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第2章財務知識はサロン経営の根幹
オンラインサロン「NO LIMIT」をともに主宰する、ブレイス 鈴木さん(中央)・ALIVE 西川さんと(左)
25歳で美容メーカーに行きましたが、好奇心みたいなものですかね。今から17~18年前、僕が美容師しているときは50坪くらいの大型サロンが流行ったときなんです。そういうサロンをみていると、「個人店では太刀打ちできないから、自分は独立できないな」と思いました。18歳から7年くらい美容師をやったし、「ここで一度スーツを着る仕事をしてみようかな」と美容メーカーに入りました。
そのとき、全国各地の美容室オーナーとたくさん関わりました。直接お話したり、講習のインストラクターをしたりして。まだ20代半ば過ぎの自分に、いろんな経営の相談をしてくるんですね。当時は今よりもっともっと生意気だったんで、正直「すごいな」と思う人がいなかった。
そうやって外部の美容室をたくさんみてメーカーで5年間働くなかで、「自分の方がうまくできるのでは」と。それを形にしたいと思ったのが、美容室経営をするきっかけでした。
当時は、何も知らなかったです。いま考えると「よく潰れなかったな」というくらい危ない経営をしていました。でもオープンして2年目くらいの2011年に「東日本大震災」があって。結果として、うちは影響がなかったんですが、まわりの美容室は計画停電などで閉店せざるを得ないところも結構あって。そのときに「こういう、思いがけない天災ってあるんだな」と。今回のコロナもそうですけど。
当時スタッフが20人くらいいたんですが、だんだん怖くなってきて。「天災があったとき、自分の知識がないせいで事業がストップしてしまうんだな」と考えさせられました。あのときはまったく財務の知識がなかったから、とにかくお金が増えなかったんですね。いまだに個人事業主であまり勉強していない人は、そう思ってるいるのでは?
僕もお金が増えないのが、不思議で不思議でしょうがなかった。でも500万円くらいの売上があったから、ディーラーさんとかには「すごいですね」「繁盛店ですよ」とほめられる。だけど、お金が増えない。「なんでだろう?」と。財務で、自分が知らないことがあるのかな、と考えるようになりました。
そうですね。勉強のためのセミナーで400万円くらい投資しました。まず、何を勉強すればいいのかが、わからなかった。今は自分たちがやっている「NO LIMIT」のようなオンラインサロンもありますが、当時は美容室のお金について勉強できる場所がなかったんです。SNSも発達していないですし、美容室経営者向けのセミナーもない。なので他業種のセミナーに行ったりして。何を勉強していいのか模索するのに400万円かかった、という感じです。
会社ごとサロンを買収した形です。仲介をいれなかったんですが、財務を勉強したことが、このときに役立ちました。相手である売り手も素人、こっちも素人なので、いくらで買ったらいいかの評価って、普通わからないですよね。でも向こうも納得、こっちも納得するには、話し合いしかない。その落としどころが合ったときに、売買が成立します。でも、こちらに財務知識がなかったら無理です。
僕もそうでしたし、通帳の残高だけで経営判断しているサロンさんも多くいますが、少なくとも毎月の利益は把握しておかないと、サロンが成長できません。よく独立したら「役員報酬1000万円」を目指して・・とかも言われますが、結果としてサロンの経営を圧迫することもあります。それって、「会社の利益」と「個人の利益」が区別できていないんですよね。会社を成長させたいのであれば、まずは会社の成長にこだわっていくべきなんじゃないかと。
基本的には会社って現金がないと潰れてしまうので。サロンさんの中にはお金を借りるということに対して、ハードルを高くしている人が多いですよね。「融資」=「借金」と捉えてしまって、個人事業主であればあるほどネガティブなイメージをもつ傾向が強いかもしれません。「借金は、少ない方がいいでしょ?」って。
でもね、「無借金経営」でも「お金がなくなると倒産する」んです。借入をしていても、「できるだけ支払い額をおさえたい」「なるべく早く返済したい」と考える心理もわかりますが、そうやって無理をして返済して手元に現金を残さないほうが危ないんです。「借金をなくす」ことよりも、「使えるお金を確保し続けること」のほうが大事です。もちろん、短い返済期間で契約せざるを得なかった場合もあるかと思いますが、借り換えを視野に入れて対策するのも大事。僕も毎年借り換えをしています。
借入融資ですね。3月時点では飲食店もやっていたので、他の美容室よりコロナの深刻さを感じとるのが早かったかもしれません。3月半ばすぎから、ひしひしと危機感がありました。
最初に行動したのは、既存金融機関への借入です。「保障協会付き」と「プロパー融資」の2つがあるんですが、担保なしのプロパー融資を2つの銀行から借入しました。僕はこれまでの経験上で、3月は銀行への借入がしやすい時期だと分かっていましたので、このタイミングで2つの銀行から借入しておきました。コロナ関連の融資制度が本格的に始まる前のことです。
コロナの時期で美容室経営者が一番感心をもっていたのは「雇用調整助成金」ですかね。「スタッフを休ませた場合、補償がもらえる」(注:営業自粛などにより、やむを得ずスタッフを休業させた美容室に向けて、休業手当額の一定割合を政府が肩代わりしてくれる制度)というものがあったので。
その時期は、融資制度も助成金も、1週間ごとに情報が変わっていったりして、それがやっかいで。どんどん条件も変わったこともあって、情報交換が活発でしたね。
「GULGUL」をオープンしたばかりの頃の大河内さん
白髪染め専門店「いろ髪」。4月に入社したばかりのスタッフがお客さまを街でハントし、カウンセリング・カラー剤の塗布まで行った。店舗に1年生スタッフだけの日もあり、その成長ぶりに「コロナのなかで、唯一よかったと思えた出来事」と語る
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