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海外のお客様への取り組み

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インバウンド対応

2020年の東京オリンピック開催に向け、外国人旅行者は今後ますます増加が期待されています。インバウンドと呼ばれる外国人旅行者がお客さまとなる可能性を視野に入れ、美容サロンができることを考えましょう。

インバウンドイメージ

第3回 もしも外国人のお客さまが
サロンへ来たら?【ネイルサロン編】

前回の記事で紹介したヘアサロン編に続いて、今回はネイルサロンにおける外国人旅行者の受け入れ態勢について見てみましょう。2つのネイルサロンにお話を伺ったところ、受け入れ時に気を付けたいポイントはヘアサロンと特別に違わない様子。共通する点を振り返りつつ、ネイルサロンだからこそ気を付けたいポイントもご紹介していきます。 ●お話を伺ったのは… 「ネイルクイック成田第1ターミナル店」、「ユニオンネイル ラグジュアリー 麻布十番店

Q

そもそも外国人旅行者は日本のネイルサロンに興味があるの?

A

訪日外国人への調査では、ヘアサロンと同じくらい利用経験があるという結果に。現在、お客さまのおよそ25%が外国人旅行者だというサロンも。

国によっては、日本のネイルサロンに対する需要はヘアサロン以上!?

当連載の第1回目では、日本への旅行経験がある中国・香港・韓国・台湾在住の女性が「日本で利用したことがある美容関連サービス」について紹介しました。同調査によると回答者の女性800名のうち、リラクゼーションサロン利用経験者は約37%、エステティックサロン利用経験者は約26%。そしてヘアサロン、ネイルサロン共に約15%の人が利用したことがあると回答。さらに回答者を中国の女性に限定すると、ネイルサロンを利用した割合は34%に上りました。これはヘアサロン利用経験者よりも若干ながら高い割合です。

外国人旅行者は日本のネイルサロンにも関心があるようです

成田空港内のサロンには、すでに多数の外国人がご来店。

では実際、どれくらいの外国人旅行者がネイルサロンを訪れているのでしょう。成田空港第1ターミナル内にあり、フライト前後に気軽に立ち寄れる「ネイルクイック成田第1ターミナル店」は欧米からの旅行者を中心にした外国人にもよく利用されており、日本人と外国人の比率は3対1くらいだそう。空港ビル内という場所柄もあるでしょうが、これは予想以上の多さ。また、成田空港第2ターミナルにある店舗にも、多くの外国人のお客さまが訪れているそうです。  同サロンでは、外国人向けに特化した集客策を行ってはいないとか。立ち寄りやすい立地環境であれば、特別なことをせずとも海外からのお客さまをある程度は見込むことができそうです。

ホテルと協力してお客さまを呼び込むのも一つの手。

空港内にサロンがあるというのは特殊な事例。外国人に人気の観光地にあるわけでもないし…、というサロンの場合はどういった集客策が考えられるのでしょう。都心の大通りを離れた閑静な一角に位置する「ユニオンネイル ラグジュアリー 麻布十番店」では、各国の大使館が立ち並ぶ立地から大使館職員やその家族が来店するほか、近隣にあるシティホテル経由で欧米・中国など国籍もさまざまな外国人旅行者が来店しているそう。利用例としては、ネイルサロンの利用を希望する外国人宿泊者に対してホテルコンシェルジュがサロンを紹介・代理予約したうえ、お客さまがサロンへ、という流れ。優雅で落ち着いた雰囲気の同サロンと、ホテルのコンセプトやターゲット層が近いこと、そして双方が徒歩移動できる距離にあることから、協力関係を築くに至ったとのことです。  やみくもに呼び込みをかけても効果のほどは未知数ですし、ターゲットにしている層とは異なるお客さまが来店してもお店の雰囲気が壊れてしまう心配も…。そう考えると、自店舗とコンセプトが合致する施設に協力を呼びかけるのは参考にしたい手段でしょう。

Q

外国人のお客さまを迎え入れるには、語学力が不可欠でしょうか…?

A

事前に英語表記のメニュー表を用意すれば、ある程度の英会話力でOK!デザイン例がわかる写真やサンプルも役立ちます。

普段使用しているメニュー表の翻訳版が大活躍!

