イノベーターが
見ている未来
vol.25
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
ALIVE
代表取締役
西川 礼一さん (age.35)
グラデーションカラーやハイライトといったカラーリングを武器に、トップサロンが集まる表参道でも高い注目度を誇る「ALIVE」。新卒入社からわずか2年で月間売上230万円を突破するスタッフをはじめ、多くのスタッフが早い時期から戦力として活躍しています。そのスピーディーな成長を叶える教育システムのカギは何なのか。従来の教育にとらわれない、代表・西川さんの考えをうかがいます。
http://www.alive-hair.com/
第1章ミスターストイックと呼ばれた新人時代
「相手の予想を上回る結果を出せばいいだけ。
そう気づいてから一気に成長できました。」
西川さんは大阪の専門学校を卒業後、都内の美容室に入店されたんですね。デビューは早いほうでしたか?
同期では2番目で、3年半でデビューしました。美容師って人気がでるかどうかに向き不向きがあると思っていて、それを見極めるためになるべく早くデビューすることにはこだわっていました。
では狙い通り早くデビューできて、向いていたんでしょうね。
いや、教わる立場なのに生意気で、納得いかないと従わなかったりして先輩からめちゃくちゃ怒られました。またお客さまを怒らせてしまい、髪も乾かさないまま帰ってしまう方もいました。だから、どちらかというと「向いていないかも」と感じていましたよ。
「こんなにがんばっているのになぜ認められないんだろう?」と、上に行きたい自分の気持ちと、周囲からの評価のギャップに戸惑いがありました。それで1年目の正月休みにじっくり考えて、「認められる人になればいいんだ」と思って。技術を評価してもらうときでも、チェックマンの予想より上を見せたらいいんだろうと。相手がどのくらいのレベルを想定しているか考えて、それを超えた仕上がりにできるように練習を重ねました。あと、認められる人間になるために、きちんと「ありがとう」「すみません」を言うように。それまでは言えていなかったんですね(笑)。そうして自分が変化してから、一気に成長できるようになったんです。
デビュー後は順調に売上も伸びていきましたか?
デビューから1年ほどで月間200万円に届くようになりました。でもこれは結構、無理やり生み出した売上なんです。朝から終電まで定休日ごとに街で声をかけ続けて、お客さんを呼んでいたんです。あの人は断りそう…みたいに選り好みせず、とにかく絶対に呼ぶぞという気持ちで1日100人くらいに声をかけて。そんな生活を3年間くらい続けて、仲間からは「ミスターストイック」と呼ばれました(笑)。
200万円は何度か達成したんですが、それ以上はいきませんでしたね。きっと人それぞれに持っている数字があって、僕はこれくらいなんだろうなと自分の中で納得しました。
それから8年半勤めたお店を辞めて、2012年に独立されています。辞めることにしたきっかけは?
きっかけというか、独立するのが自然な業界ですよね。だから、いつかは自分の店を出そうということは考えていて。ただ、所属していたお店も大好きでした。店長を経験して、ディレクターになって・・・とステップアップを目指していましたが自分のやりたいことが斬新だったこともあって。組織を変えるための情熱を新しいブランドを立ち上げる方に注ぎたいと思い、独立を決意しました。
店の物件探しをすることになって、表参道を見てみると賃料が高い。でも地方の物件も調べたものの、自分はワクワクできなかったんですよね。美容専門学校に通っていたころから、やはり表参道や原宿に店を構えることにあこがれていましたし。「儲けに走らずに、食べられなくてもいいから夢をとろう」と思って。野球でいうと「ベンチでもいいからとにかくメジャーリーグに行きたい」みたいな考えですね。それで表参道の物件に決めました。
実際、オープンしてみて売上はいかがでしたか?経営に関する勉強はされたのでしょうか。
以前からのお客さんが来てくれたこともあり初月から黒字で、これまで赤字を出したことはないです。数字に関しては、来店率とか大まかな点は勤めていたときから見ていましたが、分析まではしていませんでした。オープン時は僕ともうひとりスタイリストがいて、そのほかにアシスタントがいる計3名体制で始めたんですが、僕の売上が経費を上回っていたらOKというざっくりとした考え方。それから3~4カ月後にスタッフが3名入店して、そうして人を抱えてから税理士さんに習って財務に関する勉強を始めました。
試合に出す、打席に立たせる。
ALIVE流“スピード教育”の叶え方。