第3章短期養成でネイリストデビュー
「自社教育システムで、
未経験でも2カ月でデビュー。」
教育内容について、もう少し具体的に教えてください。
入社後の約1カ月半は「コンヴァノ・ネイルビジネスアカデミー」にて1日7時間ほど、ネイル技術や接客マナーについて学んでもらいます。従来の教育ですと正しい筆の持ち方や動作が重視され、スピードはそこまでこだわらないものでした。でも指1本で10秒長くかかれば、両手だと計100秒も時間が余分にかかるでしょう?「ファストネイル」はスピーディであることも大きな特徴なので、早くキレイに塗れる方法を教える。このように一つひとつ、「ファストネイル」に特化した教育をしています。
塗り方はもちろん、道具を並べる順番など、作業効率のいい方法を教える。前職のマクドナルドの生産性に対するこだわりを参考にしています。マクドナルドはバイト初体験の高校生でもマニュアル通りにやれば、誰でもできるようになっている。それと同様の教育を目指しました。
約1カ月半の教育期間を経て、その後はすぐに店舗でネイリストデビューできるのですか?
技術教育だけなら1カ月半で終わりますが、実践教育を積むことによりさらに上達します。そこで去年(2019年)10月、教育期間を終えた新人がお客さまの施術をするスチューデントサロン「ネイル フラップス」を作りました。これは美容師さんでいえばカットモデルのようなもの。「研修生が施術するので少し時間がかかったり未熟な面があるけれど、そのぶん料金はお安くします」というサロンです。
「ファストネイル」の料金は3850円からですが、「ネイル フラップス」は1650円から。おかげさまでお客さまにも好評で、予約が取りづらい状況です。新人はここで半月ほど実践経験をし、「ファストネイル」の店舗に配属されます。だから入社からネイリストデビューまでは約2カ月ですね。
実践に即した独自のスピード教育システムがあるからこそ、店舗数を伸ばせているんですね。
ネイリストの人数で、受け入れられるお客さまのキャパシティが決まります。ですからお客さまを増やしてネイルの一般化を目指すには、同時にネイリストの数を増やさなくてはいけない。経験者だけに絞っていては必要な人数が確保できませんので、自社の教育システムが必要なんです。
かなり完成された教育システムに感じますが、さらに改善していきたいと考える点はありますか。
理想としては情操教育までしっかりとしたいですね。基本的なマナー教育はすでに行っていますが、もう一歩先の、接客業として、人としての教育までできたらなと思っています。
接客業ではどれほど努力をしていても、稀にご満足いただけないケースも発生します。短いとはいえ30分の時間をお客さまから頂戴し、キレイになるために来ていただいているのに、不満を抱かれてしまったらリカバリーは簡単ではありません。そのようなお詫びする際の、心のこもった対応ができるかどうかは、各自の人間力が問われます。その基礎ともなる情操面を養えられたらいいですよね。社内での良い人間関係の構築にも効果が見込めますし。