「ユニオンネイル ラグジュアリー 麻布十番店」では外国人のお客さまを迎える際、英語によるコミュニケーション可能なスタッフを中心に対応しているそう。とはいえ、すべて口頭でやり取りするわけではなく、内容と料金を記載した英語表記のメニュー表をもとに施術コースを説明して決めています。視認できるためわかりやすく誤解の防止にもなるため、お客さま・店舗の双方にとっていいことずくめ。前回の「ヘアサロン編」でも同じ対策が取られていましたし、外国語メニューの準備はぜひしたいものです。  さらに同サロンではアートを取り入れたデザインを希望された場合、「詳細は英語を介したやりとりで確認しますが、要望をくみ取れているか心配になることも。そんなときは画像をお見せしたり、デザインを描いたりして確認しています」とのこと。こういった対応をすると、くい違いが生まれずに済むでしょう。

ガチガチに対策を練らずとも、意外と楽な気持ちでお迎えは可能。

外国人を迎え入れるとなると、「すらすら話せるほどの英語力ではないし、語学などのスタッフ教育も負担が大きいし…」といった心配も浮かんできます。けれどサロンに話を聞いてみると、実際はそう身構える必要はないようです。「ネイルクイック成田第1ターミナル店」では、本社で簡単なサロン英語研修を実施しているくらいで、あとは英語表記のメニュー表を用意して対応しているとのこと。それでも月間平均で150人ほどの海外からのお客さまを、問題なく迎え入れることができているとか。気を付けている点としては、「料金を日本円で言われても海外の方にはわかりにくいでしょうから、メニュー表をお見せしつつ合計金額を電卓で表示。あとは所要時間を最初にお伝えして、それから施術に入るようにしています」とのこと。電卓があると母国のお金に換算しやすく、外国人のお客さまにとっても安心できそうです。

「ネイルクイック成田第1ターミナル店」でも英語メニューを準備して活用している

Q

外国人のお客さまに人気のデザインは?施術後の反応は?

A

ジェルよりもポリッシュが主流で、シンプル系のデザインがお好み。そしてアートもケアも、とにかく「丁寧」だと喜ばれています。

特別なことではなく、細やかなおもてなしが好評。

2つのサロンによると、海外のお客さまはシンプルなネイルを好む方が多い様子。「ユニオンネイル ラグジュアリー 麻布十番店」では8~9割の方がジェルネイルではなくポリッシュを希望され、凝ったデザインの注文は少ないそう。シンプルなものでも技術や接客の細やかさが喜ばれていて、アートを施した場合はその完成度の高さにも驚かれるとか。  「ネイルクイック成田第1ターミナル店」も、大半はシンプル系をご希望。桜やキャラクターなど日本らしいアートを注文する方は少数で、アートを選ぶ場合も「夏だったらシェルやヒトデのスタッズを付けるなど、『日本で流行しているから自分もそれがしたい』という人が多い」とか。お客さまの反応としては、こちらでもケアや施術の丁寧さが喜ばれ、トリートメントメニューがある点も好評だそうです。  こうして実際の傾向を伺うと「日本らしくしよう!」と気張って特別なコースを用意しなくても、普段通りにおもてなしをすることで、十分に日本のサロンのよさは伝わっているようです。

「ネイルクイック成田第1ターミナル店」の海外のお客さまへの施術例(左)。右のような丸フレンチも比較的に好まれており、以前に比べると「自分へのお土産にアートやジェルをしたい」というお客さまも少しずつ増えている印象だそう

対策を練るために予習!「外国人のお客さまで困ったこと」。

日本人は一般に「几帳面、マジメ」と評されることが多いでしょう。そうした日本基準で考えるとあまり起こらないようなトラブルも、海外のお客さま相手だと発生することも…。そこで最後に、「外国人のお客さまで困ったこと」をご紹介。前回と今回、お話を伺ったヘアサロン&ネイルサロンであった事例をまとめました。事前に知っておけば、自店舗で受け入れる際の対策も取りやすいので、参考にさせてもらいましょう。

    • 予約時間に大幅に遅れる ⇒対策例:連絡なく10分以上遅れた場合はキャンセル扱いにすると事前に伝える
    • もの珍しいのか、お連れの方が店内をうろうろする ⇒対策例:ウェイティングスペースへご案内する
    • 料金を値切る方がいる ⇒対策例:最初に料金を具体的に提示して納得していただいたうえで施術に入る

インバウンド熱は、関西がアツいらしい!?次回は関西のインバウンド事情を探ります。

Salon Data

ネイルクイック成田第1ターミナル店

アクセス
JR成田空港駅に直結
URL
http://www.nailquick.co.jp/salon/narita1.html

Salon Data

ユニオンネイル ラグジュアリー 麻布十番店

アクセス
都営大江戸線・東京メトロ南北線麻布十番駅から徒歩4分
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