第2章年収1,000万円を叶える教育
「教育することが好きだから、
まったく苦にならない」
先ほど、メニューや価格帯などのコンセプト変更をしたとのお話しでしたが、スタッフの方の反応は?
猛反発もありました。「いままでのお客さまは、いらないということですか?」と。でも、このままではスタッフの待遇を変えることはできない。いまはわからなくても、いずれわかってもらえると確信していたので、「大丈夫。何かあったら、ぜんぶ僕のせいにしていい。僕がすぐにお客さまに説明しにいく」と伝えて…。結果、それによる失客は、ほとんどなかったですね。
スタッフが丁寧に、「なぜ変えたか」「どうしてこれが必要なのか」を、お客さまに説明してくれたおかげだと思います。
それまでは、スタッフの待遇面に課題を持っていたのでしょうか?
スタッフの給与を、もっと上げたいと思っていました。現在は、年収1,000万円を超えるスタッフが、複数名います。
すごいですね。それだけの給与を目指せるとなれば、求人応募も多いのでは?
いえいえ、求人希望がきたら「断る」っていう選択肢はない(笑)。そのくらい厳しいです。バイタリティのある人は、東京・大阪に出ていく。だから、最初からすごく優秀という人は少ないかもしれません。でも、どんな人が入ったとしても「教育すれば大丈夫」、という考えです。
僕は、教育することが好きで、まったく苦にならないんです。以前のサロンにいたときも、全店舗の教育担当で、お正月だろうが求められれば教えてあげたいと思っていました。
「教育がまったく苦にならない」というのは、素晴らしいです。
単価が上がると、同時に高いレベルでの接客が求められると思います。そのあたりは?
毎朝、店舗ごとにロープレ(ロールプレイング/実際の接客場面を想定した練習)をしています。ペアになって20分くらい、カウンセリングの練習など。日本人って恥ずかしがり屋ですよね。でも、言ったことのないセリフを、お客さまを前にした本番で、言えるわけがないんです。
僕も、本当は技術寄りの人間ですが、技術は後からでもできる。それより、コミュニケーション・接客力が大事。スタイリストデビューの際も、まず会社やメニュー・商品理解をしているかの筆記テストがあり、次にカウンセリングテスト、最後にモデルを使ったカットテストの3段階にしています。
売上アップに関して、スタッフの方にはどう伝えていますか?
月1回の頻度で、丸一日「幹部会議」をしていますが、売上の話しは一切しません。「こういったカラーが、なぜ必要なのか」「どう言ったら、お客さまに伝わるか」…そんなことばかりですね。
スタッフに、「なぜ、売上が伸びなかったか」と言ったところで、何のプラスにもならないのでは?何が大事か、どう行動しているか。それさえおさえていれば、自然と数字はついてきます。
福田さん自身も、売上で結果を出されていたタイプですか?
そうですね。教育って、自分ができることしか、熱を持って伝えられない。「なんで数字を上げられるの?」と聞かれたときに、自分自身のことも、ほかのスタイリストのことも研究しました。
「売れている人は、セット面からバックルームに行くときも、お客さまに一声かけているな」とか。だから、スタッフにもサロンワークの導線で「ちゃんと寄り道しよう」と言っています。カラーの待ち時間は、ただ放置するのではなく「ナンパしよう」とか。これは、話しかけるという意味です。
結果を出している人の行動・心理を言語化し、さらにキャッチーな言葉にすると、理解しやすい。そういった独自の用語が、13ほどあります。