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「売れるのはフォロワーが多いだけ」って?いや、そのために必死でやってきたんだよ。
千葉
従来の常識ではおさまらない、とがったタイプの著者を相手にすることも多いと思います。箕輪さんがそういう人たちから信頼され、気に入られるのは、どうしてだと思いますか?
箕輪
おもしろいこと、新しいことがしたい人って、塀の上を全力疾走するみたいな、どうなるかわからないことをやりたいんですよ。そんなとき、リスクについて話したりする普通の人が相手だと「こいつとは一緒にやれないな」って拒否される。でも僕は、一緒に塀の上を走っちゃうタイプなんで、そのへんが気に入ってもらえるのかな。
昔から、誰かがやったこと、結果が見えることには全然興味がなくて。人って、自分の中で描ける世界までが、自分ができる限界だと思う。だから僕は、自分では想像もできないおもしろそうなこと、ゾワゾワすることを選びます。「なんじゃそれ!」っていうものを作りたいから。
千葉
現在は「箕輪厚介」自体が、ひとつのブランド価値をもっています。一般的には黒子的存在である編集者が、インフルエンサーとして知られるようになった経緯は?
箕輪
インフルエンサーって言葉はダサいと思っているんですが、ただ僕は「担当した本を売りたい!」って切実に思っていただけです。本って基本、あまり売れないんですよ。でもどうにかして売りたい。僕の名前があまり知られていなかったころ、与沢翼の『ネオヒルズ・ジャパン』ってムック本を作ったころの話で。そのときは「ホリエモンの力を利用しちゃおう」と思いついた。
そのころから堀江さんと僕は親交があったんですが、彼って与沢翼が嫌いなんですね(笑)。それでワザと彼が反応するように、彼のメルマガのQ&Aコーナーに「ホリエモンの本よりおもしろいと評判のネオヒルズ・ジャパンって読みましたか?」って投稿した。会員名が僕だと自演だとバレるから、女性の名前でわざわざ会員登録して。そしたら「読んでねーよ、バカ!」って返事がもらえた。「ネオヒルズ・ジャパン」って名前が、1万5000人いる彼のメルマガ読者の目にふれたわけです。
千葉
手が込んでいますね(笑)。
箕輪
そういう小さなことをやりまくりました。フォロワーが多いインフルエンサーがリツイートしてくれるように、担当した本の話題を巧妙に紛れ込ませたり。そのころは、それぞれのインフルエンサーが起きる時間まで把握していましたから。この時間にメッセージを送れば、目につきやすいだろうとか。そうやってインフルエンサーが話題にすると、実際にAmazonの売れ行きランキングも一気に上がる。
それで思ったのは、誰かを利用するんじゃなくて、自分がインフルエンサーみたいになれば最強じゃんってこと。
有名な人とからんで、大きなニュースを作ったり、実績も重ねて、だんだん僕のフォロワーも増やしていって…、現在に至ります。いま僕のTwitterフォロワーは15万人くらい。「新刊が出ます」って本気でツイートしたり盛り上げれば、発売前に2000冊くらいは売れるようになりました。こうなるまでの道のりは、小さなことの積み重ねで本当に地味で地道なもんです。だから、いま「箕輪さんの本が売れるのはフォロワーが多いだけ」とか言われると、いやそのために必死でやってきたんだよって思いますね。