サロンではじめる
訪問美容

「普段のサロンワークで親子連れでお子さまと親御さんのご意見が違うときと同様で、双方のご希望をよく聞いてうまく間を取るようにしています

「日常で利用者さまのシャンプーをするのは職員の方なので、そうした背景も考えながら、双方にご納得いただけるスタイルに仕上がるようにこちらから提案することもあります

「『もっと短く』など利便性を重視されるご希望もありますが、こちらがイニシアチブをとるかたちで『こんなスタイルでかわいくしましょうか？』と提案するとうまくいくことがあります

施設ではスピードを求められるので、速くカットをするための練習をしたり、レザーを使うなどしています。また、施設を極力汚さずに手早く施術ができるよう、訪問美容専用のグッズも利用しています

「利用者の方の中には座位が取れなかったり、じっとしていられない方も多いので、いかに事故が起きないようにするか、練習というより日々体感して学んでいます。サロンはイスの高さが変わったりリクライニングできるなど、技術者が施術しやすい環境になっていますが、施設は真逆。こちらが体勢を変えなければならないアウェーの環境です。その都度相手に合わせて施術できるようになるのは、練習も大事ですが慣れと経験も大きいと思います

「まさにそういった多様な人材を受け入れる器のひとつとして訪問美容があると思います。『仕事は続けたいけれど時間に制限のあるママスタイリスト』や、『社会貢献したい若い男性スタッフ』も増えているので、そうした人材がサロンワークの中で腐らず辞めずに活躍できる場です。彼らに『訪問美容担当』という肩書きやポジションを与えることでモチベーションアップにもつながります

「経営者としてはスタッフの能力を信頼しきって尊敬することが必要だと思います。信頼してその人に向いている役割を与え、権限委譲していかないと人は付いて来ません。その上で、評価体制をきちんとつくって明確に伝えていけばよいのではないでしょうか

実際、こんなことの繰り返しです。それでもめげずに『また来ちゃいました！』と、顔を見せ続けることが大事なのではないかと思います

「何度も行くのは勇気がいりますが、間髪空けずに3回くらい行くと、施設の方も『熱心でかわいそうだから話だけでも聞いてあげよう』と思ってもらえるようです。また、『宿題をください！』と次に訪問するきっかけをもらって、次回、施設に役立つ資料を持って行ったり。それでもダメなときは相性もあるので人を変えて、赤木が行ったらあっさり決まったということもあります