イノベーターが
見ている未来
vol.103
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
Ray Beam/ Loves Laughs
代表取締役 福田 雅雄さん (age.42)
「Loves Laughs(ラブズラフス)」をはじめ、北九州でトータルビューティーサロンを7店舗展開(うちネイル併設4、アイ併設3)。2019年の創業から、わずか5年で客単価&生産性を2倍に!くわえて、年収1,000万円超のスタッフを複数有するほどに。郊外エリアならではの、その戦略に迫る。
https://loveslaughs.jp/
第1章生産性アップの取り組み
「来店周期を“延ばす”ことが
顧客数&売上アップにつながる」
福田さんは、北九州にトータルビューティーサロンを7店舗展開されています。北九州というエリアの特徴を、どのように捉えていますか?
北九州市は、日本の全市町村のなかで最も人口減少、つまり高齢化が進んでいるエリアなんです。うちのサロンは、いわゆる郊外にあるので、メニュー開発や提案も、そこに住む方の心理状況を考えています。
東京に住んでいたら、電車や街で「あの人のヘアスタイル素敵。それに比べて、私の髪はボリュームもツヤもないな」と、比較対象が多いですよね。でも郊外だと、家から車で直接サロンに行く方が多いため、比較対象が少ないように思います。
なので、お客さまの「悩みを聞く」のではなく、「悩みに気づかせてあげる」ことを大事にしています。
なるほど。お客さま単価が、創業時に比べて、かなり上がったとのことですが?
2019年の立ち上げ当初は、カット1,900円、リタッチ2,900円と、低価格帯のサロンでした。経営的にピンチになったことはないのですが、予約をパンパンに入れていたので常に忙しく、そんな状態でリピートしてもらうのは難易度が高かったですね。
スタッフには、「お客さま一人ひとりと向き合える、“真の美容師”になってほしい」。そこで、価格帯を含め、サロンの方向性をシフトチェンジしていきました。
具体的には、どのようなことに取り組みましたか?
まずメニューですが、HOT PEPPER Beautyの新規向けクーポンに、ミルボンの「Aujua(オージュア/パーソナルヘアケア)」を必ず入れて、髪がきれいになる体感をしてもらうように。髪のベースがきれいになると、お客さまの美意識ってどんどん上がるんです。
あとは、白髪染めのリタッチをなくして「フルカラーのセットメニュー」にしました。リタッチで白髪染めをされる方は、サロンに行くことを「義務」のように感じているのでは?放っておくと恥ずかしいから、仕方なく染めるだけで。
それを解消するには、お客さまに「ゴール」を見せることが大切です。白髪の場合、生えてくる“根元”が気になりますが、“毛先”にも視点をずらして、髪全体に対しての提案を行う。「いまはこういう状態ですが、次の来店時にはここまで、その次はここまで持っていきましょう」と。いっぺんにではなく、ゴールは基本的に6回に分割します。「この状態になるには、あと5回」「残り80%です」と、来店ごとに伝える。すると、義務で美容室に来ていた気持ちを、「ワクワク」に変えることができます。
とても説得力があり、通いたくなりますね!
店販も同様です。お客さまが最終的に目指すゴールを提示して、「せっかくサロンでいいカラーをしても、家で洗浄力が高すぎるシャンプーを使ってしまうと元も子もない」など、情報提供をしっかり行っています。
来店周期を早める取り組みは、何かされていますか?
うちは逆で、「来店周期を“延ばす”」ことをしています。白髪染めであれば、真っ黒ではなく明るく染めたり、トリートメントで髪のベースをきれいにする。そうすれば、多少伸びてきても気になりません。合わせて、ホームケア用の店販で、きれいな状態を長く保てます。
それだと、売上減になってしまうのでは?
毎月来ていた方が2カ月に1回になれば、客数減になります。でも、その空いた枠に、新しい方が入れば、売上的には一緒ですよね。
もっと言うと、サロンの頻度が2カ月周期になるかわりに、1回あたりの単価を1.5倍にできれば売上は伸びます。そのように、お客さまの数を増やし、いかにリピートしていただくかを考えています。
メニューや価格帯を変えたことで、数字の変化はありましたか?
客単価は6,000円から徐々に上がって、いまは1万2,000円~1万3,000円くらい。生産性も、創業当初は60万円だったのが、120万円~130万円、繁忙期は200万円近くになりました。生産性に関しては、上げられるところはしっかり上げる。ただ、適切なところを見極めて、上げすぎないことも大事だと思っています。
スタッフにも変化がありました。“美容師”っぽくなった、というか…。それまで、スタッフ間の会話って「今日は売上10万円いった」「チケットが何枚出た」とかでした。それが、「あのヘアスタイルいいよね」「かわいかった」などに変わった。お客さまや、ほかのスタッフに向き合う余裕が生まれたのでしょう。
また、仕事にやりがいが生まれ、離職がすごく減りましたね。
北九州発!カット1,900円だったサロンが
客単価&生産性を2倍にした教育とは?