Special Interview
美容業界が描く「女性活躍」のカタチ
株式会社
ソシエ・ワールド
代表取締役社長 村田尋一さん
エステティックサロン・ヘアサロン・ネイルサロン・ヘッドスパ・スポーツクラブなどを展開。創業55周年を迎え、「トータルビューティ」を手掛ける企業として、海外進出も積極的に進めている「ソシエ・ワールド」。約1700名のスタッフのうち、約85%が女性という環境の中、長年にわたり、女性が働き続けるための仕組みづくりを行ってきました。会社の成長と切っても切り離せない女性の活躍。代表取締役社長・村田尋一さんに、その歩みや取り組み、目指す未来について伺いました。
代表取締役社長・村田尋一(むらたひろいち)さん。1964年北海道生まれ。1983年新卒として入社。ヘアートップスタイリストとして活躍後、店長、本社教育部を経て、ヘアー事業部長、取締役営業本部長を務め、2015年6月に代表取締役社長就任。ヘアー事業部、エステティック事業部、スポーツ事業部を束ねる営業本部長を現在も兼任する。ヘアーサロン・エステティックサロン・ネイルサロン及びスポーツクラブ等のサービスを提供するなかで、2015年12月にアイビューティ事業(美眉と美まつ毛)を加え、更なるトータルビューティのラインアップ充実を図る。美容業界におけるリーディングカンパニー、またトータルビューティを提供するオンリーワン企業として更なる躍進を果たしている。
女性活躍支援の取り組み
- 子育てサポート企業として「くるみんマーク」を取得
- 産休・育休制度の定着(常時、50名前後が利用)
- 正社員の「育短」制度(現在、約60名が利用)
- スタッフのモチベーションを上げる給与制度
- 豊富なキャリアパスの提示
- 退職スタッフの再雇用制度
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子育てサポート企業として「くるみんマーク」を取得
2013年に厚生労働大臣が「子育てサポート企業」を認定する「くるみんマーク」を取得。男性スタッフ2名が育休を取得するなど、女性だけでなく男性も子育てがしやすい環境づくりに積極的に取り組んでいる。
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正社員の「育短」制度
ママスタッフである正社員が、フルタイム社員よりも短い6時間以上の勤務で働ける制度。子供の小学校就学までは、保育園のお迎えの時間などに合わせて設定できる。「ソシエ そごう大宮店」(右写真)ではフロントやエステティシャンとしてママスタッフが活躍中。会社全体でも常時、60名ほどのスタッフが育短制度を利用している。
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豊富なキャリアパスの提示
スタッフに長く働いてもらうためには「やりがい」が必要と考え、「スペシャリスト」「トレーナー」「マネジメント」の3つのキャリアパスを用意。段階的に研修を行っている。エステやヘアなど、事業間でのキャリアチェンジも可能。結婚や出産など、ライフステージの変化にも対応できる幅広い選択肢をつくることで、一生を通じたキャリアアップを支援している。
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Q
エステ事業を中心に、女性スタッフが多い職場ですが、
長い歴史の中でどのように取り組まれてきたのでしょうか。 -
A
スタッフが結婚、出産で辞めてしまうのは、創業時から変わらぬ課題。
55年かけて仕組みづくりとキャリアアップの選択肢を広げてきました。
業界の高い離職率を改善するために、豊富なキャリアパスを提示。
技術やスキルのあるスタッフは会社にとって財産。本人にとっても、せっかく身に付けたものを、結婚や出産で手放してしまうのはもったいないですよね。ソシエは女性が多い職場なので、スタッフに長く、やりがいを持って働いてもらうために幅広いキャリアアップの選択肢を作ってきました。
エステ事業では店長以外に、スタッフを教育するトレーナーや本部スタッフへの道もありますし、現場で技術者としてスペシャリストを目指すこともできます。ヘアやネイル事業も展開しているので、キャリアチェンジをすることも可能。昨年末にはM&Aを行い、眉毛・まつ毛エクステ事業を新たに加えました。まつ毛エクステは美容師免許が必要なので、ヘアに携わるスタッフにとってもいいキャリアになります。スタッフの選択肢を増やすことにもつながると同時に、会社の事業の幅も広がっています。
「ベテラン」が高いモチベーションで、キャリアを磨ける仕組みに。
女性スタッフが働き続けていれば、育休や時短勤務をするスタッフが増えてくるのは当然のこと。年々、採用が厳しくなる今、そういうベテランスタッフがやりがいを持って戻ってきてくれることも重要だと考えています。やりがいとはつまり、成長できることと、稼げること。スタッフが「プロとして技術や能力を磨くこと」をおろそかにしないためにも、パートでも社員と同じように歩合をもらえるようにするなど、実力に合わせた給与設定をしています。
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Q
女性が働きやすい職場をつくることは、会社にとってどのようなメリットがありましたか?
