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第2章美容と福祉の関係性

「日常を目指しても、
その日常にすら、手が届かない人がいる」

2023年4月、福井県鯖江市にオープンした障がい児向け施設

福祉事業が、いまや3億円規模になったとのこと。始めたきっかけは、何でしたか?

「アトリエはるかはヘアメイク専門店でやってきたけれど、それだけでいいのだろうか?」と、2017年頃から考えていました。うちの強みは、「採用・教育・シフトを組む」という部分。それらを必要としている業界はどこだろう…と考えたとき、選択肢のひとつとしてあがったのが、福祉です。市場などを入念に調べたうえで、2019年に福祉サービス事業「ハルカデイズ」をスタートしました。

逆に「アトリエはるか」の課題は、40代・50代以降のキャリアパスが描きづらい、という点。福祉関連であれば、50代・60代になっても働くことが可能です。

施設は、おもに「女性専用の障がい者向けグループホーム」とのことですが?

僕らの強みは、「アトリエはるか」で培った“女性支援”の取り組みです。グループホームの歴史は30年くらいですが、女性に特化した施設がなかったんです。それは、障がいを持っている方の男女比が、男性約7割・女性約3割と、男性比率が多いことが理由でした。

当初は「女性専用ってどういうこと?」と、業界がざわつきました(笑)。でも、おしゃれでかわいい内装、働くスタッフも全員女性で丁寧なサービスといった面が、利用者さんに大変喜ばれています。求人応募も、たくさんありますね。

人手不足の福祉業界で、それはすごいですね。

現在、6事業所・26カ所の拠点で、約100名の夜間対応を伴う「生活支援」をしています。障がいを持つ方の約9割が、障がいの症状が“軽度”のカテゴリーに入り、お風呂の準備や食事の提供、金銭管理といった少しの補助があれば、ひとり暮らしができるんです。

先ほど、美容サロンのナレッジを活かしている点として「採用・教育・シフトを組む」があるとのこと。それ以外に、美容事業をしていたからこそ感じた気づきはありますか?

“日常を目指しても、その日常にすら手が届かない人がいる”ということです。それが、福祉の領域。

「アトリエはるか」の従業員が、グループホームにネイルやヘアメイクのボランティアに行くと、利用者さんがものすごく喜んでくれるんです。「美容は、自分には一生無縁だと思っていた」「マンガの世界でしか見たことがなかった」と、感激で泣いてしまう方も…。

あと、びっくりするくらい「精神障がい」の症状が改善された方もいました。「このネイルアートをほかの人に見せたいから、今日は日中の作業に行ってみようかな」と、誰かに会いたくなったり、そこからコミュニケーションが生まれたりする。

そんな利用者さんの姿を見て、技術者たちも「この仕事を選んで、本当によかった」と実感するようです。美容って、重厚長大な産業からすると、“必需ではない”と軽く見られることも…。でも、「美容には、人の行動を変える力がある」。あらためて、そう感じました。

それは本当に、同感です。
直近では、2023年4月、鯖江市に「障がい児向け施設」をオープンしたことも話題になりましたね。

以前から親交があった、高島 郁夫さん(株式会社Francfranc創業者)とのご縁です。敬愛する高島さんの故郷である、福井県鯖江市の地元貢献事業をお手伝いしたいと、2年前から準備を進めてきました。

眼鏡の生産で有名な鯖江市は、共働き率が70%超と日本で一番多い。しかしながら、それを支える福祉が圧倒的に不足していました。鯖江市・福祉課の熱心な誘致もあり、高島さんが私財を投じて建てた「鯖江市ちいき支援施設 スターガーデン」に、テナントとして入ることに。

それが、放課後などのデイサービス「まなびクラブ」と、ショートステイの「じぶんハウス」。障がい児とその親御さん、特にワーキングママへの支援を目的とした事業所です。

利用者さんの契約も続々と決まり、保育士さんからも「ここで働きたい」と他県から応募が来るほど反響があります。

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