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イノベーターが
見ている未来

vol.62

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

株式会社メディロム/Re.Ra.Ku

江口 康二さん (age.47)

リラク301店舗・NASDAQ上場は、序章に過ぎない。
その先の病院&宇宙構想が、いつの日か難病を救う!?

2020年12月、NASDAQ(ナスダック)に日本企業として21年ぶりとなるダイレクト上場を果たした、株式会社メディロム(現在、日本法人としてのNASDAQ上場はメディロムのみ)。「Re.Ra.Ku(リラク)」を中心に、リラクゼーションスタジオを全国に301店舗展開(2021年4月現在)。それがいかに、病院建設・宇宙開発につながっていくのか?「ヘルスケア総合商社」を掲げる、メディロムの構想とは?

1973年生まれ・東京都出身。新卒で自動車流通ベンチャー企業に入社。同社のインターネット事業部長に就任後、独自に開発したビジネスモデル特許「プライスダウン・オークションシステム」で「日経優秀商品・サービス賞」を受賞する。その後、最年少役員の経験を経て独立へ。2000年に株式会社メディロムを設立。一般社団法人日本リラクゼーション業協会の理事としても活躍しており、業界の地位向上へと繋げている。2020年セラピストを題材とした映画「癒しのこころみ」でプロデューサーとしてデビューする。また、同年の12月29日に「NASDAQ Capital Market」にて新規上場を果たす。21年ぶりのダイレクト上場という快挙を成し遂げ、現在日本法人唯一のNASDAQ上場企業となる。

https://medirom.co.jp/

※江口さん 1回目のトップインタビュー(2016年)

https://hba.beauty.hotpepper.jp/check/4875/

第1章日本法人として唯一!NASDAQ上場

「コロナで、挑戦に舵を切った。
そのひとつが、NASDAQ上場」

江口さんには、2016年にも「スタッフ育成」を中心にトップインタビューでお話をうかがいました。あれから社名もリラクからメディロムに変わり、事業もさらに広がりましたね。最初に、現在の事業内容を教えてください。

2003年に1号店を出した「Re.Ra.Ku」をはじめ、リラクゼーションスタジオを301店舗展開しています(2021年4月現在)。2015年からスタジオ事業に加えて、ヘルステックビジネスに参入。ヘルスケアアプリ「Lav(ラブ)」を開発し、特定保健指導や体質改善プログラムを実施しています。2020年にはデバイス事業に参入し、24時間・365日 充電不要の次世代トラッカー「MOTHER」を、シリコンバレーのスタートアップ企業「MATRIX INDUSTRIES」と共同開発しました。

2016年から店舗事業は大きく成長しましたね。特に3社経営統合により、これまで展開をしていなかった地方や温浴への進出を果たす事が出来ました。昨年末には、NASDAQ上場を果たし、年が明けて最初に着手したのは、既存事業であるリラクゼーションスタジオ事業の新プロジェクト発足です。コロナ禍においてもありがたいことに昨年対比を超える月もあるほど、お客さまにご来店いただいています。「Re.Ra.Ku」のコンセプトは”病気になる前に予防をする「健康管理サービス」”です。私たちは、お客さまの免疫力を高めることがコロナ禍における任務だと考えており、感染対策をしっかり行なった上で営業を続けることが、お客さまのためにも重要だと考えています。

新プロジェクトでは、全社を挙げて「来店してくださるお客さまに、より健康になってもらう為にどうしたら良いのか」を繰り返し議論し、新プログラム「健康革命」の開発に踏み切りました。新プログラムでは、「Re.Ra.Ku」 が培ってきたノウハウを結集し、身体の内外から健康を手に入れ、健康増進していくプログラムです。プログラムを通じて、お客さまに自信のあるサービスを提供し、単価向上、リピート率の向上を行い、コロナ禍にあっても、しっかりと増収増益を目指していきます。また引き続き、積極的なM&Aも仕掛けていく予定です。

上場してからも既存事業に主力を置かれて、地に足をつけた経営をされているのですね。しかし新規事業の「MOTHER」は、充電しなくていいというのが驚きでした。

すごいでしょ?(笑)

すでに世には「Apple Watch(アップルウォッチ)」や「Fitbit(フィットビット)」などが出ていて、「MOTHER」は腕時計・リストバンド型のトラッカーとしては最後発です。でも後発だからこそ、既存製品の課題であった「充電がすぐ切れてしまい、睡眠までしっかりトラッキングできない」「データが共有できない」といったような点を解決しようと。

ユーザーの体温を動力源にしているので、24時間・365日止まることなく、活動量・心拍(脈拍)・睡眠の質・消費カロリーなどを測定することが可能です。この「24時間・365日止まることなく」連続的にデータを取ることができる、というのがデータ取得の上で非常に重要な鍵になります。

リリースしてすぐに、世界中の医療機関・介護施設などから問合せがありました。充電式だと、使用者によるトラッカーの取り違えが発生するリスクがありますが、「MOTHER」は1回つければそのままでいい。心拍・体温などがトラッキングできて、データをすべて吸いあげて、管理することができます。朝・夜の体温を自動的に計るので巡回の時間短縮が可能。その人に危険があるとパッシングで知らせることができます。今後、施設内で集中管理することができれば、遠隔で見守りができます。

 

それは、すごい!取りはずさなくていい、というのも“習慣”になりやすいですね。

これまで、さまざまなデバイスでデータが取得されてきましたが、基本は自社に閉じています。でも、「MOTHER」は違う。データをオープンにすることで、確実に人々の健康に役立てることができる。すでに、大学の医学部や大手ジムなどBtoBでの利用だけで数十万台の問い合わせをいただいています。国内のBtoBトラッカー市場でいうと、この数はダントツ。日本でトラッカーを使用しているのは、健康に対して意識が高い一部の層ですが、アメリカではもっと大衆化していて。ですから、出来るだけ早期にアメリカのBtoC市場にも参入していきます。「メイド・イン・ジャパン」で、世界と戦いたいですね。

また直近でいうと、2020年12月の「NASDAQ上場」も大きなニュースでした。

もちろん、以前から準備はしていたものの、コロナもあって…。昨年は一時期、月次売上は史上最低のレベルまで落ち込みました。業績回復の見通しが立たず、制度融資をフルに活用しても、資金がなくなっていきました。セオリーでいくと、資金流出を極限までおさえ、リストラを敢行し、資金防衛に徹底するところかもしれません。でも、僕たちは挑戦することに舵を切りました。「リストラは1人も行わない。雇用を守る」「積極的事業転換」「アメリカ・NASDAQ上場で資金調達」、この3つを決めたんです。

コロナ禍にもかかわらず、スピード感ある実現、すごいですね。NASDAQ上場による変化はありましたか?

今まで出会ったことのないような、ピッカピカの人材の求人応募が国を越えてたくさん来ています(笑)。ただ、どの国からきた人だろうと、成長意欲があり、人間力がある人と一緒に働きたいですね。失敗してもいい、それを許容する文化は守っていきます。人は、経験があるぶんだけ成長する。人の成長が、企業の成長であることは、疑いようのないことです。

  • 2019年から開発した「MOTHER」。取得したデータを、他のアプリにも活用できる

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