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クラフトビールを通して世界中に幸せを夢はよなよなエールでノーベル平和賞!
千葉
ホットペッパービューティーアカデミーの読者は、美容サロンの方々です。美容サロンでは朝礼を行うところも多いですが、ヤッホーブルーイングでも朝礼があるとか?
井手
基本的に仕事の話はしない「雑談朝礼」を、10年以上続けています。毎日20分雑談+10分掃除の時間も雑談なので、計30分です。
始めた頃は、「無駄だからやめてください」「一週間に一度でいいのでは?」といった意見も…。でも一人ひとりに、その意義を丁寧に説明しました。コミュニケーションをとらないと、人間関係はうまくいかないと思うんです。たとえばメンバー同士の会話で、本人が意図しなくても、ちょっとキツイ言い方になったとします。でもそれって、たまたま朝、その人が子どもとケンカしたことが原因だったのかもしれない。相手の機嫌が少し悪かったように見えたとしても、その情報がインプットされていれば、それを差し引いて、相手の気持ちを考えられるのでは。8時間労働のなかの「30分」は貴重な時間ですが、それをする価値はあります。
コロナ禍でリモート勤務になっているスタッフは、オンラインで続けています。リアルと違い、話す人が固定されてしまいがちなので、雑談朝礼時だけ部署のメンバーをシャッフルするなど工夫しています。
千葉
また美容業界の課題として、離職の多さ、厳しい労働環境という2つが言われています。過去のヤッホーブルーイングでも、同様の悩みがあったと思いますが?
井手
離職も労働環境も、業界の「構造的な問題」で、それをすぐに解決するのは難しいかもしれません。でも、それを克服できるくらいの「別の魅力」…たとえば、いいチームで人間関係のストレスがない、とか。「そのサロンならではの価値」をつくることは、できると思います。
我々も、大手に比べると給料や休みが多いとは言えません。でも業績がよくなれば、給料もあがっていく。休みも、毎年2~3日ずつ増やしてきたので、2018年から2021年の間に、計7日間は増えています。
千葉
とても参考になりました。最後に、今後の夢をお聞かせください。
井手
ヤッホーブルーイングのミッションは、『ビールに味を!人生に幸せを!』…クラフトビールを通してファンの方々に幸せを届けたい、という想いが根底にあります。その経営理念を、ただの飾り文句ではなく、繰り返しきちんと浸透させてきたからこそ、いまスタッフが自走してくれる状態にまでなっているのだと思います。さらには、ファンとのコミュニケーションが定期的にあることで、“働きがい”が、陳腐化しない。
将来的には、よなよなエールで「ノーベル平和賞」を獲りたいですね!イベントでファンのみなさんの楽しそうな姿を見た時に「これがもっともっと広がったら、きっと世界は平和になる」と。少なくとも、よなよなエールを飲んでいる間は、幸せな時間をつくりだすことができる。本気でそう思うのです。
それが…!取材前にヤッホーブルーイング関連の著書やセミナーを拝見しているうちに、まず、この「会社」と「人」が大好きになり。
失礼ながら「勉強のため」という気持ちで購入した、ヤッホーブルーイングのクラフトビールの世界に魅せられ。ついぞ、友人にすすめている自分がいます。これがファンということか…、と。
ヤッホーブルーイングは、購入金額の上位11%のファンが、売上の65%を支えているそう。ファンのみなさんが、いかに製品を継続的に購入しているか。
それはいわば、「深い愛情の数値」であると、言いかえることもできるでしょう。