第2章生産性の高い独自オペレーション
「2時間2万円ではハードルが高い。
5000円でできるシステムを構築。」
ネイルを一般化させシェア1位を狙うために2010年よりネイルサロン「ファストネイル」のチェーン展開を進め、2018年にはネイルサロン専業として初の上場を果たしました。順調に成長している「ファストネイル」の強み、特長を教えてください。
一般的なネイルサロンでは、お客さまのご来店からお帰りまでマンツーマンで接客するスタイルです。来店したら、まずどんな色やデザインにするかの相談から始まり、ネイルをオフして、塗って…と、2時間ほど付きっきり。それで2万円くらい頂戴するというビジネスモデルでした。
ネイル人口を増やすには4分の1くらいの価格、つまり5000円程度にする必要がある。2時間2万円だったものを5000円にするには、関与できる時間は4分の1、つまり30分で接客・施術を完了しなくてはいけません。それを実現させるための方法として考えたのが、独自の「ファストネイルシステム」です。
一番の特色は、相談する時間をなくしたこと。スタート当初は写真を山ほど用意して、店舗のPCで選んでもらうようにしました。スマホが普及した現在ではオリジナルアプリを用意して、アプリからネイルデザインを選び、予約までワンストップでできる仕組みにしています。すると来店後の接客はネイルのオフ、塗る工程からスタートできます。
ネイルデザインを相談する時間が省略されると、一人あたりの接客にかかる時間もだいぶ短縮できますね。
オフする作業も一般のサロンではヤスリで削ったりするのですが、弊社ではオリジナル開発した専用機器を使用し、手を入れておくと簡単にジェルネイルがはがれ、爪を傷めにくくオフすることを可能にしました。そのためネイリストがかかりきりにならなくて済むことが出来るのです。一人のネイリストが、オフ中のお客さまを見守りつつ、オフが終わった方の爪にジェルを塗る作業も同時に行えます。そしてどちらの作業も30分程度で終わるので、塗り終わったお客さまはお会計へと進み、オフし終えた方は塗る作業へ入ります。お客さまの滞在時間としては1時間、スタッフの生産性としては1人あたり30分がクリアできるんです。
とても効率的なシステムですね。こういった仕組みはどのように生み出されたのでしょう。
現在は弊社の取締役であり、元ネイリストでもある創業メンバーの横山が大きな役割を果たしました。私はネイリスト出身ではないので「効率化に向けて技術的に可能な方法かどうか」などといった面で彼に助けられています。そうして他社にはマネできないものを考えよう、とシステムを構築してきました。
他社にマネされず、50店舗以上に増やすまでの規模感で継続してこられた理由は何だとお考えですか。
お客さまを迎えるシステムと同時に、自社で未経験者からネイリストへと教育するシステムを立ち上げたことが大きいでしょう。従来は半年や1年間のネイル学校に通って資格を取得した人や、経験者を採用するネイルサロンが大半でした。資格を取得しても店舗での実践経験がないので、すぐにネイリストとしてデビューしてお客さまを担当できるとも限りません。そもそも学校では開店業務や予約業務は教えてもらえませんからね(笑)。
弊社では「ファストネイルで働くためのネイリストを育てること」に特化した教育システムを構築しました。マンツーマン接客ではない点をはじめオペレーションが独特です。それを理解し、実践してもらうための教育を行っています。