第2章美容業界の「教育」課題
「1週間限定の動画に
“1万円”を出す価値が伝わった」
「HAIRCAMP」をスタートした2016年当時は、オンラインセミナーはまだ浸透していなかったのでは?
そうですね。美容業界のセミナーは、東京や大阪開催が多かったので、地方の人が参加する場合、受講料・交通費・宿泊費と、かなりの出費に。また、自分が所属しているサロンの先輩から教えてもらうと、その人によって習得できるレベルが異なり、格差が生まれますよね?
美容業界の「技術」はクローズドな世界でしたが、それらの問題をクリアにしてくれるのがオンラインです。そのプラットフォームに、需要があると考えました。
今では、会員数5万人とユーザーが増えただけではなく、美容師さんたちが「講師として出演したい」と、憧れの存在になっています。
ありがたいですね。講師をしていただく観点で大事にしているのは「美容師に向けた発信を意識しているか」ということ。その方のSNSを深掘りし、フィード投稿やストーリーをくまなくチェック。また健全なフォロワーを獲得しているか、そういった細かいところまで確認したうえでオファーします。もちろん、技術にどういったこだわりがあって、何を得意としているのか。そして教育者として歩む気がある、というのも大前提です。
「HAIRCAMP」には、無料コンテンツと有料コンテンツがあります。有料の場合、動画によって金額は違うものの、決して安くはないですよね?
サービス開始時は「動画に1万円を出すのはあり得ない」と言われました。世の中に、まだ存在しなかったので。でも今は、「1万円を出す価値」が伝わったように思います。
当初は、「たくさんのユーザーに観て欲しいので、金額を上げすぎない」と考えていましたが、やっていくうちに「金額は関係ないな」と。ユーザーもわかっているので、ただ安いだけでは「そこに価値があるのか?」とアクションにつながらない。むしろ、しっかりした金額のほうが「エンゲージメント(深い関係性)」が高い場合もあります。それだけ価値あるものを提供できているということなので、そこは間違いなく、講師のみなさんのおかげです。
金額は関係ない、というのは興味深いですね。ちなみに「人気コンテンツ」の傾向は?
基本的には「明日使える」「明日活かせる」内容のものです。動画は課金していただいて、視聴期間も1週間など短いので「1週間できっちり習得できるもの」になるのだと思います。カット・カラーはもちろん、昨年からパーマや縮毛矯正もバーッと広がりました。経営やカウンセリング・店販のコンテンツも、非常に盛り上がっていますね。
なるほど。視聴が「1週間限定」なのは、なぜですか?
やっていくなかで、「いつまでも観られるものは、価値が下がる」と思ったからです。やはり録画したものより、ライブコンテンツのほうが盛り上がりますし。
YouTubeの機能に「後で見る」って、ありますよね。でも、後で観ようと思っても、ほとんど観ないで終わります(笑)。ライブで期間が一定決まっていて、たとえライブ当日は予定が合わないとしても、「その1週間で絶対観よう」となるから、“学びレベル”が変わってくるんです。
ユーザーから一番多くいただく要望は「視聴期間を延ばしてください」というものです。でも、そういった理由があるので、そこはごめんなさい!