第3章倒れるまでハサミは持っていたい
「スタッフが成長して、
夢を叶えることが僕の幸せ」

現在、SHACHUは渋谷の1店舗ですが、今後増やす予定は?
予約がいっぱいでパンクしそうなので、新店舗も考えています。ドミナント展開したいんですが、渋谷は空き物件が全然なくて。空きが出たと思っても申し込みが殺到してすぐなくなる。なので物件次第ですが、店舗展開については前向きです。
スタッフを自分の手駒にしたいわけではないし、独立した子もいっぱいいるんですけど、完全独立してうまくやるのはハードルが上がっている。だったら独立するよりも、うちの支店を任せて、安全な傘の下に入っていたほうがいいかなとも思うんです。もちろん本気で独立したいスタッフがいたら、心の底から応援します!
みやちさんは、いつも愛がありますね。
愛…しかないです!(笑)
さすがです(笑)。日頃、スタッフの方とのコミュニケーションで意識していることは?
スタッフに「こうしたいと思うけど、どうですか?」と相談されたら、まず「いいね!」って肯定して、それから考える(笑)。よい部分を見つけたら、「めっちゃいいね!」って何度も言うし、感謝の気持ちも素直に伝えています。表面的にやるとうさんくさいけど、本気で思っているので。
そんな僕も、若い頃は結構とがっていて。自分に余裕がなかったから人当たりが強くなったり、余計な非難をしてしまったことも。「あの時、なんでもっと人にやさしくできなかったんだろう」というのが、人生のなかで唯一の後悔。もう後悔したくないから、お客さまにも、スタッフにも、やさしくありたいなと。
素晴らしい心がけですね。
新規出店の他に、今後やりたいことはありますか?
僕自身は美容師として売れて、ヘアショーにも出て…と、あらゆることをやってきました。今はスタッフが成長していく姿を見ることが僕の夢であり、みんなが夢を叶えていくことがすごく幸せ。だからドミナントで店舗展開してあげられたら、僕自身の幸せな場所も増えるかな。
美容室って、「ハッピー産業」だと思うんです。シャンプーしてカットしてカラーして、お店を出た時に幸福感を味わってもらえる、こんなに素敵な仕事はなかなかない。ハッピー産業に携わる美容師だからこそ、元気に幸せで過ごしてほしい。僕は経営者として、働く環境を整えたりすることに力を注ぎたいですね。
みやちさん自身は今も現場に立っていますが、ハサミを置く時期は決めていますか?
倒れるまでハサミを持っていたい!自分の技術を、まだうまいとは、認めきれていないので。最近は国外に向けた仕事も多く、アジア圏だと認知されているかもしれませんが、もっと広いエリアではまだまだ。そういう世界に対する挑戦もしていきたい。ただ、いま41歳ですが、50歳の誕生日には、海外で美容師をするのか、美容師以外にチャレンジするのか、何らかの選択ができる状況にしたいと思っています。
あと、老後でいいんですけど、テーマパークをつくりたいですね。ジェットコースターとかあったら楽しそう。孫が「うちのおじいちゃんが、このテーマパークをつくったんだ!」と言えたら、めっちゃおもしろいなって(笑)。
みやちさんが歩く先々、まわりがパッと笑顔になる。まるで太陽のような人だ。
SNSに支配されている若者に対して、
「スマホばかりではなく、ヒマワリ畑でも見に行ったほうがいいよ!」と言った。
ヒマワリが、太陽の方角を向いて育つことはよく知られる。みやちさんという太陽に照らされて、ヒマワリであるスタッフのみなさんが成長していく。そして、お客さまも笑顔にするハッピーの連鎖。
SHACHUの強さは、この底抜けに明るい雰囲気からきていることを実感した。

この4月で11周年を迎えたSHACHU。「12年目もモリモリやっていきます」とみやちさん