第2章美容室の次は保育園を開業
「お客さまに気を遣わせないことと、
働きやすい職場を考えた結果が保育園。」
今回取材におじゃました美容室「BUDDY BROWN」は、カフェのようにドリンクが充実していたり内装も素敵です。1号店である「WOODSTOCK」をオープンした際も、こだわった点はありますか?
1号店も「カフェ風サロン」というコンセプトにしていて、ドリンクにはこだわりました。あとはシャンプーですね。気持ちいいって絶対に感じていただけるマニュアルを用意してみんなに練習させて…。だからうちのスタッフはみんなシャンプーが上手ですよ。アシスタントの雑務みたいに考えるサロンもあるようですが、うちはチェックに合格しないとお客さまのシャンプーを担当させません。
カットって上手でも、お客さん自身は別に気持ちよくない。でもシャンプーをしてもらうと気持ちいいでしょう?シャンプーはヘアサロンで唯一の「体感技術」なんです。だからお客さまに伝わりやすいし、「あそこに行ったらこの気持ちよさを味わえる」と思ってもらえる。なので大切にしています。
あとは「目配り、気配り、心配り」にこだわっています。見えないところ、メインではない小さい部分のほうが案外、お客さまって目が行くんですよね。トイレもお客さまの使用後には、さりげなく整頓し直したり。そういうのを一つずつマニュアル化して、どのスタッフもできるようにしました。
1号店をオープンした後、美容室2号店を出す前の2010年に保育園を開業しています。なぜ保育園を始めることに?
お客さまが、産前産後に美意識を失わないよう同じ周期で通い続けられるために、お子さんが生後2カ月から無料で預けられる環境をつくりたかった、というのがありました。
あと1番大きい理由は、10年前の当時、多店舗展開しているサロンが縮小している原因を分析した際、「女性スタッフの退職が大きいのでは?」と仮説を立てたことにあります。
たとえば20歳で美容師アシスタント、25歳でスタイリストデビュー、28歳で月100万円以上の売上、30歳で結婚・出産・退職。退職による店舗の売上のうち、女性スタイリストが月100万円の売上だとすると、8割減ということになる。イコール年間約1000万円の損失です。店舗売上、利益は減少していくなか、男性管理者への負担が増え、店舗売上での還元が見込めなくなり、男性管理者も退職、独立・・・そうなると、生産性を上げるスタイリスト、管理者が退職した店舗は縮小せざる得ない。
それであれば、先行投資で保育園を完備し、女性スタイリストが出産後、戻ってこれることでお客さまも通い続けてくれて、復帰したスタッフは売上も継続し、稼ぐ事もできる。
やるからには、ただ預かるのではなく、スタッフが通わせたいと思えるような、美容室ならではの「教育まで網羅した幼保一体のセンスを磨く園」をつくりました。
お子さんのいるお客さまにとっても、保育園はうれしいですね。
美容室をオープンしてお客さまの流れを見ていると、結婚する人とか子どもができた人が増えてきて。キッズスペースはサロン内に用意していましたが、結局は子どもってお母さんの近くに来たがるもので、そうするとお母さんたちは店に対して気を遣ってしまうんですよね。お客さまにお金を使わせたうえに気を遣わせて帰すって、ナンセンスでしょう。それも保育園をつくることで、解決できます。