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A
一番はお客さまの満足度の向上。スタッフのモチベーションも高まり、
台湾ではワーキングマザーが会社の成長を支えてくれています。
エステは「年齢を重ねること」が価値を生む仕事です。
お客さまにとって、ずっと担当してくれているベテランスタッフがいるというのは安心できるもの。「ゴッド・ハンド(神の手)」という言葉もありますが、熟練の技に魅せられる人が多く、ソシエのエステサロンにも53歳の優秀なエステティシャンがいます。彼女は子育てをしながら働き続け、今もトップクラスの指名数を誇っています。
ほかにも、65歳で定年を迎えたカウンセラーの方や、ヘア事業にも定年を迎えた方がいます。このように、年齢を重ねてもサロンに居続けてくれることは、そのままお客さまの満足につながり、会社に利益を生み出しています。
台湾ではワーキングマザーが最大の戦力に。
ソシエは台湾にも進出していますが、日本より台湾の方がワーキングマザーの活躍は目覚ましいものがあります。キャリアアップの仕組みなどはほぼ一緒ですが、20店舗あるエステサロンのうち、店長の約9割が子供のいる女性です。両親が近くにいる方が多く、子供を預けられる環境であることも大きいですが、彼女たちの売上への貢献は非常に大きく、重要な戦力になっています。
日本ではまだワーキングマザーの店長はいないのですが、第1号が生まれるように制度をブラッシュアップしていきたいと思っています。幹部スタッフには出産後に復帰したマネージャーや部長がいるので、イキイキと働き続けるロールモデルが増えることで、女性たちがより働きやすくなると思っています。
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Q
今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
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A
すべてのスタッフが成長できる仕組みづくりと、
スタッフにとって魅力のある会社づくり。
フロント、カウンセラースタッフのキャリアアップを支援。
これから取り組んでいこうと思っているのは、フロントやカウンセラーなどのスタッフのキャリアアップです。彼女たちは接客をはじめ、予約を調整したり、お店を管理する店長に近い仕事。これからの会社を担う幹部候補スタッフでもあるので、技術者と同じように目標設定や給与制度を整えていきたいと思います。
求められるのは、年齢層の高いお客さまにも対応できる人材。「ベテラン」が活きる仕事なので、より良い仕事をしてもらうために勉強会などを開いて、キャリアアップを支援していきたいと思います。
「働きたい」と思われる、魅力のある会社に。
今後もスタッフの結婚、出産は増えていくので、スタッフが働きながらキャリアを磨ける仕組みづくりを改善し続けていきたいと思っています。そのためには、会社に「元気がある」ということも重要。眉毛・まつ毛エクステ事業への参入もそうですが、昨年は国内に8店舗をオープン。事業を拡大、成長させることで、より多くのスタッフにキャリアアップのチャンスを与えることができます。会社の成長を支えるのはスタッフ。「もっと私たちもがんばって貢献したい」と思ってもらえるように、経営者として「スタッフが誇れるような会社にする」ということを常に頭に置き、大事にしています。
「愛情を持って厳しく」育てられたスタッフと共に成長していく、日本発の「トータルビューティ」企業。これからの展開がますます楽しみになりました。
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