大義を掲げるのは好きじゃないけど、「子ども向けにビジネス書を100円で売る」っていうのは、単なるきれいごとではなく「おもしろい企画だな」って自分で思えるし。

大義があれば応援してくれる仲間も集まりやすい。読者もですし、「そういう趣旨なら自分も書きたい」って起業家も出てくる。そうやって仲間が集まると「ブランド力」が高まっていきます。

千葉

ダイソーの本もヒットの予感がしますが、これまでも数々のベストセラー本を送り出しています。ヒットを連発できる理由は何だとお考えですか。

箕輪

偶然ではないという部分で言うと「ブランド」でしょうね。「NewsPicks Book」というブランドではなく、編集者としての名前も出さずに匿名で出版しても売る自信はあります。でも、どの著者でもテーマでも、ここまでコンスタントに重版がかかる本を生み出すのは難しいと思います。そうするためには大掛かりなプロモーションをするなど、膨大な下準備が必要になる。

いまはイチから新規の読者をとってくるというより、「レーベルとしての信頼」と「箕輪が手がけたなら買おう」という掛け算で、読者が獲得できている状態です。

千葉

箕輪さん、あるいは「NewsPicks Book」における、ブランドとは?

箕輪

「常識とか権威に向かっていくスタンス」ですかね。「この人の本、出すのどう?」ってビッグネームな人を紹介されることもありますが、時価総額がすごくても社会的評価が高くても、新しい実験的なことをやっていなければ「NewsPicks Book」というレーベルから出すのは違うなって思っちゃう。それよりも、成功者なのか、はみ出し者なのか、それすらもよくわからない、でも新しい風を感じる挑戦者だなって人のほうに惹かれる。

そういう「NewsPicks Bookっぽさ」が何冊も連なることで全体の雰囲気、ブランドが作られていく。そして「うちっぽさ」が好きな人が生まれて、著者自体を知らなくても「きっと自分が好きなメッセージがあるだろう」とレーベルを信頼して手に取ってくれている気がします。

2017年に発売された『多動力』(堀江貴文 著)。編集者・箕輪厚介の認知を一気に広げた一冊でもある

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