サロンで働く先輩女性たち

長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください！

vol.119

仕事がどんどん楽しくなる！美容師歴25年ママ店長の「働く極意」とは。

全国に248店舗を展開するトータルビューティーサロン「HAIR & MAKE EARTH」。12年前にオープンした稲毛海岸店は、白とグリーンを基調とした店内に、全27席がゆったり配置された癒やしの空間です。ここで30人ものスタッフを束ねる店長の村杉未央さんは、8歳の男の子のママ。出産後2カ月で仕事に復帰したパワフルウーマンです。「働くほどにどんどん仕事が楽しくなる」と笑顔で語り、発言の1つ1つにポジティブパワーがみなぎります。周りの人々のサポートに日々感謝しながら、育児も仕事もしなやかにこなす村杉さんに、その秘訣を伺いました。

Staff Data

村杉未央さん 46歳

スタイリスト。HAIR & MAKE EARTH 稲毛海岸店（千葉県千葉市）勤務。
スタイリスト歴25年。8歳の男の子のママ。
週5日、9:30～18:00出勤の正社員。

村杉さんのLife History

★…ターニングポイント

18歳

高校時代まで将来の夢は「学校の先生」になること。高校3年生の2月にふと気持ちが変わり、美容学校へ進学する。
19歳

美容学校を卒業し、過去に利用したことのある地元のサロンへ就職。アシスタント時代は夜練習の後、そのまま先輩たちと飲みに出かける毎日で、寝不足になりながらも楽しく仕事に励んだ。
21歳

スタイリストデビューを果たす。自分がカットしたお客さまが笑顔になり、指名でリピートしてくれることが大きなやりがいに。
26歳

★「いろいろなヘアサロンを見てみたい」と考え、数回の転職を経験。そのたびに指名のお客さまと別れてきたことを心苦しく思うようになり、生涯の職場として「HAIR & MAKE EARTH」千葉店に入社する。
34歳

オープニングスタッフとして、「HAIR & MAKE EARTH」稲毛海岸店へ異動。店長に就任する。
36歳

結婚。
37歳

妊娠が判明。つわりなど体調不良はほとんどなく、医師と相談しながら、出産予定日の2週間前頃まで勤務を続ける。
38歳

★産休に入った2日後に長男を出産。その後2カ月で、店長の役職のまま仕事に復帰する。勤務時間は産休前とほぼ変わらない9:30～18:00頃まで。家族のサポートで子どもの預け先には困らなかったが、子どもの夜泣きによって寝不足で出勤する日も多かった。
46歳~

たくさんの指名客をカットしながら、若手スタッフの教育にも力を注ぐ日々。「月の売上200万円プレイヤー」をスタッフたちの目標に掲げ、朝練習などをサポートしている。

長男、岳大（たけひろ）くんが小学校に入学した時の1枚
家族旅行で北海道の人気動物園へ
20年間一緒に働いているスタッフたちと
オーナーの誕生日会は家族も同伴で大賑わい
店舗視察に訪れた國分社長と一緒に

村杉さんへのインタビュー

愛息子とお祖父さんの記念写真。「初孫が可愛くてしょうがないという感じで、両方の親が積極的に育児に協力してくれています」と村杉さん

Q. 産後2カ月で復帰されましたが、育児と仕事はどうやって両立しましたか？

A. 夫と自分、双方の実家の協力があったおかげで両立できていました。

子どもが幼稚園に入るまでは、夫と私、義母、私の両親の5人体制でシフトを組んで育児をしていました。おむつ交換や授乳など、全員がひとりで朝から晩まで子どもを見られるように訓練して臨んだので、育児と仕事の板挟みになるようなことはほとんどなかったです。2歳半になり幼稚園に通い出してからも、お迎えや発熱時など、両親たちが変わらずサポートし続けてくれたので助かっていました。私の父は「育じい」として園内で有名になっていたほどです（笑）。園長先生も「お母さんはどんどん仕事をしていいよ」と言ってくださり、応援してくれる人がたくさんいたことに今でも感謝しています。

