第3章美容師の生涯賃金を上げるために
「僕ら世代で、古い慣習が残る
美容業界をゲームチェンジする」
今後の店舗展開は?
今後は、全国主要都市に出していきます。初心を忘れず、原宿で生み出した根幹をぶらさずに、エリア・時流で肉付けしていく。地方では、メンズパーマはまだまだブルーオーシャンですが、3年後にはマスになる。今後はユニセックスサロンで、集客できる方向を目指します。
エリアでいうと、福岡が熱いですね。「天神ビッグバン(※九州を代表する繁華街・福岡市の天神エリアにおける大規模な再開発計画)」があるので。
都心だと、今後は原宿を控えて、渋谷にずらしていきます。都市開発が進むエリアで、人口増加とか経済の流れにのって、ドミナントで5店舗やろうかと。FC展開も考えています。
また、メンズのアイブロウ専門店も年明け(2023年)、渋谷・表参道・原宿のいずれかに出店予定です。
さらには「HOT PEPPER Beautyの攻略テク!(2022年7月)」のマーケティングセミナーにて一緒に登壇したfifth×LUVISMが、メンズ領域で事業提携することも決まりました。来年の春、新潟に出店予定です。今後、HOT PEPPER Beautyでの集客が、全国的にも加速していくのでは?
現在の年商は12億円、これをあと2年で30億円にもっていきたい。fifthグループが培ったスキームを汎用して、美容室以外にもチャレンジし、サービス業の展開でグループ全体の雇用を増やしていきたいと考えています。アイブロウ事業はその第一歩です。
いつも「スタッフのため」「美容師のため」というのが、あるんですね。
人のためにやったほうがおもしろいし、ひとりより仲間とやったほうが楽しい。他のサロンとコラボしたり、コンサルもしていますが、僕は利他的な経営者としか、つるまないと決めています。特に、僕と同じ1988年・1989年世代は、利他的な経営者が多い。僕ら世代で、古い慣習が残る美容業界をゲームチェンジしないと。
利己的な経営者は、利他的にシフトしないといけないと思います。圧倒的なカリスマも、それはそれで絶対必要です。僕は地味だけど、利他的な人たちと一緒に、美容業界を変えていきたい。それがミッション。そのためには、どんどん尖って吠える、と決めています。
これから美容業界に入る人たちが、みんな、“最初から”幸せでないと。だから僕は、経営も集客も技術も、全部公開するんです。働く人たちが幸せになれば、エンドユーザーであるお客さまも幸せになれます。
今後、どんな美容業界にしたいですか?
ぶれないのは、美容師の生涯賃金を上げること。“お金”は、人を豊かにする手段になります。僕は、スタッフをプライベートから幸せにすることはできません。休日に親御さんに挨拶したり、時間を費やしたり、っていうのは物理的に難しい。でも、スタッフの挙動はSNSで、めっちゃ見てます!親御さんに親孝行している姿を見ると、「よかったなぁ」って、思いますね。
時間は有限で、明日はどうなっているかわからない。もし5年で体現できることがあるとしたら、逆に考えると、“その前”に出会った人たちを豊かにできない、ということでもある。なので、少しでも速くやらないと。
10年で年商30億円なら誰でもできるし、できないなら経営者をやめたほうがいい。いまは何をやっても勝ててしまうので、もっとスピード感を持って、もっとヒリヒリしたいですね。
ロジカルさに脱帽したが、その頃の印象は“物腰やわらかな好青年”。それが4年後に会うと、まったくの別人に(笑)。ご本人いわく「当時は、取材の人に気に入られようと演じていた」とのこと。
いまの木村さんは、強気だ。生意気だと受け取る人もいるだろう。
しかし、やり取りをすると、いつも礼儀正しく、気遣いがある。
どれが本当の彼なのか?
木村さんは、スタッフによくこう言う。『言動の不一致はやめろ』
その言葉は、自身にも向けているのだろう。言ったからには、やる。
尖った発言は、掲げた未来に速く到達するため…計算のうちかもしれない。
ただ、これだけは言える。美容業界を変えるという気概と、利他的精神。
木村さんのその想いに、偽りは一切ない。