まなぶ君
今日は特養(特別養護老人ホーム)に潜入だ!利用料金が安いかわりに、なかなか入所できないっていうイメージがあるけど…実際にはどんなご利用者さまがいるんだろう?
特別養護老人ホームとは?
通称:特養(とくよう)。
社会福祉法人が運営している老人ホーム。
原則として要介護度3以上の高齢者が入居できる。低料金で入所できるところが多く、待機高齢者も多い。
今回お話を伺った人
課長:金田かおりさん
特別養護老人ホーム ラ・ストーリア馬事公苑
定員:58床 ※ショートステイ定員:8床
系列事業所数:15事業所
系列事業所数:15事業所
特養ってシンプルなつくりで、古い施設が多い印象だったんですが…こちらはとってもおしゃれでキレイなつくりですね!
ありがとうございます。2019年5月にオープンしたばかりなんです。理事長の方針として「自分が特養に入るときにはこんな施設がいい、という理想を目指す」というものがありまして、快適さなども重視しています。
たしかに、とっても快適そうです!
こちらの施設の特徴を教えてください。
特養は地域交流スペースを作る義務があるのですが、当施設ではそのスペースとしてカフェを併設いたしました。特養は閉鎖的なイメージをお持ちの方も多いので、「ひらかれた施設」を目指して、地域住民の方々が生活の中で自然に利用できる存在でありたいと思っています。
ご利用者さまについて
ボクの想像のはるか上をいく、おしゃれさです!
ご利用者さまは、どんな方がいらっしゃるんでしょうか?
やはり地域住人の方や、そのご家族の方が多いですね。
58床ありますが、現在満床となっており、男女比は2:8。平均年齢は約89歳で、64歳から105歳の方がいらっしゃいます。
介護度は3~5で、平均4.06となっています。
介護度3以上が基本条件ということですから、やはり平均介護度は高くなりますよね。
具体的にはどんなご様子なのでしょうか?
介護度3~5といっても、個人差もあります。ご自身で歩ける方もいれば、寝たきりの方もいらっしゃいますし、意思疎通ができる方・まったくできない方、認知症が進んで暴力的になられる方やじっと座っていられない方もいらっしゃいます。
ですから訪問美容師さんには、ある程度の介護知識を持っていていただけると安心ですね。
今の訪問美容業者さんは、ほとんどの方が「介護職員初任者研修」の資格を持っていらっしゃるので、助かっています。
訪問美容について
訪問美容はいつから始めたのですか?
施設のオープン当初からです。
訪問美容を入れなければというのは最初からわかっていましたから、オープン前に営業に来てくださった業者さんの中から選びました。
今の訪問美容業者さんを選んだ理由は何ですか?
「やりがいを持っていることや、熱意が感じられたこと」ですね。相手はモノではなくヒトですから、相手の立場になって気持ちをくみ取ることが一番大切なんです。私たち職員としては、カットの技術がすごいということよりも、コミュニケーション能力の高さを求めています。
そうなんですね!ついつい営業の時は、カット技術の高さなどをアピールしたくなっちゃうけれど、施設職員さんが求めているのはコミュニケーション能力だとは…。やっぱり営業の時は、相手のニーズに合わせたアピールが必要なんだなぁ。
訪問美容のゲンバに潜入!
訪問美容の施術は、どこで行っているのですか?
3Fの機能訓練室でやっていただいています。では、ちょっと様子を見てみましょうか。
こ、これは…おしゃれだ!施設の中とは思えない、まるで実際に美容室に来たような雰囲気ですね。
そうですよね。私も初めて見たときは感動しました。髪を切るだけでなく、音楽を流してアロマを焚いて…ここだけちょっと違った空間になっていますよね。
ありがとうございます!そう言っていただけて、嬉しいです。
あ、訪問美容師さんですね!こんにちは。
こちらでは、月にどのくらい施術していらっしゃるんですか?
1回あたり、20名弱から25名前後です。利用頻度は2~3カ月に1回という方が一番多いですが、毎月カットされる方も5~6名ほどいらっしゃいますよ。今のところパーマのご利用はありませんが、カラーは毎回2~3名ほどご利用されています。
営業の時は、やっぱりおしゃれさをアピールしているんですか?
それもありますが、一番はわたしたちがなぜこういったサービスをしているのか、ご利用者さまにどんな風になっていただきたいのか…そういった想いを伝えています。区役所ホームページの開設予定施設一覧でこちらを見つけて、開設準備室に電話をかけたのがスタートでした。
そういう情報収集も、営業の一環なのですね!
ご利用者さまは介護度が高い方が多いそうですが、普段施術する上で気をつけていることはありますか?
意思疎通ができない方も多いので、お部屋にお迎えに伺った際に職員さんにヘアスタイルの希望などを伺うようにしています。認知症の症状によっては暴力的な行為をされる方もいらっしゃるので、ストレスをかけないようにスピード勝負でカットすることが大切ですね。
それでもうまくいかないときは、どうしているのですか?
どうしても難しいときには、ご利用者さまがおやつを食べている間にカットすることもあります。
でも、施術を嫌がられるときには、どうすべきか自分たちでは判断が難しいこともあります。その場合は職員さんに相談するようにしています。午前中ダメだったら午後に再チャレンジするとか、事前に職員さんにご利用者さまの調子がよい時間帯を聞くなどして、そこを狙って施術するとうまくいくことも多いです。
自分たちだけで何とかしようとするのではなく、介護職員さんに相談しながら対応しているのですね。ご利用者さまとも、職員さんとも、コミュニケーションをしっかりとることが大切なんだなぁ…。
訪問美容師に期待すること
今日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました!
最後に、訪問美容師に期待することを教えてください。
そうですね、介護の知識を持つ訪問美容師さんがもっと増えてほしいと思っています。
わたしたちが美容室に行くように、ご利用者さまにとっても美容が当たり前の存在であってほしい。介護度が高くて外出ができなくても、訪問美容を利用することで、おしゃべりを楽しみながらきれいな自分になれたらステキですよね。
今まで当たり前に利用していた美容室を、外出ができなくなっても利用していただきたいですよね。
はい。おしゃれが好きなご利用者さまはたくさんいらっしゃいますから、職員がネイルを塗ってあげたりすることもありますが、やはりプロがやると違う。口紅をつけるだけでも気分が違ってくるので、メイクなどもしていただけたら嬉しいなと思います。
ボクたちが思っている以上に、美容の力って大きいのかもしれませんね…!
今日は本当にありがとうございました!
まとめ
- 特別養護老人ホームは原則要介護度3以上の方が入居可能なので、平均介護度は高めの傾向
- 特別養護老人ホームでの施術では、介護職員初任者研修などの介護資格を持っていると、より安心していただけることも
- 認知症のご利用者さまの施術がうまくできないときは、一人で解決しようとせず、介護職員に相談してみることが大切