子どもが小学生になってからは時間に余裕が生まれ、朝練習や週末の夜練習、ミーティングにも立ち会えるようになった

Q. お子さんが生まれて、仕事への向き合い方に変化はありましたか？

A. 自分にもスタッフにも完璧を求めないようになりました。

出産前は自分のペースで物事を進めることができていましたが、子どもがいると、思うようにいかないことが多くなります。そのため、特に時間の面での不便が増えました。店長として、スタッフとのコミュニケーションを大事にしてきたのですが、出産後はミーティングに費やせる時間も少なくなってしまい、スタッフたちの夜の練習を見てあげることもできなくなってしまって。思い通りに進められないことに葛藤が起きましたが、完璧を求めるのをやめてみたら、すごく楽になったんです。「もう完璧主義をやめよう。自分も周りの人も、完全じゃなくていいじゃん！」とある時から発想を変えて、自分に優しく、人にはもっと優しくすることにしました。スタッフからも、子どもを産んでから優しくなったと言われた記憶が…（笑）。そこが出産後の大きな変化ですかね。

スタッフの中には入社当時から20年間苦楽を共にしてきた仲間をはじめ、15年以上も一緒に働いているメンバーが7人も！

Q. 大型店舗の店長として、マネジメントで工夫されていることはありますか？

A. スタッフの役割分担とルール作りを徹底しています。

うちの店舗にはスタッフが30人います。それだけ大人数だとそれぞれいろんなことがあるので、私ひとりで対応するのは至難の業です。でもうちには、私に変わって後輩スタッフをフォローしてくれる、お兄さん・お姉さんスタッフがいっぱいいます。アシスタントリーダーなど係や役割分担を細かく決めていて、みんなが自分の役割をしっかり果たしてくれるので、安心して任せることができるんです。私が不在の日には、副店長が店長代理として対応してくれますし、副店長も不在なら、また別のスタッフが店長代理を務めてくれます。大人数の店舗だからこそ、役割分担もルールもしっかり決めて、チームプレイで運営できています。さらにチームプレイといった時に大きいのが、本部の存在です。広告や求人などさまざまな業務を本部が担当してくれるおかげで、私は店長として、お客さまとスタッフのことに専念できます。みんなに支えられて今この仕事ができているというありがたさを、感じない日はありません。

始めは「何となく」で足を踏み入れた美容の世界。働いているうちにどんどん楽しくなり、気づけばスタイリスト歴は25年に！

Q. 25年間、美容師を続けて来てよかったと思えることは？

A. お客さまやスタッフたちと、たくさんの絆が築けたことです。

いろいろありますが、一番は人との出会いですね。長く一緒に働いているスタッフとの出会いはもちろんのこと、お客さまとの出会いもかけがえのないものです。私が「HAIR & MAKE EARTH」に入社してから20年間担当している方もたくさんいて、お客さまとスタイリストという枠を越えたおつきあいをさせていただいている方も多いです。最初にお会いした時は赤ちゃんだったのに、その方が子どもを連れて来てくれるようになったり、小学生だったお客さまが20歳になり、成人式のヘアセットを担当させてもらったり。お客さまの結婚式にもたくさん出席させてもらっています。光栄なことに親族席に座らせていただくこともしばしば。そうやって、お客さまの人生の節目に関わっていけることがすごく嬉しいです。
「いつまでスタイリストを続けるんですか？」とよく聞かれるのですが、出来る限り、1日でも長くサロンに立ち続けることが私の野望です。スタッフやお客さまたちと、少しでも長く一緒の時間を過ごしていきたいと思っています。

若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします！

私は美容の仕事を長くやってきて、「人生、受け止め方次第」と思うようになりました。例えば今、壁にぶち当たっているという人がいるならば、それを「苦労」と考えるか、「成長のチャンス」と思うかで、モチベーションが全く変わってきます。私はアシスタント時代から忙しさも苦ではなかったし、やればやるほどどんどん美容の仕事が楽しくなっていったのですが、それは自分の受け止め方がポジティブだったからかな、と今になって思うのです。皆さんもポジティブに解釈していけば、美容人生を楽しく歩んでいけるはず。ぜひ前向きに頑張ってくださいね。