-
第1章
すべてを失った20代。そこから見えた「真の幸せ」とは?
-
第2章
「許すこと」が自発性を育て、次のチャレンジを生む
-
第3章
弱い人間こそ上に。それが強い組織をつくる
-
第4章
これから勝ち残るのは、「個の力」を活かせる企業
第3章弱い人間こそ上に。それが強い組織をつくる
「入社半年の社員が、管理職になったこともあります。
それがリラクを支える“モンゴル式経営”です。」
「リラク」では、新人を店長や課長など管理職に抜擢しています。これはどういった考えによるものでしょうか。
史上最大の国家を築いたとされるモンゴル帝国では、一家のリーダーには末っ子を据えて、長男がリーダーを支える役割をしていました。戦闘部隊も同様に、最も弱い者を隊長にしていたといいます。強い者が上に立って自分基準で物事を進めると、部下にとってはきつい状況になる。反対に弱いリーダーは弱者の気持ちに寄り添うことができ、部下となった強者はあり余った力で与えられた物事以上のことを自発的にやることができます。その結果としてモンゴルの繁栄があるのだから、見習う価値はあるでしょう。
このモンゴルの風習を経営に応用したのが、まだ未熟な若手を管理職に登用するというもの。入社半年の社員が、管理職になったこともあります。僕はこれを「モンゴル式経営」と呼んでいます。この方式で管理職になった若手は多様な経験を積むことができ、大きく成長するんです。
たとえ若いリーダーがミスをしても、部下である熟練の社員はフォローするだけの余裕がある。先ほどうかがった、クレドや「許す」精神がここでも活きてくるのですね。でも、ベテランになって若手の部下になることに、不満の声は出ませんか?
「役職」とは別に、実力に応じた「等級」というものを導入していて、給与などは等級を基準にしています。なので部下になったといっても、実際にはベテラン社員の給与は上がるわけです。それに、このモンゴル式経営はベテラン社員にも喜ばれていますよ。「未熟だった若手の頃にやり残したこと、いまならもっと上手にやれるのに・・・」なんて考えることありませんか?それが実現できるんです。タイムマシンで過去へ戻ったみたいに、これまで得た経験やスキルは保持したまま、店舗のいちスタッフとしてやり直せる。昔の自分の失敗経験を活かして、若手を支えることもできます。
女性管理職が多いのも特徴的ですね。目標値は5割で、現在すでに管理職の4割強が女性だとか。政策としても女性の管理職登用を推進する動きはありますが、そうした流れに沿ったものですか。
単純に「男性と女性の両方が支えたほうが組織は強くなる」という考えからです。一般的に、男性は上昇志向が強くタテのつながりを重視します。女性は仲間と協調すること、つまりヨコのつながりを大事にする傾向がある。このタテとヨコが織り重なることで、組織にしなやかな柔軟性が生まれ、やぶれにくいものになるんです。