｜第２章｜RT初のトータルビューティサロンが担う、今後の役割

山本　ヴィヴィアン・ロッソは、RT初のトータルビューティサロンですが、RTがこれから成功していくために必要なサロンだと認識しています。

野嶋　今あるサロンやスタッフのためのヴィヴィアン・ロッソという位置づけなんですね。

山本　そのとおりです。そして、今いるお客さまのためのサロンですね。

　うちのサロンは、先ほど申し上げたように、今年で創業40周年なのですが、お客さまの6割が20代、30代なんです。もちろん、若い世代の方に来ていただけることはサロンとしても嬉しいことです。でも一方で、40年続いているサロンなのに、一緒に歳を重ねて来たはずのお客さまはどこにいってしまったのだろう？　と。

野嶋　そこに課題を感じられたわけですね。

山本　そうなんです。ですから、大人女性が通いやすいサロンづくりを目指しています。現在の40代、50代の方にももちろん来ていただきたいのですが、メインは今来てくださっている20代、30代のお客さまが年齢を重ねたときに、長く通いやすいサロンになるようにという想いで作りました。

　実は、以前、高知の大手企業の社員さんに、どんなサロンに通っているかというアンケートに協力してもらったことがあるんです。そしたら大人の女性で10人以上が働く大型サロンに通っている方って、あまりいなかったんですね。多くが１人、２人のアットホームなサロンに通っている人でした。ということは、もっと落ちつき感があり、パーソナルな対応ができるサロンを作っていかなくてはいけないのかなと。

野嶋　それがこのヴィヴィアン・ロッソというわけなんですね。

山本　はい。規模的には大きいですが、もっと一人ひとりにしっかりとパーソナルな対応をできるようにと考えてトータルビューティサロンという形態をとりました。

　ヴィヴィアン・ロッソという名前にも由来がありまして。

野嶋　是非お聞かせいただけますか？

山本　私が代表になった後、経営理念というのは私が作ったのですが、基本理念もやはり明文化するべきだろうと思ったんですね。経営理念は社長が変わるたびに変わってもいいかもしれないけれど、基本理念は代々受け継がれるものだと思ったんです。

野嶋　おっしゃるとおりですね。

山本　そこで、会長の高木に創業時代の話を聞き、夫妻のサロンへの想いなどを語ってもらったんです。話を聞いただけではなく、会長からサロンに対する想いなどが綴られたお手紙ももらったりしました。

　それらの話の中で「これだ！」と思った言葉が美容という職業を通して「美しく生きる」という言葉だったんです。そこで、この「美しく生きる」をRTの基本理念に据えました。

　このサロンの「ヴィヴィアン」というワードも、「美しく」「生きる」「大人」「女性」という単語を全てイタリア語にして、それを少しもじって作った名前なんです。さらにRTの企業カラーが「赤＝ロッソ」ですので、ヴィヴィアン・ロッソという名前になりました。

野嶋　では、サロンの理念がこめられたネーミングなのですね。創業社長から脈々とつながる想いを受け継ぐことは、企業にとってはとても大事なことだと私も感じます。
こちらのサロンのスタッフさんは、どのような方々なのですか？

山本　スタイリスト11人のうち、店長経験者が6人いるサロンです。

野嶋　ベテランスタッフが集結しているんですね。

山本　これには理由があるんです。現在、RTには103名のスタッフがいまして直営だけでも80数名のスタッフがいます。勤続25年を超えるスタッフもたくさんいるんです。これは、組織としてはとてもいい状態だと思いますが、同時にこれからRTに入ってくる人には、上がつまっている状態とも言えます。

野嶋　なるほど。

山本　ですので、次の世代の活躍の場を作る意味でも、このようなサロンの存在が必要だと感じたんですね。店長経験者たちは、このヴィヴィアン・ロッソで次のステージに立つ。現在の店舗の若手スタッフは、自分たちでサロンを盛り上げていくという次のステージに立つ。

野嶋　まさにこのサロンが、スタッフさんにとっての「NEXT DOOR」なのですね。

山本　そうですね。このサロンは、同時にスタッフ育成の場でもありまして、ここにくるアシスタントは、デビューを控えたスタッフが半年〜１年の間、留学をするような感じで考えています。デビュー前にこのサロンでトップデザイナーの仕事を間近で見て勉強をし、自分のサロンに戻ってデビューするという形です。

野嶋　この新店が、これからのRTさんの発展の核になっていくんですね。