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第5章美容室をハブにした事業展開

「美容師はコアなファンが作れる。
これは会社にとって強い武器。」

「美容業ではなくサービス業を展開する」という意識でいろいろなことを手掛けているとのお話ですが、今後狙っていることは?

美容系の皮ふ科とか歯科の医療マーケットはやりたいですね。何にせよ先ほどのパンケーキの話と一緒で、専門性があるものをやっていくのが前提です。歯医者もとても軒数が多くてつぶれているけど、やりようによってはいけると見ています。歯医者ってまだ美容室と比べて、教育や接客の点で遅れていて。そこのウリがわかりづらいし、予約体制もよくないし、改善の余地があると思っています。

スキンケアに関しては、美容室よりも皮ふ科としてアプローチするほうがお客さまの信頼を得られるだろう、という点から参入を考えています。あと美容皮ふ科をいきなり利用するのって心理的ハードルが高いけど、うちがやれば皮ふ科へ促すハブとして美容室が活用できる。美容室はそういう情報を提供する場所だと思っているんです。

現在は北海道のみで事業展開していますね。他の大都市圏へ進出する予定は?

いまのところはまったく予定していません。お話はいただくんですけどね、「原宿で保育園を出しませんか?」とか。でも東京とかは考えていなくて、それなら海外に出るほうがいいかな。

人力を必要とする事業の直営全国展開というのは、各店管理者を管理者をするスタッフのポテンシャル・ビジョン共有・育成の成長スピードが減速し、展開スピードと投資効率が悪いのでは、と予想しています。
ただFC本部として、その「仕組みを提供する」ビジネスモデルであれば、生産性は高くなり、キャッシュフローも良く、さらなる事業展開の可能性は広がると考えます。
なので、管理を必要する全国直営での展開は避けているということですね。管理者不在でも可能な地域、事業であれば、全国展開も視野にあります。

なるほど。

ただ、まつエクサロンの「JANIS」に関しては、全国的にライセンス事業を進める予定です。うちは技術者であるスタッフが2カ月でデビューできる教育システム、施術は1時間以内、それでいて持ちがよく、料金は約5000円という体制を整備しました。そういうノウハウを提供していきます。札幌市内は直営店でやっていきますが、それ以外の立地で出店が増えると投資額が増えて利益回収スピードが落ちてしまう。だから直営よりは「仕組み」を売るようにしていきたいですね。

美容室のフランチャイズ(FC)展開は?

美容室のFCって難しいと思うんです。お客さまも美容師も、ブランド名で判断するから。だけどまつエクは名前じゃなくてサービス内容や仕組み、働きやすさで選択されます。開業にかかる初期費用も美容室の5分の1程度だから、FCに参画する側にとっても、まつエクっていいと思うんですよ。

それにまつエクは金額がシンプルだから自動精算機の導入も考えられるし、そうするとスタッフの負担も減り、人件費も節減できる。無駄をなくせば利益が見いだせる業種を、今後も手がけていきたいと思っています。

高嶋さんのように、事業を広げていきたい美容サロンの方もいると思います。アドバイスをいただけますか?

僕はアドバイスするような立場にはありませんよ(笑)。ただ、美容室オーナーさんだとすると、事業展開として美容室だけを考えがちなのはもったいないと思います。繰り返しになりますが、美容室だけだと収益には限界があります。違う分野にも進出して、副収入を得ることを考えるのは大事。たとえば先ほどお話したまつエクをやってみるとか。そこで得たお金で、美容室スタッフの給料を上げることもできます。

他の収入源を持つことが、美容室事業にも返ってくるわけですね。

あと投資効率を考えることも大事なので、経営者が数字に無頓着なのはダメかもしれない。何となくカフェを出す、とかはやめたほうがいいでしょう。特徴や仕組みを深く考える、そしてそのためにいろんなものに興味を持って行動をするようにしています。「多角化」って何かたいそうなことに思うけど、そのヒントは意外と身近なところにあると思っています。

Number9 グループの今後についての構想は?

美容師には自分のファンを作れるという価値がある。コアなファンが得られたら、信頼してお金を払ってもらえる。これは会社として強い武器です。ただ、顧客の「濃さ」というのは人数や美容室の売上だけでは判断できません。美容室の利用金額は少なくても、グループの飲食店ではたくさん使ってくださることもありますからね。なので美容師のお客さまが他のグループ店を利用した場合、その美容師にリターンが入る仕組みも考え中です。美容師が稼げる仕組みになるほか、濃いファンを得るためにとお客さまを喜ばせるモチベーションも生まれるでしょう。

ほかに仕組みとして、考えていることは?

お客さまをグループの他店舗に誘導する方法として、メインはNumber9 グループのアプリを活用していきます。美容師が話のネタとして話すこともあるでしょうが、あくまで雑談レベル。売り込むためにする必要はない。このアプリはうちの系列店が並ぶ「Number9 グループの街」というイメージです。各店のお知らせをプッシュ通知で配信したり、全店舗で利用できるポイントが貯まったりする仕組みです。

今後は動画コンテンツを増やすなどアプリを改善して、お客さまごとに合わせたピンポイントのアプローチができるようにと考えています。あと、飲食店は来客数が多いので、集客・発信の場として始めたところもあって。パンケーキ専門店には月に2000人が来ます。その方たちに向けて店内でグループ店舗を紹介する映像を流したり、情報発信の場としてもっと活用したい…。最初の美容室オープンから13年目を迎え、やっと種まきが終わったところ。ここから事業展開を加速していくつもりです。

  • Number9 グループ各店の最新情報をプッシュ通知で知らせるアプリを開発。アプリ限定クーポンやポイントなどを用意しているほか、ヘッドスパなど口では説明しづらいメニューを紹介する動画コンテンツも

  • 1年に1回、グループ全店で使用できるお得なチケットを販売。6万円分の利用券を5万円で購入できる。「サロン側からみると1万円も損じゃないかと言う人もいるが、年契約できると考えれば失客が減り決して損ではない」と高嶋さん

会社名である「Number9」、美容室名である「WOODSTOCK」、そして高嶋さんのお名前・・・。
ネットで検索しても、びっくりするくらい情報が出てきません(笑)。
グループ全体のホームページは、現在制作中。
聞けば「ネットとかSNSとか苦手なんです」と、意外な素顔を見せる高嶋さん。

日本には、まだまだ素晴らしいサロンがたくさんあります。
札幌にある、この「Number9」もしかり。
今はまだ知名度は低いかもしれませんが、「Number9」グループのお店が、世の中に浸透する日は遠くありません。
高嶋さんの独自の視点・戦略を聞いて、そう確信しました。

本当はこういった取材も苦手とのことですが、社員の方に説得されて出てくださったとのこと

インタビュアー
田中公子(ホットペッパービューティーアカデミー)
編集
柳澤真実
ライター
大西智与
撮影
松浦靖宏

※掲載されている情報は2019年10月28日現在のものです

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